島話8 島では足が速い者が英雄

家島の30代40代の人たち数名と飲みに行き、みな酔いが回って来た頃、突然に腕相撲大会が始まって驚いたことがある。
家島の基幹産業は採石・海運業と漁業と、身体が資本の仕事なので、腕相撲でそれを図ろうという魂胆だと思った。
要は、頭がいい・勉強が出来るという事よりも力が強い・身体が丈夫という方が重要度が高いわけだと思って興味深かった。
(ちなみに僕はその時、誰にも歯が立たず、いつものごとくただ笑って見ていたが)

そして、その事が島内で公然となるイベントが運動会の花形である"走り"と言われるリレーや徒競走だ。
都会よりも披露する機会が格段に多い。
小中学生では、新春マラソン大会を皮切りに、幼少中合同体育大会、校内マラソン大会、"ちょーたい"と言われる町民大会と島民の前で走る機会が4つもある。特に、"ちょーたい"は家島島内の宮地区、真浦地区、そして隣の坊勢島の坊勢地区と3地区対抗で多くの島民が参加する一大イベントで、他のイベントよりも熱狂度が違う。
昔は"ちょーたい"の参加希望者が多かったため、リレーの選手に抜擢されるだけでステータスだったというから驚きだ。
自分の家族が他人に負けじと走っているとなると、熱狂するのも頷ける。
競う相手が幼い頃からの顔見知りとなれば尚更だ。

とにかく、これらのイベントの"走り"で目立てば、次の日からしばらくは、同級生はもとより島の人たちから「足早いんやねー」と本人のみならず、家族にも声がかけられるそうだ。

いえしまコンシェルジュ
http://ieshimacon.com

ここから先は

0字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

島の未来を担う子どもたちと旅行に行くために貯めておきます!