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2022年13冊目『現代社会のゆらぎとリスク』

山口節郎さんの著書です。
松岡正剛さんの塾に通っているのですが課題図書です。

何かに手を出せば、リスクが生じ。
何もしなければリターンは手に入らない。
リスクを免れることが新たなリスクを生み
リスクを排除しようとするとリスクに満ちたものになる


臨床試験の十分でない新薬投与
投資運用

リスクという概念が浮上したのは
フランク・ナイトが
1計算できない不確実性
2計算できるリスク
を区別した

社会学のリスク論
1暴走する欲望社会のしっぺ返しとしてのリスク
2選択の自由(が広がったからこそ起きる)に伴うリスク
経済リスクと社会リスクは切り離せない
→金融のオプション(デリバティブ、スワップなど)

著者の問題意識
1豊かな社会が新たな社会的不平等というリスクを生んだ
2市場システムが産んだリスクを解決するために登場した福祉国家が新たなリスクを生んだ

ベックが「危険社会」で書いたこと
1産業社会は残余リスク社会
2近現代化のプロセスは、負の副産物を新たなリスクとしてとらえ直せるか
3この捉え方をするのはかなり苦いので、自省的な社会が登場するはず

→I am hungryを改善するために産業が発達した。しかし公害など負の遺産があらわれた。時間が経つに従い、それは世界中の人をI am afraidとするものだった。つまり欠乏の共有→不安の共有に切り替わった。

→リスク社会は
①限定不能:空間的時間的に限定できない
②帰責不能:リスクの責任を特定者に負わされない
③保障不能:大規模リスクの被害を補償しきれない
リスク社会における生活と行為は、カフカ的にものになっていく

ニクラス・ルーマンの新たなリスク論
システムは成長しつづけることによってしか存続することができない。
システムは、変わっていく外部環境に適応し、自己更新を続ける。
システムは「自己言及性」のために、たえずリスクにさらされる。

逆に見れば、システムはその作動を通じてたえずリスクを生み出している。
システムは、部分システムを全体システムとして調整する中央機関はなく、各部分が自分で世界を観察し、さまざまな情報を編集し、コンティンジェントに自律的再生産に向かう。

システムは「制御」から「自律」への変化を組みこむようになった。
しかしリスクは、このプロセスのさまざまな場面にこそ出入りするもの。
システムは自分がシステムでありつづけるために、「歪み」と「ゆらぎ」を伴う。

どんなシステムであれゼロ・リスクを求めようとすることが最大のリスク。
リスクを排除しようとするシステムは、必ず、システム維持コストの増大に悲鳴をあげる。


最近の大企業や銀行のように、合併や合体や資本提携によってリスク回避に走ろうとしても、リスクは決してなくならない。
図体が大きくなったぶんだけ、リスクが生じたときの危険度はバカでかくなる。
リスクはもっと大きくなって撒き散らされる。

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