見出し画像

おじさん二人でパズルゲームを作ってみた -ダイスルート-

おじさん二人でスマートフォン向けパズルゲームを作って配信した。
「ダイスルート」というサイコロを使った脳トレパズルゲームだ。

昨今1000万円以上のコストをかける無料カジュアルゲームも多い中で、今回制作に関わったのは企画の僕とプログラマーの中年二人だ。
ゲーム業界にはこれまでそこそこ関わってきた。

そんな二人が、ハイパーカジュアルというジャンルで一発当てようとスキマ時間でアプリを創っている。

しかし!
我々のチームにはデザイナーがいない!!

そして、今普通に出回っているような3Dの壮大なスマホゲームは作るお金も時間もないのが現状だ。

■シンプルなグラフィックでもバズったゲーム

世の中には1億円以上売り上げるハイパーカジュアル(世界規模で普及して広告費による膨大な利益を生む無料スマホ向けカジュアルゲームのジャンル)は、1年間で100以上は存在する。

参考:「広告収益「1億円タイトル」が年100本誕生。ハイパーカジュアルの世界」

2Dのシンプルなデザインでもヒットするカジュアルゲームも複数存在している。
アイデア勝負でデザインにそれほど左右されない人気ジャンル。
それがパズルゲームだ。

コアなゲーマーではない僕もスマートフォンのパズルゲームでは遊ぶ。
そんな中で一時期ハマったのが、2020年にリリースされた「ボール・ソート・パズル」というゲームだ。

Ball Sort Puzzle

これは大ヒットしたパズルゲームの模範と言える。

このゲームのグラフィックはシンプルだ。
素人でも描けそうだが、そんなシンプルなゲームでも世界的に大ヒットし、アプリストア上には今やパクりゲームで溢れている。

数年経った今でも人気なので、全世界での売上(広告収益)はこれまで10億円以上はあると見ている。

そこで僕らも「デザイナーがいないならシンプルなパズルを作ろう!」ということで、「ダイスルート」というパズルゲームを作った。

■レビューサイトで拡散させたい!

配信してすぐに友達20名ぐらいに配信の告知をして感想を聞いた。

LINEで告知したが、「遊んでくれる人は長く遊んでくれるが、興味ない人はダウンロードもしてくれない」。

僕の人徳のせいだろうか・・・。
世話をしたゲームの専門学校の元教え子さえ、やろうとしない。

しかし、無料ゲームをスマートフォンでしか遊ばないライトユーザーは、暇なときに継続して遊んでくれていた。

Steamなどでゲームをする10代から30代のコアなゲーマーは興味を持たないが、暇つぶしにスマホでシンプルなゲームをするような女性や40代以上のライトなユーザーは長く遊んでくれるように思った。

インストールしてくれた人の一ヶ月の平均LTV(広告収益)は30円ほど。
安直で楽観的な計算だが、例えば5万人が遊んでくれれば150万円になる。

そしていよいよ先週、50近いゲームのレビューサイトやプレスリリースのサイトに「ダイスルート」のレビュー依頼をバラまいた。

レビューを送るのは無料だ。
このようなサイトをいくつか参考にした。
「アプリ・ゲーム開発 – プレスリリース&レビュー依頼 送付先 まとめ」

中にはほとんど審査なしで記事にしてくれるサイトもあるし、審査が必要なところもある。

現状20サイトは取り上げてもらっているだろう。

しかし!!!

アプリがほとんどインストールされていないのだ!

まだ友達20人の方が効果があるではないか。

やはり見た目が地味だからか。
興味を引くようなエピソードや特徴がないからだろうか。

レビューサイトは記事で面白そうと思わせないとインストールまで結びつけるのが難しい。

■全世界にプロモーションを仕掛けてくれる大手パブリッシャー

ハイパーカジュアルは、通常パブリッシャーと呼ばれる海外の大手配信会社から配信されれば、膨大なプロモーションをかけてヒットにつなげる。

よくYouTubeやインスタなどで見る無料ゲームの広告は、このような大手パブリッシャーから配信されるゲームが多い。
宣伝を大量に打てる資金力がある。

その分、収益のほとんどはパブリッシャーのものになるのだが、それでもヒットすれば開発会社には数千万円から億単位のお金が入る。

しかしプロモーションを行ってもらうには、パブリッシャーの複数回の審査を通過しなければならない。

それがとてつもなくハードルが高い。

改善の要望も多く、パブリッシャーは開発費には協力しない。
パブリッシャーから要求される改良費用はデベロッパーの負担だ。

まず、大手パブリッシャーから配信するための第一審査だが、100ドル前後でそのゲームの広告をアメリカのフェイスブックやインスタで打ち、1インストールにいくら費用が掛かったかを調べる。
広告テストの費用はパブリッシャーが負担してくれる。

