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2022上半期facebookいいね!ランキング8位『トマト缶の黒い真実』


2022年 46冊目のブックレビューです。
友人のHさんが読んでいてお薦めだったので手に取りました。
とても怖い話でした。
でも、さもありなんって感じです。


1人のジャーナリストが、産業構造の裏側まで丁寧に取材をして書いた渾身の本です。

イタリアでは出版停止になり、フランスでは権威あるジャーナリズムの賞を2018年に得たそうです。

トマトっていうとイタリア料理のイメージありますよね。
イタリアでトマト系のパスタ食べるととても美味しいですよね。
今回の話は、そのトマト、それもトマトの缶詰の話です。

そのトマト缶詰は、酷い管理のもとに作られているのです。
特にアフリカ向けの輸出が酷いようです。
そもそもトマトの缶詰には原産国表示が無いのです。

かつてはイタリアで生産したトマトをイタリアや海外に輸出していました。
しかし人件費も嵩むので、中国で作ったトマトをイタリアに輸出して缶詰にしてアフリカに送っていました。

しかし、よく考えるとイタリアを経由する必要がありません。
そこで賢いイタリア人が中国に缶詰工場を作り、中国から直接アフリカを含む海外へ輸出するようになりました。
しかも、悪い意味で生産性向上が図れました。

缶詰にして送るのは柔らかいトマトだと崩れてしまうので、異様に硬いものが作られました。
薄めたトマト汁を再度混ぜたり、薄めたり、それを煮沸したり、好き放題が始まりました。

腐ったトマトも使われるようになりました。
品質に関しての規定がほとんど無いのです。
更に賢い中国人は、中国にあるイタリアの缶詰工場を通さないで直接輸出を始めました。
イタリアも手をこまねいていたわけではありません。
酷いトマト缶を扱っている親に愛想をつかして、良い品質のものだけを作る息子もいました。
しかし、アフリカでは値段が安いものしか売れません。
その結果、品質は無視されて、安い粗悪なものだけが広まって行きました。

それも、パッケージだけを変えて、別の製品だと思われているトマト缶が、実は中身は全く同じだというのです。

そのようなものがたくさんあるそうです。
これって、トマト缶だけの話なんでしょうか?
そもそもアフリカ向けだけの話なんでしょうか?

※アフリカ向けだけだとしても当然問題です。
レストランや加工食品には使われていないのでしょうか?
背筋が寒くなりました。

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