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サウナレビュー⑤ かるまる(池袋)

いわずと知れたかるまる。この施設ほどオープン当初の評価と現在の評価が異なる施設もないのではないだろうか。あくまで現時点での評価ということになると非常に辛口にならざるを得ない。

施設としてのクオリティは高いのだが・・ソフト面のマイナスが大きすぎて残念ながら万人にオススメできる施設とはもはや言えないだろう。料金も値上げを繰り返した結果、不釣り合いに高額となっており、オープン当時ならまだしも、ハイクオリティなサウナ施設が都内各所に誕生した現在となっては相対的な魅力に乏しい。この値段を出すなら個室サウナに行くべきかと個人的には思う。

評価:★★★☆☆


岩サウナ

いわゆる大箱メインサウナで特筆すべきポイントはない。上段の温度は十分だが、収容人数と段数が多いので、混雑時は苦しいかもしれない。

ちなみに、当初はテレビが見られたのだが、相次ぐ故障を繰り返して見られない期間が続いた後、今となっては元からテレビなどなかったかのような顔をしている。

個人的にはサウナにテレビがあるべきか否か論争についてはどちらでも良いという見解なので、あろうがなかろうが良いのだが、元々設置されていたということは、このサウナの設備としては装備されているのが標準と考えるべきではないだろうか。

ところが、この件については全くアナウンスすらなく、しれっとテレビ無しがスタンダードな風を装っている点が悪い意味での「かるまる」らしさを感じさせる。

なお、アウフグースもこのサウナだが、スペースは狭く当初はあまり考慮されていなかったのだろう。稀に行われるイベント時などはゲストの熱波師によるアウフグースが抽選で受けられるが、通常はスタッフによる素人に毛が生えたようなアウフグースのみである。

ケロサウナ

隠れたメインサウナがこのサウナだろう。基本的に一番人気だが、収容人数は多くないため、待ちが発生することも良くある。

このサウナのセッティングも迷走していて、当初は本場フィンランドを意識した中温高湿を目指したセルフロウリュサウナだったのだが、現在はほとんどの場合、岩サウナよりも高温となっている。

セルフロウリュに関するファシリティも故障を繰り返しており、セルフロウリュ用の水補充ボタンが使えないことが多い。が、スタッフがそれを埋め合わせるように適切な頻度で確認や補充を行っているかというと全く回っていない。

サウナ自体はケロの使用量を見ても都内ではトップクラスのケロサウナともいえるので、非常に勿体ない。

蒸サウナ

いわゆる樽型の一人用サウナ。こちらも当初は4人まで利用可能だったのだが、おひとり様入館制度という謎な制度が現在まで続いており、その流れかいつからか一人用が継続している。

位置づけとしては薬草スチームサウナなのだが、しきじなどのガチ薬草サウナを体験した後だと、薬草感が薄いうえに閉塞感や息苦しさを感じやすく、せいぜい5分程度の利用が関の山ではないだろうか。

スチームサウナとしては熱めなのだが、それゆえかしっかりと身体が温まるまで入ることが難しく、一人用ということもあってサイクルも乱れるなど使いどころが難しいサウナである。

薪サウナ

かるまるで最もオススメのサウナはどれかと聞かれれば間違いなくこのサウナだろう。しかしながら、このサウナも一筋縄ではいかないのが「かるまる」である。

雰囲気は最高で薪が燃える炎の1/fゆらぎを楽しめる鏡張りの構造も非常に良い。だが、時間制限があり、利用できる時間帯が非常に限られている。しかも平日の夜や休日の午後といった非常に混雑する時間帯なので、待ち行列が発生することがほとんど。

ここまでは仕方ないが、定員5名のコンパクトなサウナということもあり、ただでさえセッティングがブレやすい薪サウナとしては取り扱いが非常に難しい。適切な温度を保つためには5分~10分ごとに薪の追加とロウリュが必須なのだが、これが全てスタッフの手によるものとなっている。

さすがに薪サウナに張り付くことができるほどの人員は雇っていないと思うので、必然的に15分~20分、ひどいときには30分程度放置されることもあり、薪が完全に燃え尽きて灰となっている場面を見ることもある。

その頃には人の入れ替わりで肌寒さを感じるほどサウナはカラカラの低温となっており、回転はさらに落ちて行列が伸びるという悪循環である。全体的にかるまるは理想が現実に追い付いていない部分が多い。

セッティングを5分ごとに確認することができないのなら薪を一気に複数追加して30分間放置できるような手順に変えるべきだろう。温度を上げすぎないようにとの配慮のためだろうが、毎回1本ずつしか追加せず、30分放置後に薪を1本追加したところで焼け石に水で短時間でセッティングが戻ることはない。マニュアルを守れていないのにそこだけマニュアルどおりに対応しても逆効果である。

ポテンシャルは最高なだけに少し厳しい言葉が続いてしまったが、運よく良いセッティングの時に入ることができれば感動できるだろう。

ととのいスペース

基本的には椅子の数はかなり多く、外気浴スペースに通じる通路にもベンチがあるなど、階が分かれていて動線に難がある以外は都内でも有数のととのいスペースを用意できていると言えるだろう。

こちらも椅子やソファがちょくちょく壊れていたり、その代替として以前より格安と思われる椅子に交換されていたり、キッチリとソフト面の甘さを見せてくれるところは“流石”の一言。

総評

サウナの種類、水風呂の種類、そして個々のクオリティと基本的には文句のつけようがない施設のはずが、いくらでも文句を付けられてしまうところが残念極まりない。

既に述べたとおり、様々な点で気分を削がれる部分が多い。また、スタッフについても恐らく慢性的な人手不足であることが原因で、あまり対応が良くないことが多い。

個々のスタッフの問題というよりは組織的な問題だろう。その証拠に満遍なくどのスタッフの対応もあまり良いとは言えない。これまでの記載で察することができた人も多いと思うが、概ねそのイメージどおりかそれ以下のホスピタリティと感じるのではないだろうか。

サウナブーム開始とほぼ同時にオープンするという先見の明は素晴らしく、その時点でここまでのクオリティの施設を作り上げるという投資にチャレンジした点は大いに評価に値するが、ビジネス優先を感じさせる部分も多く、恐らく今後も改悪が続くことだろう。

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