見出し画像

ポートピア連続殺人事件


#心に残ったゲーム #ポートピア連続殺人事件 #ファミコン #中古ソフト  

初めてファミコンを買ってもらったのは、

私が小学5年生のクリスマス。

世間で話題になっていたものの、

それをねだったことも、ほしいと言ったこともなかった。

しかし、

父がクリスマスの夜に、パチンコ屋と同じフロアにあるおもちゃ屋で

突然買ってきたのだ。

最初にプレーしたのは、スーパーマリオブラザーズだったかもしれない。

正直、よく覚えていない。

なかなかゴールにたどり着けなかったが、

回を重ねるうちにコツを掴んで

どんどんステージをクリアしていった。

パチンコ屋と同じフロアのおもちゃ屋には

週末になるとよく父に連れられて行った。

昭和の時代だったので、

父がパチンコに興じている間に私は一人で

おもちゃ屋をみたり、ゲーセンで遊んだりしていた。

おもちゃ屋には中古のソフトが売られていて、

私の所持金で買えるようなものもあり、

面白そうなものを物色して、買うのが楽しみだった。

当時、それが人気があったのかどうかわからないが、

ポートピア連続殺人事件の謎めいたタイトルに惹かれて

手に取ってみた。

そして迷うことなくレジに持って行った。


父のパチンコが終わるのを待ち、

家に持って帰りカセットをはめて始めてみた。


自分で選んだほうへ、物語が進んでいった。

今までのスーパーマリオとは明らかに違ったタイプ。

私は二階の、ひっそりとした祖父の書斎に置かれた、

使われなくなった古いテレビに映し出される

ゲームの中の事件にすっかりのめりこんでいった。

事件の解決には何日も、何週間もかかった。

旅行に行ったこともないのに、

出てくる地名も覚えたし、我が町のような親近感も覚えた。

一生懸命、推理をめぐらせた。

そんな私の姿を、家族は知らないと思う。

書斎に入ると、そこはもう事件の中の世界に

つながっているような気がしていた。

古いカーペットのカビ臭さと、

殺人事件の不可解さもリンクしていた。

自分の意志で、物語の方向を選択する経験ができたのは

このポートピアが初めてだったと思う。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?