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【越喜来プレミアムの挑戦】ホヤ嫌い漁師からホヤ嫌いに捧ぐ。

中野えびす丸船長の中野圭です。

今日は、これから僕が始めようとしているプロジェクトについて発表をしたいと思っております。

2020年の12月より、中野えびす丸として初のプレミアム加工品を開発・発売します!

その名も「越喜来プレミアム」
地元の大船渡市越喜来でとれた産品で、大人向けでお酒にばっちり合うプレミアムおつまみです。酒が好きなおれが考えるガチおつまみです。

越喜来プレミアムの第一弾として、今回フィーチャーするのは”ホヤ”。
みなさん、ホヤって知ってますか?
実は「海のパイナップル」と言われていて、とても美味しいんです。肉厚感があり、食べごたえがしっかりしている。独特な香りがあるので、熱狂的なファンが多い反面、他の水産品と比べるとまだまだ認知度は低い。

そんな、越喜来プレミアムプロジェクトを始めるにあたり、色々と伝えたいことがあるので今回もnoteにしてみました!
今回もインタビュー形式で「越喜来プレミアムに込められた想い」について語っていきたいと思います。

太字部分はインタビュアーのイイジマケンジさんことけんじです。

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中野えびす丸にとってチャレンジングな企画

ーーインタビュアーのイイジマケンジです。これからずっとこんな感じでインタビュー形式で進めていくのいいかもですね。
そもそもこのように一緒にnoteなどで情報発信しているのも、中野圭から「”
越喜来プレミアム”と冠して新しい商品をつくりたいんだけど一緒にやらないか」と連絡きたのが全ての始まりですね。そもそも聞きたかったんだけど、漁師が収穫・養殖から加工・販売まで担当することは普通なんですか?

実は自分としては今回が初めてで。

加工品つくるっていうのは自分にとってもかなりチャレンジングなことです。予算もかけてるし、通常の養殖業もある中でやっているので時間もかなりない中でやってます。でも本気でやらないといけないことだな、と。

だからこそ、大学時代の同級生である、けんじ(今回のインタビュアー。PRパーソン)や峯尾先生(近畿大学経営学部 教員)、地元加工業者や協力者など各方面で活躍している人と一緒になんとしてでも成功させたいと思っているんですよね。

ーー中野えびす丸としては、普段の生業としてはどこまで担当しているんですか?

普段は加工なしだから、生鮮のみ、獲ったものをそのまま売るところまでですね。基本的にはそれ以上までやっていません。

加工品発売っていち生産者にとってはかなり難しくて。以前も(加工品の開発・販売を)やってみたいなと思ったけど、条件や許可など色々必要で。六次化の推進て何なんだろうと思うほど(笑)

例えば、ちゃんとした加工場がないといけない、成分検査して成分表示が義務付けられている、など、自分だけで全部やろうとすると商品企画から販売・流通に至るまで大変且つ複雑なステップが存在していて、いち生産者が全てやるのはとてもじゃないけど厳しいなと感じて、かつては断念したという経緯があります。

だから、なかなかやれずにいたんだけど、たまたまシャインという加工会社の桑野さんという方と数年ぶりにお会いして話したときに、「実は加工品つくりたいと思ってるんですけど、自分だけじゃ難しいですよね・・」と相談したところから始まりました。

ーーもともとやりたいと思ってたんですね。

やりたいと思ってました。
理由は色々あります。まず一つは、自分が生産しているものに対して付加価値をつけたいと思っているから。付加価値というのはお客さんにとっても食べやすいカタチでというのもあるし、生産者としても毎日生産できる数量が限られている中でいかに良い値段で売れるか、というのもある。そうすると、まずは加工に行き着くんですよ。

ーー漁師として生鮮の取り扱いだけだと実入りが少ない、ということ?

