アルメニアンダンス・パート1を推す

吹奏楽をやったことのある人は間違いなく聞いたことがある曲というとこの曲が上がる人が多いと思う。A.リード作曲のアルメニアンダンスである。今回はこの曲をざっくりと紹介したうえで推しポイントを挙げていく回だ。

今回は作曲者指揮による東京佼成ウインドオーケストラの演奏を聴きながら

5つのアルメニア民謡メドレー

アルメニアンダンスは5つの民謡をつなげる形で演奏される曲である。アルメニアの比較音楽学者であるコミタス・ヴァルダペットの収集したアルメニア民謡をもとに作曲されている。

1973年に初演されたこの曲は、プロアマ問わず長く演奏されてきた。アルメニアンダンスはパート1とパート2が存在するのだが、パート1は曲想の変化が豊富で、聴いても飽きない演奏しても飽きない曲である。

民謡をもとに作曲していくのは特段珍しいことではない。国民楽派という人たちは大きなくくりでいうと民謡をもとにしているだろうし、ヴォーンウィリアムズは本人が民謡を収集していたくらいである。

使用される民謡は以下の5つ
・杏の木
・ヤマウズラの歌
・おーい、僕のナザン
・アラギャズ山
・行け、行け

個人的な感想

初心者が演奏するときの関門は、1/3あたりから始まる5/8の変拍子。個人的に「好きだけどやりたくない」と言っている部分である。もとのアルメニア民謡は聞いたことがないまま演奏していたのだが、この部分は元の民謡を聴いても違和感しかないだろう。

この曲に関しては、打楽器の見せ場はほぼ最後の民謡に集約される。それ以外の民謡はリズムを聴かせるか、厚いハーモニーを聴かせることに注力した構成となっている。また、リードさんは音の変化がなくなるのを嫌がったのか、メロディが動かないと思ったら裏で別の楽器が動きを見せていたりする。

メロディーラインを聴いてみると、アルメニア民謡なので、同地域出身のハチャトリアンのような響きをすることがある。アルメニア出身の作曲家をそれくらいしか知らないのでハチャトリアンっぽいとしか言えないが、アルメニア民謡というのはこんな感じなのだろうと感じさせられる。

改めて聞いてみると、「吹奏楽とはこういう曲たちだ」という塊のような曲である。その一方で打楽器等によるごまかしがきかない曲でもある。一見すると簡単に見えるが、その実は音の厚さやボリュームの幅、周囲の音との溶け込みを意識しないといけない曲であり、できなければ貧相な演奏になる。この魅力に取りつかれる人が多いのではないだろうか。

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