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2021年 34冊目『白川静さんに学ぶ漢字は楽しい』

10年前の松岡正剛さんの塾で白川静さんについて学びました。

漢字の成り立ちをご自身で研究され、それが中国でも評価された学者です。
ただし、確か独学だったので、日本の学者には評価されなかったそうです。しかし、中国が評価した後に、日本でも評価されたそうです。

漢字が持つ体系的なつながりを明らかにしたことで文化勲章も受けられました。

漢字はもともと3200年前に殷王朝が占いに用いた甲骨文字が起源です。しかし、漢字辞典としては紀元100年ごろに説文解字(後漢時代の許慎が作成)ができ、それが聖典となり多くの漢字辞典が作られました。

ところが、19世紀末以降に甲骨文字が発掘され、多くの間違いが見つかったのです。

白川静さんは、その甲骨文字や金文を精密に読み込み、体系化し、説文解字に鋭い批判を加えたのです。

そして中国にもない新しい漢字学の体系を打ち立てました。

だから日本の学者から批判され(説文解字が間違っているわけない)たのです。

この本、とても面白いです。

いくつか例を挙げます。

白川さんの功績に一番有名なのは「口」の字が「口」ではない事を証明したことでしょう。

例えば、「話」という字のつくりの下に「口」の字があります。

これは「口」ではなくて「蓋の付いた器なのです」
これを「サイ」と呼びます。

つまり、このつくりは、この器に神との約束の言葉(祝詞)が入っていて、上から矢が刺さっているのです。

神との約束を違えたら、その矢で死にますという話なのです。
つまり、話す、言葉とはそれくらい重い話だったのです。

当初、漢字は神との会話のために使われてたのです。
だから、こんな成り立ちなのです。

例えば右は、手に祝詞を入れた「サイ」を持っている状態。
例えば左は、手に呪具(I)を持っている状態。などです。

こんな調子でたくさんの漢字を学べます。

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