いちがいには言えないけど、基本的には大きくはないのが実情なのかなと思います。多分爆発的に経済的なインパクトを生み出すことはない。
いわゆる生鮮のまま市場に持っていくというのは、足し算の商売で、1+1+1+1+…がずっと繰り返していくようなもの。

今回、加工品のようになんらかの手を加えることによって、掛け算のように価値が倍々に大きく広がっていくようにしたいと思っています。

生鮮食品や一次食品は基本的には”旬”のものなので、1年を通して売れる時季・季節が一瞬で、瞬間瞬間での勝負となる。もちろんそれはそれで大事だし、続けていく価値があると思います。旬のものにこそ生命が宿るという信念も持っています。

だけど知り合いから「いま何か買いたいけど何かない?」と言われたときに、「今なんもないんだよね〜」、と断らざるを得ないことがよくあるんですよ。だから瞬間的な美味しさも大事だけど、安定的にいつでも提供できるより身近な美味しさも欲しいと思っていて、加工品を企画・開発する決断をしました。

ーーたしかにいつでも安定的に提供できるものがあるというのは大きいですね。

そうなんですよ。余計に簡単便利なニーズが高まっている社会だし、消費者にとってはそっちのほうが嬉しいことが多くなりますから。漁師の気概とこだわりは持ちつつ、食べてもらえるものをつくらないと意味ないので。

ーー中野圭として、中野えびす丸として、越喜来として、常時名前を覚えてもらうには、一年中用意されているものがあるといいですよね。現在、中野えびす丸が取り扱っている産品だと、旬はいつごろですか?

中野えびす丸だと、ホタテは比較的旬が長くて夏・秋・冬にかけて。部位によって旬が変わったりします。ワカメは2月・3月に限定されますね、生ワカメは特に。

ホヤに関しては5月・6月が旬。冬シーズンは10月、今年の水温だと11月くらいまではいけそうです。だから、販売しようと思っているホヤの加工品は、今獲ったものを冷凍して12月に一気に加工→商品化していこうと思っています。

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ホヤを食べられない漁師がつくるホヤ加工品

ーー今回、第一弾はホヤの加工品だけど、これから新しい加工品を出す時は旬なものを冷凍して、旬じゃないタイミングでも美味しさを提供できるようにする、と。

旬だからこそ美味しいもの、一年中通して美味しいもの、どっちも用意したいという想いがありますよね。一年通じていつでも中野えびす丸ブランド、越喜来ブランドを食べれる環境をつくりたいと思うし、同時にその旬の時季にしか食べられないものをつくれるといいかなと思っています。多分どっちがいいとか悪いとかじゃなく、選択肢の話だと思うので。

ーーそもそも、なぜ第一弾がホヤなの?もっとわかりやすいホタテにはしなかったの?

正直、「ホヤ売ってます」といってもなかなか売れないのよ、実際。笑
よっぽどのホヤ好きじゃないと買わないし、そもそもホヤのこと知らないというのもある。

意外な事実もあって、ホヤの消費は実は韓国がめちゃくちゃ多いんです。

(ホヤを知らない人はこちらの動画をご覧ください。)

ーー韓国?韓国はホヤがあたりまえなの?

キムチの原料として使われているんですよ。成分表示みると、ホヤが含まれているものが多いです。でも、日本ではキムチにホヤが入っていると思ってキムチを食べている文化ではないですよね。だからこそ、逆にホヤでやってやろうと思っていて。

もう一つは、漁業全体の課題解決というのがあります。
以前のnoteにも書いているけど、「共販制度」というのがあって、要は漁師が自由に流通させられない産品が存在しています。うちでいうとホタテとか。だけど、ホヤは共販制度の対象外なので自由に取り扱いができる産品です。

ホタテの場合は”貝毒被害”の問題も重なっていて、思うように獲れない・売れない状態が続いています(これはこれで近いうちにnoteにしたい)。なので、貝毒被害の比較的少ないホヤを活用して、もっとホヤを食べてもらいたいなあと思っています。

ただ、そうはいっても俺自身がホヤをあんまり好きじゃなくて。ホヤ食べられないんだよね。

ーーえぇ!?これからホヤを売ろうとしてるのに何言ってんの笑

そうなのよ。だからこそ、自分が美味しいと認められるホヤの商品ができたら、これはめちゃくちゃいいなと思って作り始めたんです。
自分が一番のターゲット。ホヤが好きじゃない自分が美味しいと思うなら、まわりにも絶対的におすすめできる。それは自信をもって言える。

ーーホヤは、他の地域だと売り出してるところはあるんですか?

