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汚れちまった悲しみに 

汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の革裘
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる

汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む

汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる……

中也の代表的な詩だよね。
下手に70男が注釈をつけると恥をかく。
感性が研ぎ澄まされて、もろ刃のヤイバみたい。
中也は30歳で亡くなったそうだ。
これじゃ長生きできないよね。
詩は言葉で表現するけど、返す言葉が見当たらないよ。
ご愁傷さまとしか言いようがないじゃないか。
随分と酒癖の悪かった男らしいよ。
太宰がいじめられてシュンとしてたってさ。
この詩を鑑賞しろって?
そんなことできないよ~
きっと天才なんだろうな。
凡才でよかった。70過ぎまで生きてこれたからね。
でもこの先どうしよう?

『埋れ木の 花咲くこともなかりしに 身のなる果てぞ哀れなりけり』
意味が違うけどね。

NHKの朝ドラで今、中也やってるよね。見てないけど。

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