島話9 洗濯物があちこちに干してある

家島では、洗濯物があちらこちらに干してある。

道路脇の自転車2台にまたがって干された布団や足拭きマット。
駐輪場のフェンスには近所のおばちゃんが毎日使う洗濯ばさみが色とりどりに置かれている。
防潮堤の上には靴が並ぶ。
川沿いのガードレールには、針金でぐるぐるに巻きつけて棒を立て、それに鉄筋を溶接して洗濯干し場をつくっている。
「すげー!」と思ったのは、車の屋根の上に並んだ運動靴、家の前の植栽の上にひとつ置かれた長靴。

そういえば、食べ物だって、いろんなところに置かれている。
階段横に一段ずつ並べられた白菜。
駐輪場の一角、軒下にぶら下げられた椎茸。
防潮堤と自転車の高さの差を利用して立てかけられた干しエビ。

現在、5㎢のところに人口3200人程度が住むこの家島には最も多い時で7000人以上が住んでいた。
そのため、畑や田んぼを潰して住宅にした。
それでも足りないので、山の上の方まで切り開いたそうだ。
要は土地が足りなかった!
特に海沿いや道路沿いの人気の土地は敷地いっぱいに家を建てたので、洗濯干し場がある家が都会よりも多くほどではない。
そこで、家の前の空きスペースや駐輪場、防潮堤が洗濯干し場として活用されている。
「誰も取らへんやろー」という地域における安心感を背景に、プライベート空間がパブリック空間にせり出してきている面白い事例だと思っている。 

いえしまコンシェルジュ
http://ieshimacon.com

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