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2022上半期facebookいいね!ランキング9位『生命論パラダイムの時代』

2022年 54冊目のブックレビューです。

正確には難しくて歯が立ちませんでした。
基礎的な(物理などの)知識が不足していました。
どうしても理解したかったので、田坂さんの講演などを聞いて補いました。
やはり中身は素晴らしいです。


あきらめなくて良かったです笑
言わずと知れた田坂広志さんの本です。
ご本人の処女作です。
作者は処女作に戻ると話されています。


機械論パラダイム一辺倒から脱出して
生命論パラダイムを取り入れるべきである。
そう読み取りました。

20世紀以降、科学の発展とともに機械論が思考の中心でした。
そのおかげで様々な発見、発明が起き、世の中は便利になってきました。
機械論とは、要素還元主義、つまり全体を部分に分解し、
その部分ごとの特質を把握できれば全体が理解できるという考え方です。

機械をパーツに分解して、それぞれの性能を高めることで、機械全体の性能を向上させることができます。

対機械であれば、きわめて有効な方法です。

また機械論の特徴として、操作主義があります。
これは何かの操作をすると、その結果、想定通りのことが起きるという事です。
インプット(操作)すると想定通りのアウトプットになるという事です。
これも対機械であれば、きわめて有効な方法です。

ところが対人間では、うまくいかないことが少なくありません。
また、すべてこの機械論の考え方(パラダイム)で説明できるかというとそうではないことが分かってきています。

機械論で分かることはおおよそ分かってきたとも言い換えられるかもしれません。
例えば、コミュニティ、組織などにも機械的な予想できる行動ではなく、いわば生命のように想定できない変化・進化が起きることが分かってきています。

つまり、機械論のパラダイムでは説明ができない事です。
特に対象が複雑になればなるほど組織やコミュニティなどは生命のような挙動を示すのです。

それは自己組織化や生態系を作り、独自に進化してくれるのです。
機械論であれば予想ができるのですが、生命論での進化は、分岐は分かったとしても、どの分岐になるのかは分からないのです。

複雑系でバタフライ効果の話が出ることがあります。
この話です。
アマゾンの奥地で蝶が羽ばたいたら、遠いところで台風が起きるってやつです。
当たり前ですが、そのように変化することもあるって事です。

更に、インターネットの世界になり、相互の影響や連関が強くなりました。
つまり、一見関係ないものが繋がっているのです。
その結果、複雑性が高まっているわけです。
そうなると機械論パラダイムではなく生命論パラダイムを活用しないと理解できない対象が広がるという事です。

生命論パラダイムは理解できる。
しかし、どのように活用できるのかが分からない。
これが生命論パラダイムに対して批判の主なものだそうです。
その際には弁証法を使えばよいというのが田坂さんの意見でした。

弁証法で進化を説明する際には、主に2つ重要なポイントがあります。

1つは螺旋の法則。進化はらせん状に進化していくという事です。
→上から見ると同じ場所をくるくる回っているように見えるけれど、
 横から見ると1周すると1段階上がっている。
 コミュニケーションで、話す→手紙→電話→メールなどが例ですね

もう1つが対立は融合する。右派と左派は結果近づいて中道になる。という事です。

これらを考慮すると、未来を予測(いつなるか)はできないけれど
予見(どちらに向かうのか)はできるわけです。

少し乱暴ですが、現在の機械論パラダイムは、おおよそ西洋の考え方です。
そして生命論パラダイムは東洋の考え方です。

これらを弁証法で融合していく必要があるのです。
その際には、日本という西洋と東洋の間の特徴を持つ国が重要になってくるのです。

5つポイントがあります
1 無限から有限
2 不変から無常
3 対立から包摂
4 (自然を)征服から自然(じねん:自然の中にいる。共生より更に一致)
5 機能から意味

これらが重要になってくるのです。
融合により未来が良い状況になる。
その可能性が感じられる本でした。

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