島話6 島の仕事について

家島では3階立ての家が立ち並んでいたり、造船所にそびえるクレーンや船のスクリューが置かれているなど、フツーの離島とは少し違った風景がみられるが、その理由は島の仕事にある。
島の主な産業は、採石業・海運業・漁業であり、他の離島には少ない仕事について紹介する。

*船乗り・・・船に乗って荷物を運ぶ仕事で、家島の場合、主な荷物は建材用の石や砂、砂利となる。
また、毎日家島と大阪を往復するなど近くを航海する船、”遠行き”と言われる数ヶ月かけて日本各所を廻る船がある。ハードで危険を伴う仕事のため、収入も保険も高く、50年ほど前は中学を卒業したら船乗りになるのが当たり前だったそう。今でも下の位の甲板員で月の給与が30万円〜となっている。
数年前、小学校の子どもたちに「親の仕事のアンケート」をしたところ、6割近くが船乗りだった。

*船関連の仕事・・・石を切り出す採石場の仕事。スクリューを修理する仕事。船の上から石をつかむバケットをつくる仕事。船内の配線などをする電気屋、船を走らせるためのガソリン屋も船関連の仕事になる。

*漁師・・・3500人程度の家島において100人ほどの漁師がいる。多くは姫路の市場に毎日、獲った魚を売りに行くが、奥さんが島内向けに魚を販売する人もいる。

*土木・建設業・・・道路の補修・清掃などの小規模公共事業が主だが、最近は空き家を取り壊す「家潰し」やお墓を引き上げる「墓仕舞い」が多くなってきている。なんとも残念だ。

高齢者の再雇用について。
最近はどの職種でも65歳になると、一度引退となることも多いようで、再就職先は、採石ではない一般貨物の船乗り、シルバー人材センターへの登録や姫路と家島を結ぶ定期船の綱取り(船が着く際に綱を取る仕事)なんかが多いように感じる。無論、働かずに悠々自適に暮らしている人の方が大多数だが。

女性の勤め先について。
離島でありながら、女性が従事する漁業関連の仕事は少なく、どちらかというと事務職が多い。
採石や海運関連の◯◯組合や◯◯協同組合などの事務所勤務。もちろん家業を手伝うこともあるし、島内の旅館や飲食店、小売店でのアルバイトもある。保険外交員の仕事もある。
また最近、人気があるのは姫路市から委託されて島内を周回するコミュニティバスの運転手だ。バスといってもワゴン車だが、狭い島内を走るのはかなりのドライビングテクニックを要する。やはり、他の民間の仕事よりも、拘束時間も短く(午前午後に分か、時給も高いことが理由だろうか。

漁師町でありながら、漁業関連の仕事が少ないことはさみしい気がする。それだけ、まだ余地があるということか。

追記1
・海苔の検品
漁業関連の仕事がある事を思い出した。家島の大きな漁業といえば、海苔の養殖。12月から2月頃までがシーズンで、最盛期には1日に何万枚という単位で生産する。刈り取ってきた海苔を入れると、100枚の束になって出来上がるところまで全て機械生産だ。また、途中、海苔に穴が開いている"破れ"やきっちり端まで成形されていない"縮み"と言われる不良品はセンサーによって弾かれる。
この不良品をまとめたり、検品する仕事は島のおばちゃんがアルバイトで行なっている。とても簡単な仕事だが、海苔の生産は夜通し行われるため、夜勤体制となるため、肉体的に大変な仕事だ。

追記2
隣の坊勢島(ぼうぜじま)では漁業が盛んで、珍しい仕事があるので紹介する。

・牡蠣の打ち子
坊勢島では牡蠣の養殖も盛んだ。海から揚げてきた牡蠣はざっとゴミを洗い落として、打ち子と呼ばれる島のおばちゃんが牡蠣の殻を開け、中身を取り出す。
熟練のスキルが求められる上に、冬の水仕事のため、最近は担い手が少ないという。
なお、殻付きの牡蠣は海から揚げてきた後、牡蠣殻についているゴミや小さな貝などを機械で落とすため、普通の剥き牡蠣よりも手間がかかるため値段が割高になる。

・ボラの腹を割る仕事
島では魚のお腹を開く事を「腹を割る」という。
坊勢島ではボラの卵でカラスミを作っていて、最近は人気が出てきている。多くのボラの腹を割るのは島のおばちゃんたちのアルバイトだ。

いえしまコンシェルジュ
http://ieshimacon.com

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