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2016年 37冊目『SNS時代の文章術』

1つの手紙でポール・マッカートニーを口説き落とした男。文章力ゼロからプロの物書きになったと言う野地 秩嘉(ノジツネヨシ)さんの本です。

小山薫堂さんの脚本でテレビドラマになった「キャンティ物語」の作家さんです。

野地さんには2人の文章の師匠がいます。

1人は伊丹十三、向田邦子、沢木耕太郎といった大家の編集者の新井信さん。

もう一人が会社を作ったばかりの幻冬舎の見城徹さん。
タイトルから想像したのとはかなり違う硬派で参考になる本でした。
お薦めです。

ドッグイヤーをつけた部分をメモしておきます。

ビジネスマンが書く文章の4つの柱

・何を書くかはっきりさせる:伝えるに値する内容か

・簡潔、明晰に書く:書きたい事を50文字以下の文にまとめる。
伝えたい内容の数だけ短文を作り、それを文の頭から読んで、後戻りしないで理解できる文章にする。

・プレーンに、オーガニックに書く:大げさな言葉の羅列ではない文章。
カタカナ、専門用語は最小限。

・ユーモアの気配をにじませる:読み進めるのに苦労がなく、自慢話がない。

一流編集者の指導法

・文章の不要部分を削る

・文章の構成を直す

・間違った表現を直す

・不足分を加えるように指示する

・本と同様にプリントアウトし、全体を見渡して、文字面のデザインを直す(漢字とひらがなの混じり具合を検討する)

・文章には色っぽい部分が必要:リズムを崩す部分が必要

・形容詞は文章が腐る

・流行語を使った文章は、時間が経つと腐る

・句読点は呼吸の切れ目で打つ

・取材を申し込むには自筆の手紙を書く

・起承転結ではなく、前置き、結論、説明の3部構成

・事実は多めに、意見は短めに

・書いてから削る

・井伏鱒二と茨木のり子の文章を読む

帯のポール・マッカートニーを口説いた文章がこちら

ちょうど奥さんを亡くした直後で仕事をする気分になかったタイミングでの手紙

ポール・マッカートニー様
永島達司さんに紹介された野地秩嘉と申します。
ライターです。
職業として本を書いています。
これまでに2冊の本を出版したことがあります。
ただ、私は音楽ライターではありません。
専門は美術です。
このたび、奥様が逝去されたと聞き、心からお悔やみ申し上げます。
私は3歳の時に父を亡くしました。
その頃はまだ小さな子供だったので、悲しい感情は心の中にありませんでした。
悲しかった記憶はありません。
しかし、大人になって、親しい友人や知人が最愛の人を失ったと聞くと、
私の心の中には父を失った時の悲しい気持ちが戻ってきます。
時間が経ったからといって失った悲しい気持ちが消えることはありません。わたしはそう思います。
いまはそれしか言えません。
あらためてリンダさんを亡くされたことに心からお悔やみ申し上げます。
要件に入ります。
この度、永島達司の一生をストーリーにして出版することにいたしました。つきましてはぜひ、あなたにインタビューをお願いしたいのです。
本の中のハイライトになるのは1966年にビートルズが行った日本武道館のコンサートです。
あなたに、永島氏について、武道館のコンサートについて、ビートルズの仲間についてお話をうかがいたいと思います。
インタビューについて謝礼を差し上げられません。
また、著書印税もわたし個人に帰属いたします。
いつでもロンドンに参ります。
ご連絡をいただければ幸いです。

一週間もしないうちに「来てください」と秘書から連絡があったそうです。その成果は『ビートルズを呼んだ男』に載っている。

凄い話ですね。お薦めです。

▼前回のブックレビューです。

▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。

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