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2022下半期facebookいいね!ランキング7位 2022年 65冊目『がん患者の意思決定支援 成功の秘訣』

Essential Management Schoolで共に学んだ堀 謙輔 さんの本です。
堀さんは関西ろうさい病院で産婦人科医(部長)をされながら緩和ケアセンター長をされています。



対象は医師向けの本ですが、周りにがん患者がいらっしゃる方、将来のがんに備えて読んでおくのにも良い本です。

なぜなら、ここには難しい判断をしないといけない人にどのように伝えると良いのかという知識がぎゅっと詰まっているのです。

がん、患者、意思決定、成功の秘訣。とありますが、意思決定の成功の秘訣の本なのです。

ですので、内容は、リバタリアンなのかパターナリズムなのか。
行動経済学、構造構成主義、本質行動学、そして価値観コミュニケーションなどがこの本のメイントピックなのです。
ですので、医師以外の方でも読みやすい内容なのです。

一番最初は 本当に「自由な」意思決定ができるのかというテーマから始まります。
従来パターナリズム(父権主義)、つまり医師が何でも決めてしまおうという事です。
しかし、これはインフォームド・コンセント(説明と同意)に変わり一定の成果が上がっていると言います。
説明して患者の同意を得ましょうということです。

リバタリアン(人には自由意思がある:つまり意思決定ができる)で良いのか?
つまり、患者がやりたいと決めれば、それが良くない(本人にとって、国にとって、医師の倫理観にとって)ものであっても、それをするのが良い事か。

そんな当然と思っている事から始めます。

知人にがん経験者で、その意思決定をサポートする仕事をしている方がいます。
がん患者は(人によってかなり個体差があるのですが)かなり揺れ動くそうです。
つまり、正しい自己決定ができない人もいるようなのです。

そう考えると、説明して同意を得たから良いよねも問題だよねと言う事です。

だから最近はシェアード・ディシジョン・メーキング、つまり医師も患者さんと一緒に意思決定をしようとなっているそうです。

つまりリバタリアンでもなくパターナリズムでもない方法なのです。
ある意味アウフヘーベンかもしれませんね。

そして、その後もバイアス、ナッジの話が続き、長生きは最善かと言う哲学的な問いに答え、チーム医療、成功の秘訣、心だけでは伝わらない(だからコミュニケーションスキル)を付けるという話になり、患者にとって選ぶを考え、(私たちはどのような)コトバを使うべきなのかに触れ、患者にとって善を考え、意思決定についてまとめてます。

平易な言葉をつかっているので読みやすいです。
本人も書かれているのですが、論文のように出典も明記しているのでチェックもできます。

EMSの西條さんの本や論文がたくさん引用されているのですが、なぜか38として鈴木さん、肱岡さんと共著のTTPSマネジメントも引用本に並んでいます。

少し誇らしいです。

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