◉ 「1 2の……ポカン!」
最近ウチに帰ると5歳の息子が
「お疲れ様パパ。マッサージしようか?」
と言って来る。
しかも遊んでいたプラレールを途中でやめてまで。
爆発的優しさ遺伝子。
そうだろうそうだろう。
君のパパが3歳の頃、一つしか無かった飴を3つ歳上の兄に譲ったという伝説を知っているか。
武勇伝を喋りながらの顔ローラー。
しっかりと受け継ぐそのスキル。
君が大きくなればその温かい優しさも薄れて来るのだろうか。
ポケモンだって
「1 2の……ポカン!」
で忘れるんだから。
そういえば
中学生の頃、同じクラスの女子が彼氏と別れた原因を
「優し過ぎたから」
と言っていた。
「良くない?」
と思っていたが数年後にミスチルも
「優しさだけじゃ生きられない」
なんて歌に乗せていたもんだから
「ミスチルが言うなら間違いない」
と納得した。
納得して立ち去る男。
自分を犠牲にした優しさは持たなくても良い。
本当は遊びたいだろうに。
プラレールしたら良いんだよ。
しかしながら子供がせっかく言ってくれるならしっかりとその気持ちは受け止める。
「マッサージ強めでお願いします。」
と。
「かしこまりました」と小さな手で足を揉んでくれる。小さな手。これがキャッチャーミットなら彼は全て後ろに逸らすだろう。
その5秒後には腕を揉んでくれる。小さな手にはまだ幼い筋力。これがクレーンゲームなら景品を掴んだ瞬間全て落下させるだろう。
そして5秒後。
私の腹の上で飛び跳ねる。
長い。
ひたすらに長い。
終わらない。
千日跳躍。
ワンサウザントジャンプ。
一応こちらも聞いてみる。
「す、い、ま、せ、ん!こ、れ、は、マッ、サージ、で、す、か!?」
彼はこちらの質問に答える事はなく
ただひたすらに笑っていた。
再びプラレールに戻る息子。
動かないパパ。
若かりし頃、週4の空手で鍛えた腹筋も47歳の今となってはポン・デ・リングのような弾力性。
昔俺は体脂肪10しかなかったんだぞ。と過去を振り返ると目の前が滲む。
山手線を走らす我が子を見て、私は出っ張るお腹をさすりながら
「良かったよ。自分を大事にしてくれて。」
と呟いた。
「優しさだけじゃ生きられない。プラレールを選んだ人もいる。」
人生いろいろ。
優しさスキルを優先して自分が楽しむ事を「1 2の……ポカン!」しないようにしてくれ。
何事も無かったようにプラレールに集中し、もうこちらを見向きもしない彼。
我が子よ。
君、パパを
「1 2の……ポカン!」していませんか。
それではまた。
【歌出したんです。】
なかにしが作詞作曲して従兄弟がうたってます。
先日我が子が自宅で口ずさんでました。
「ちゅうちゅうランタンちゅうランタン」
って言ってたんですが。そんな言葉あるのかなと調べてみたら虫用のランタン出て来たんですが。
5歳の我が子も口ずさむ歌。
皆様、是非ぜひ一度お聴きください。