和牛券と同和差別問題は関連が有るのか

革靴の輸入関税は「商品代金の30%または4300円の高い方」。以前は60%だったように思う。消費税10%がかわいいものに思えるこんな高率に設定されているのは、国内の皮革業を保護するためだ。
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今回のコロナ騒動による消費の落ち込み分を補填する目的で、いわゆる「和牛券」を発行したらよいのではという意見が自民党議員から出された。
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一部の業種だけ、それも生活必需品ではない牛肉、それも国産牛肉の購入に限って使用できる商品券の配布というのは奇抜に感じる人がほとんどだろう。
議員がそんな要望を出したのは、業界団体の支持を得る為だろう。要請が有ったのかもしれない。ではなぜその団体がそんな力を持っているのか。そんなに構成員が居るわけでもないのに。

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今回のニュースを報じる記事では触れられていないが、食肉業、皮革業というのは過去、多くの被差別部落で担われてきた業種だ。牛馬を殺して皮を剥ぐ、解体する作業は、河原や土地の低い場所で行われて、そこに住む集落の人の仕事だった。そして差別されていた。

江戸時代の穢多(えた)、非人(ひにん)という地位は、その地域に住む人の事なのか、又はその職業の人を指すのかははっきりしない。でもその人達への差別は明らかに存在し、明治時代以降もそれは消えずに残った。差別を無くそうとする多くの人の努力のおかげで、減って行っているように思う。少なくとも、東京での生活では見かけることはほぼ無い。

今回のコロナ騒動での給付金関係で最も最初に”食肉団体への優遇”案が出たことで、あぁ未だにこの問題を忘れずに考えている人が居るのかもと思った。支援は”弱い人”からしなければならない。
実際に提起した議員も南九州選出っぽいし、現在の食肉業界も被差別問題にあまり関係の無さそうな南九州の力が強いので、被差別地域問題とは直接関係ないのかもしれないが。

でも、この和牛券の事を報じる記事、それを読んでの多くの人のブログやFB投稿で、全く差別問題に触れられていない事、「被差別業界へ優遇し過ぎだ」という声が出なかった事で「あぁ被差別問題は解決しているんだな」と逆に感じることが出来た。
良かったんじゃないかな。”和牛券”が実際に発行されることも無いだろうし。

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食肉関係の施設では「差別反対」の告知を絶対にしている。気付いていない人にわざわざ伝えることは、逆に差別意識を植え付けることになるのではと思うし、書くべきか迷ったのだが。

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