ホヤは宮城県がめちゃくちゃ頑張ってます。ホヤのありとあらゆる加工品を取り扱ってます。やり尽くしたんじゃないか、ってくらいじゃないかな。

ーーなんで宮城県なの?気候的にちょうどいいのかな?

宮城県がもともとホヤの生産量が多くて。一番多いのかな?
三陸沿岸が気候、海流、環境がちょうどいい。それに、北海道でも、種類の違うホヤが穫れます。岩手の他のエリアもやってるし、青森県でも広がっているかんじですかね。

ーーすでにホヤの先行事例が存在しているのかー。
(マーケティング的にちょっと厳しいなあ、と心の中で考えるPRパーソン)

そういった感じで、ホヤに関しては宮城県がありとあらゆる加工をすでにやっていて、それと今回自分たちがつくる商品が何が違うかというと、他は「ホヤをホヤとして売っている」という事実があるんですよ。

ーーなるほど。

ホヤをホヤとして売られると、ホヤ嫌いの俺はホヤに手を出さない。

ーー(ホヤホヤ言いすぎじゃないか)

そもそもホヤが嫌いだと、どう頑張っても手が伸びないじゃないですか。そもそも選択肢に入らない。
いま市場に出ているのはほぼ全て「ホヤ好きのためのホヤ加工品」に見えてしまう。

ーーそこのポイントが差別化となるわけね。
(ちょっと道筋見えてきたぞ、と心の中でほっとするPRパーソン)

そこが一番差別化だと思っていて。「ホヤ嫌いのホヤ漁師が美味いと思えるホヤ加工品」というところを狙っていきたいです。

具体的にいうと、パッケージデザインとかもホヤを押し出すようにはしたくなくて。お酒に合うおつまみ、というのをコンセプトに押し出していきたいと思っています。

ーーホヤという名前も裏のパッケージに実はホヤも入ってますよ、くらいでもいいかもね。

そうですね。ホヤを売りたいけど、ホヤを売ることが目的ではないかなと考えています。ホヤをホヤとして売るのはもう他で頑張ってやっているし、でもそれだと自分だったら買わないから、そうではない加工品を新しく消費者に提供して、消費者に新しい価値、新しい美味しさを提供したいと思っています。

ーーあくまでも「越喜来プレミアム」シリーズでホヤがつかわれている、というかんじね。

そういう売り方ができるといいかなと思っているよね。

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近畿大学連携プロジェクト発足

ーー今回、実は売り方もチャレンジングなことをしようと計画してますよね。

加工品を開発するのもチャレンジングなのに、売り方もチャレンジングにしたいな、と。

今回けんじの他に、同じ大学の同級生で、近畿大学の教員の峯尾圭先生(ぼくらではみねお氏と呼んでる)にも協力してもらっています。

近畿大学経営学部で教鞭をとっていて、彼のゼミ活動の一環として越喜来プレミアムの販売戦略を考えてもらうコンペをやって、実際にそれらを実行しようという大学連携プログラムをやろうと思ってます。

学生らしい真新しい発想で、越喜来プレミアムのブランドを大きくしていけるといいかなと考えています。プレッシャーはかけたくないけど、越喜来というのをどんどんと全国の人に知ってほしいと思います。


<次回へ続く>

次回は、実際の越喜来プレミアム第一弾「ホヤ」の開発工程を公開したいと思います!

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