1インストールに掛かった経費が30セント程度であれば、一回目の審査が合格となり、さらにテストは続く。
例えば広告費に1万円かけて300人にインストールされれば1インストールあたり33円程度になる計算だ。

最初のテストでは、このCPI(アプリをインストールしたときのコストを表す指標)の数値だけに重点を置く。
どんなに宣伝をしてもインストールされなければ、お金は1円も得られないからである。

逆にCPIが低く、1人あたりの広告収益が高ければプロモーションすればするほど利益が出ることになる。

「ダイスルート」SuperSonicというアメリカのパブリッシャーにストアのURLと動画を提出したところ、テストを行ってもらえることになった。

これまでSuperSonicに申請したアプリでは、テストさえもしてもらえず落ちるゲームもあった。

今回1回目のテストまでの許可は得たが、正直最初のCPIテストを通過する予感がしない・・・。

ユーザーがインストールしたくなるような、ゲームを面白く見せる動画広告をどう作ればいいのか悩みどころだ。

見た目のインパクトが弱いシンプルな絵柄のパズルは、ゲーム性を動画で見せるだけで面白さが伝わったり、興味を持ってもらえるのだろうか・・・。

■「ボール・ソート・パズル」のヒットの謎を推測する

そこで思ったのは、「ボール・ソート・パズル」はどのようなプロモーション動画を打ったのかという疑問だった。

「ボール・ソート・パズル」は大手パブリッシャーと組んでいない。
パブリッシャーのテストに申請しても審査に落ちていたのではないか。
遊べば面白いが、初見のユーザーを見た目の雰囲気だけでは引きつけられない気がする。

そういえば何故僕はこのゲームをダウンロードしたのかも忘れてしまった。

おそらく僕がダウンロードしたきっかけは、プレイアブル広告という実際に遊ぶことの出来る広告だったかもしれない。

予想だが「ボール・ソート・パズル」は、大手パブリッシャーが提示するKPI(目標指標)より低い値を合格点にし、広告費よりアプリの収益が上回れば、徐々にプロモーション費用を増やしていったのではないか。

さらにあのゲームは継続して長期で遊ぶ人が相当数いて、1人あたりの広告による収益の単価がかなり高かったのでないか。

そんな「ボール・ソート・パズル」のような、シンプルで中毒性のあるパズルゲームは、少人数の開発チームは憧れる。

ギミック、エフェクト、キャラ制作などに時間をかけず、アイデア次第でヒットする可能性があるのが、作り手にとってパズルゲームの魅力でもある。

しかし、新しいパズルゲームのアイデアは発明に近く、天才的な企画を生んだとしても、ヒット作になればすぐに大量のパクり作品が出ることもデメリットではある。

【余談】
とは言いつつ、飽きずに長く遊んでもらえるパズルゲームを考えることは楽しい。

ただし、見せ方も同時に考えなければいけない。

今はカジュアルゲームというジャンルで、いろいろ試したいことはあり、次はランゲームのような売れ筋王道路線のハイパーカジュアルも作ってみたいし、日本やアジアの一部でウケるような2Dの馬鹿げたゲームも作りたいし、一風変わった脱出ゲームもいいと思っている。

・・・そこでです。

週に1日ぐらい暇な時に動いてくれる3Dデザイナーさん、いません?
unityのプログラマーさんも追加で募集中です。

おじさんクリエイターさん大歓迎。

自分の関わったゲームを配信してみたい方、ヒットの可能性を模索したい方、カジュアルゲームで夢を見たい方、気軽に下記にご連絡ください。

support【@】suzya.net

そして、昭和演歌のようなゆるい右肩上がりのロングヒットを狙っている「ダイスルート」も引き続きよろしくお願いします。