眺める
短歌 中西まさこ
空だけは太古の昔から変わらないと君は言う 地に人工物があふれても
君の視線の先の青空を私も眺める 窓越しに ほんの数秒間
日曜日三時半頃にこの窓越しに見る空に 今日は雲が湧き白く輝いている
真っ直ぐに前を向いて君の声に耳を傾けながら眼裏に空の残像を見る
君の声はガラスを通って空まで響く 青空に沸き立つ白い雲まで届く
ほんの一瞬 沈黙した君は ほんの一瞬 視線を空に投げかけた
語り続ける君の声に耳を傾けよう 君を見て 眼裏に白い雲を見て
初出:『未来山脈』2014年8月号
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