二月の勝者
日本テレビで今年の10月から放送が開始されたドラマ『二月の勝者』を観ました。
このドラマの題材は【中学受験】。
僕自身も中学受験を経験したので、放送前から気になっていました。
このドラマの煽り文句として出てくるのが、
「合格に必要なのは、父親の経済力と母親の狂気。」
少々残酷な聞こえ方がしますが、これは事実です。
経験した人はわかると思いますが、中学受験で出題される問題というのは、公立の小学校で習う内容の延長線上にはありません。
特殊であるために、高校受験や大学受験のように参考書を買ってきて、自己学習で合格を目指すというのは無理があると思います。
中学受験に特化した塾に入ることは必須。
国数理社の4科目を学ぶとなると、週3〜4日の授業。
また、長期休みとなると、毎日講習。
父親の経済力は必要となってきます。
続いて、母親の狂気について。
中学受験は本来であればやる必要性はありません。
なぜなら、そんなことをしなくても公立の中学校があるから。
中学までは義務教育であるため、いくらでも受け皿はあります。
ではなぜ、中学受験をするのか。
それは良い言い方をすると、親が子供の将来のことを考えて。
悪い言い方をすると、親のエゴです。
自ら進んで受験を始めるという子供はほとんどいないと思います。
遊び盛りの高学年の小学生は、最初から進んで勉強なんてしません。
しかし、高学年の小学生はそこまでバカでもありません。
塾に行き、授業を受け、母親が作ってくれたお弁当を食べ、また勉強、夜遅くなったら親が迎えにきてくれる。
こんなのを毎日繰り返していると、親の期待というのを子供は感じ取ります。
初めはイヤイヤ行っていた塾も
[行かされている]なんて思っちゃいけない。
これが当たり前ではない。
期待に応えたい。
一緒に頑張ってきた友達と合格を掴み取りたい。
というように、能動的な意識が芽生えてきます。
このフェーズに行くまでは、母親の狂気。これが必要になってきます。
第1話で出てきた、もう一つの印象的なセリフとして
「凡人こそ中学受験をすべきなんです。」
があります。
これは息子をサッカー選手にしたいがために、息子の入塾を拒否している父親に対して、塾講師の主人公が放った言葉です。
ここでは、プロサッカー選手になれる確率と志望校に入れる確率を具体的に提示して説得したのですが、僕はこの確率論以外の理由でも「凡人こそ中学受験をすべきだ。」と感じています。
僕は凡人です。
何かスポーツに秀でているわけでもないし、学級委員だったこともない。クラスの中心的な人物でもない。
側から見たらただのモブです。
両親が共に中学受験を経験していたので、小学校5年の時に中学受験クラスに入れられました。
最初は例に倣ってイヤイヤでしたが、徐々に自分のためという意識を持つようになりました。
受験の結果としては、第一志望校にこそ合格できませんでしたが、第二志望校に引っ掛かることができました。
中学受験は辛かったけど、楽しかったです。
眠い目を擦りながら夜遅くまで自習室でみんなで勉強するのは楽しかった。帰り際に塾の先生がジュースを買ってくれて、みんなで飲んだ。
模擬テストで一喜一憂。得意な科目は周りに教えたり、逆に苦手な科目は教えてもらったり。
第一志望校に落ちた時は、先生は一緒に泣いてくれた。
中学受験は、
仲間の大切さを教えてくれた。
親以外で初めて信頼できる、尊敬できる大人に出逢わせてくれた。
そして、人生で初めての挫折も味わわせてくれた。
進学したのは中高一貫の男子校。
多感な時期を共に過ごせば、それは仲良くなりました。
一生の友達が1人、2人、、3人はできました。
そして、僕は地方の国立大学に進むことになりました。
ここで気づいたんです。
自分がどれだけ恵まれた環境で過ごしていたのかを
中高6年間で出会った人は、似ている価値感の人が多かった気がします。
価値観がほぼ一緒なために、衝突も起きなかったし、イジメもありませんでした。
大学はいろいろな人がいます。
みんな違うバックボーンを持っているし、もちろん価値観も全然違う。
中学生の僕がこのような環境に放り込まれた時、やっていける自信はありません。
18歳になっていたから大丈夫でした。
そういう意味で、凡人の僕には中学受験が向いていました。
社会を生き抜く上で、自分と違う環境で育った人とやっていく。多様性を認めることは重要だと思います。
社会に出る前に経験しておいて本当によかった。
大学生活を経て、一生の友達はしっかりできました。
その点は安心してください。笑
一方で、僕の弟は中学受験をせず、公立中学、公立高校、国立大学と進みました。
兄の僕から見て、弟は凡人ではない。
スポーツはできるし、学級委員もやっていた。クラスをまとめ上げるある種のカリスマ性があります。
自分で何でも切り拓いていける人には中学受験は必要ないと思います。
真面目なんだけど、自信がない、目標がない。
そんなお子さんに勧めたいです。
「凡人こそ中学受験をすべきだ。」
なかじま
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