「自由」そして「イメージの世界」~ 個人投資家宣言のこと
こちらのnoteは運用チームメンバーが“自由に”リレー形式で書いているものです。
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いきなりですが、これは大人気アニメのある場面のやりとりです。
「まさか本当に結界を破壊するとはな。」「なんでこんなことを。。。」
「カンネがかわいそうだったからね。魔法は自由であるべきだ。」
「魔法はイメージの世界だ。水を操る魔法使いに雨の中で勝てるイメージができる?」
登場人物3人のこのやりとりで、大人気アニメのどのシーンか分かった方は相当の“通”ですね。
―「魔法」は自由であるべきだ。「魔法」はイメージの世界だ。―
とっても朝寝坊な少女のエルフ。人間関係に淡泊。そうだったのだけれども、実は千年以上生きていて、その時間をすべて魔法に注ぎ込んでおり、とても強い天才魔法使いの主人公がつぶやいたこの言葉。
この物言いが頭にこびりついて離れない私は、やっぱり「オタク」なのかもしれません。
でも、まあ、もうちょっと読んでください。
このくだりの「魔法」という主語が「投資方法」に置き換えられても、なんだか意味は通じそうではないですか。実際、「マーケットの魔術師」などというような本もありました。
―「投資方法」は自由であるべきだ。 「投資」はイメージの世界だ。―
どうでしょう。なんだか通じそうでしょ。
ですが、主人公たち強い魔法使いと、たとえば水を操る場面だけとても強いカンネとの間には物凄い実力差がありました。このままではもっている力を発揮することもなく、強い魔法使いにいとも簡単に蹂躙されてしまったことでしょう。
カンネはいっしょにいたラビーネとともに、魔法学校を卒業生したばかりの少女です。彼らの世界には、強い魔法使いや魔族、魔物がたくさんいて、自分の力量を理解したうえで知恵をめぐらせて戦いに臨んではいましたが、雨が降っても、その水が地上に届かないドーム状の巨大な結界を絶対者に張られるという、彼女にとっては不公平な状況に置かれていました。主人公が施したのは、そうした条件に対する救済だったのです。
「貯蓄から投資へ」というフレーズが世に出て、投資の最終判断は「自己責任」で、ということもクローズアップされました。
人生というものはそもそも「自己責任」であったはずなのですが、それはさておき、魔法学校の卒業生であるカンネたちは、この「自己責任」の自覚をしっかりともって命がけの戦い(ゲーム)に臨んでいます。
主人公の救済を得て、結局、カンネたちは目先の強敵に大逆転勝利という短期的成果をあげます。でも、それは、こうなれば勝てるという技術を彼女たちがもっていて、それを発揮できる場面がそろったからです。
では、マーケットの魔術師も行き交っているらしい株式市場を相手に「短期的な成果をあげる」のには、どんな技術が必要なのでしょうか?
テクノ?ファンダ?とかいう類のものなのでしょうか。プロが使っているらしい高額商材を入手したり、耳よりな材料をタイミングよく手に入れることなのでしょうか?
もう少し具体的に、ありそうな架空の個人投資家の成功話から、いろいろとそぎ落とした勝利の条件を抜き出してみましょう。
「2022年12月ごろ、黒田日銀総裁がまさかの金融政策(イールドカーブコントロール)を修正したころのタイミング、日経平均株価でいうと2万6千円台で、金利が上がるなら儲かるだろうと大手メガバンクの株価を777円で指値をしたら、見事にその値段で約定。金利上昇は銀行株が儲かるらしいという話が聞こえてきたと思ったら、スルスル株価が上昇して大喜び。年末までに利益を確定したくて、911円で指値をしたら約定。1週間で15%以上のキャピタルゲインをあげました。」
リスクの大きさに違いはありますが、想定した方向に市場価格が動きさえあれば、商品でもFXでもオプションでもなんでもいい。現物株式なら、「株価」投資と呼ばれる所以です。
ただ、
1) 市場観測術
2) 銘柄(投資対象)選択術
3) 売買技術
この3つをそろってキメなければ、カンネたちのように短期間で成果をあげることは難しいでしょう。ゲームと割り切って楽しむ余裕があるのなら、それは結構なことです。
「貯蓄から投資へ」という言葉がマスコミに出はじめたのはリーマンショックより前ですが、そのころでも個人投資家の数は数千万人と言われていました。ただ、ほぼ短期売買。企業の中身など関心がない。関心があるのは材料。新商品、企業買収、株式分割、株価が割安か、などなど。値上がり益狙いの純然たる「株価」投資でした。株価の変化だけを狙う。これらの変化にだけ、意味があるかのように報道するマスコミ。チャートなどトレードの技術論を重視。今と大きく変わっているでしょうか?
たとえば、チャート。その技術を応用できる市場環境が局面により大きく変化するために対応できなくなる。ある技術で一時的に利益をあげても、次の売買で利益が出なくなる。トレードのルールでもって損切り。振り返ってみると大きな損を抱えてしまい、一時の儲けはどこへ行ったのやら。そんな技術だけで成功できる投資家の数は限られてしまう。
本来、フリー、フェア、そしてグローバルなはずの市場は誰もが参加できる公のプラットフォームですが、時に意図的な相場操縦をしかける輩まで潜んでいることも含めて、血も涙もない世界という側面もあることはこれまた事実かと思います。本物の技術論は、それこそ千本ノックのような訓練の積み重ねで身に着くもので、「これだけ」とか「簡単」などという謳い文句の対極にあろうものです。
さて、2003年に、投資、特に株式投資で大切なことは、こうした技術論よりも先に、まずは、人生や社会を豊かにするものの考え方だ ということを基調に、「理念と実践と交流」を三本柱で立ち上がったのがクラブ・インベストライフでありました。
今、私はなかのアセットマネジメントで最年長です。
しかし、当時はまだ40代で、岡本和久さんや澤上篤人さん、村山甲三郎さんらが集まる編集会議に門前の小僧として出続け、編集委員として10年近く務めました。
忘れもしない出来事として、クラブ・インベストライフで <生活者の長期投資元年>「投資ルネッサンス2007」というイベントをうとうということになり、数か月前から、3人のメンバーで私は当日のプログラムをつつがなく進行させる幹事を仰せつかり準備を重ねました。
西暦2007年1月14日、東京・銀座に集まった400人弱の個人投資家の皆さんと下に掲載した 「個人投資家宣言」の採択も果たしました。
今も、私は「投資において重要なのは技術以上にものの考え方だ、哲学だ」と考えております。次回以降この個人投資家宣言について、そこにこめられた意味や思いについて、あらためて考えていくつもりです。 またお付き合いください。
運用部 シニアポートフォリオマネージャー 菅 淑郎 CFA
さて、来る6月30日 このような記念イベントも、当社の近くで開催されることが決まっており、中野社長もパネルディスカッションで登壇予定です。
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この記事は情報提供を目的として、なかのアセットマネジメント株式会社によって作成された資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
投資信託は値動きのある有価証券等に投資しますので基準価額は変動します。その結果、購入時の価額を下回ることもあります。
また、投資信託は銘柄ごとに設定された信託報酬等の費用がかかります。各投資信託のリスク、費用については投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
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