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地方公共団体の部「優秀賞」受賞! 地方創生☆政策アイデアコンテスト2021

地方創生☆政策アイデアコンテスト2021の最終審査会に出場しました。
まさかの!?地方公共団体の部「優秀賞」を受賞しました!大臣賞1と優秀賞2なので、3位以上は確かですね。
九経局さんによると、長崎県エリアでの受賞は初めてだそうで、光栄です。

壱岐イルカパーク&リゾートのスタッフの皆さん。
いつも応援してくれる地域の皆さん。
島の外からも応援してくれるサポーターの皆さん。
想いのままに挑戦させてくれる市役所の皆さん。
そして、単身移住して、懸命に施設の再生と地域の未来に向けて尽力してくれている高田佳岳さんが、居てこそのプロジェクトなので、感謝してもしきれない。
皆さん、本当にありがとうございます。

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イルパスタッフのみんなと(全員と撮りたかった)

壱岐島リブートプロジェクト
〜観光施設の再生から地域経済をリブート(再始動)するプロジェクト〜

ところでどんな内容なの?ってことになりますよね(笑)
7分のプレゼンでは、話せなかった部分も少し補足しながら書きますね。

壱岐市の課題分析(RESASより)

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長崎県壱岐市(壱岐島)は、日本平均の25年先水準の超高齢化社会です。高校卒業後、進学就職で島外に若い世代は流出し、Uターンも少ないです。

2020年:約26,000人→2030年:約20,000人。旧勝本町や旧石田町が4〜5千人の人口なので、ひとつの町から人がいなくなる規模の人口減少が目の前に迫っています。

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地域の経済循環はどうでしょう?グラフの赤色、地域外からの流入が比較的多いです。農業や漁業が基幹産業ですが、地産地消だけで経済は回っていますか?ほとんどが、農協や漁協の市場出荷で、島の外に売って稼いでいます。地域内での消費を考えてみても、観光消費など地域外から流入してくるものの方が多い印象です。コロナ禍で、2020年4〜5月は、本当に経済が止まった。と感じたので、この分析は妥当なのかなと思います。

課題から企画

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行政の役割として、福祉、保障やインフラの維持なども重要ですが、地域GDPをどうやって増加させるか。という部分もあります。一般財源が少ない(財政力が弱い)とここに投資は難しいわけですが、国の交付金制度等を活用すれば、手出しは少なく投資することができますし、回収(投資効果)も早期にできる可能性が高いです。

GDP=消費+投資+政府支出+(輸出ー輸入)

人口が減ると、地域消費は減りますし、民間投資も減ります。政府支出も普通交付税等財源も減るので、減少します。では、どこで地域GDPを増加させるのか?

まずは、輸出入の部分、「外貨獲得」がポイントと考えました。

壱岐イルカパークを再生して、観光集客力を高め、地域の事業者さんと連携して、お客様をシェアすることで、観光消費を拡大、滞在時間を伸ばして、地域経済の活性化を目指すプロジェクトを企画しました。

これまでのイルカパーク

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これまでのイルカパークはこのとおり、過去最高7万人の入園者もありましたが、近年は25,000人程度、入園料200円なので、売上約500万円、管理費3,000万円(人件費含む)。つまり、毎年2,500万円の赤字観光施設でした。

取り組むきっかけは

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取り組むきっかけになったのは、2つの出会いから。

当時、政策企画課で地方創生や有人国境離島法の制定から制度定着の担当をしていた頃に、特定有人国境離島地域プロジェクト推進アドバイザー(内閣府)を委嘱されて全国の国境離島を巡っている高田さんと出会いました。魚の流通のこと、島の産品の販路開拓、観光のことなど、話ながら島を案内している中で、イルカパークに無理やり連れて行きました。自分も働き出して10年近く、行ったことがなかった。寂れていて何もない施設。海と生きてきた海が大好きな高田さんにとっては、飼われているイルカなんてみたくないと何度も断られ続けて、やっと連れて行って、結果は、、、

「だから言ったじゃん。最低の施設だね。」
「ひとつだけ救いがあるとしたら、トレーナーたちは、すごく可能性があると思う。」

僕もまったく同じ印象でした。

だから、なんとかしたいんで、手を貸してください。もう落ちるとこまで落ちてるんで、上がるしかないです。広告代理店経験ありますよね?大学・大学院も海洋系で知識も僕ら素人よりありますよね?
とはいえ、僕は、現場担当でもなく、交付金の窓口なので、後方支援になりますが、勝本が地元なので、想いだけで突っ走り、、、アイデア出しと壁打ち手伝ってもらって、事業計画を立てました。幸いにも採択されたし、異動して自分で責任持ってやらせていただけて感謝。

潰すか。がっつり投資するかの二択だなと。中途半端はやらない方がまし。と国に相談に行って、内閣府の参事官からそんなアドバイスをもらいながら、皆さんを説得してた頃が今では懐かしいw

プロジェクトのポイント

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ポイントは、すごくシンプルで、寂しい施設をちゃんと観光施設にするために、空間をデザインしましょうってことと、島の人の当たり前になってる自然や食、体験の価値をちゃんと見直して、マネタイズしましょうってこと。

目標を入園者数5万人、客単価1,000円以上=最低でも5,000万円の売り上げに設定しました。

推進主体を株式会社で設立

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進めるにあたって、株式会社を作りました。
なぜかというと、行政や非営利の一般社団法人だと、最終的に、非営利なんでって逃げちゃいますよね。背水の陣といいますか。失敗は許されない。そんなプレッシャーの中、営利企業として、運営組織を作ろうと。行政ではできないことができる組織。稼ぐ組織。縛られない組織。

民業圧迫と言われました。本当にそうでしょうか?隙間を埋める。足りてないところを強化する。そういうことを意識しながら、挑戦してきたつもりですが、、、(この辺は長くなりそうなので、割愛)

重要なのは、公共施設を維持するのではなくて、施設を最大限有効活用して経営すること。なので、指定管理制度への移行から、将来的な民営化を見据えて、ただし、民間に丸投げするのではなくて、行政も一緒に施設を立て直していくために第三セクター方式で、株式会社を作りました。特に、イルカのいる施設なので、丁寧な引き継ぎは超重要でしたし。

第三セクターは悪。ってイメージ強いですが、ネオ3セクモデルとでもいいましょうか。民営化まで考えていれば、有効な手法だと思います。総務省からの通知にもそうありますしね。特に離島過疎辺地と条件不利地域にとっては、大企業が入ってきてくれることなんてほとんどないので、自分達でできる可能性に懸けていくしかない。

リニューアルの仕掛け

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前述のポイントに書いた通り、島の人の当たり前が、訪れる人には魅力だったりするわけで、満喫できるような仕掛け、自分達も楽しめる仕掛けを色々と作って行きました。
前例のないお願いや相談に地域のためにお前がやるならと、協力してくれる地域の皆さんには本当に助けられました。

リニューアルの結果は?

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結果、入園者数は令和元年(リニューアル直後)サービスのトライアルをしながらでしたが、約33,000人に増えました。体制も整ってきたし、来春から本格稼働!と思っていた矢先に、コロナ禍です(泣

4割減りました。完全に島への観光客数に比例していて、受け身の施設なので、仕方ないと諦めつつ、オンラインツアーなどできることを模索する日々。

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売上は、令和元年は体験コンテンツのプロトタイプをとにかく試していたので、売上は伸びてきてるけど、少なめ。その甲斐あって、サービスが整い本格稼働になった令和2年は入園者数が4割減少したけど、売上は伸びて、客単価も1500円台に1.8倍に伸びました。

とはいえ、まだまだ。なんとか踏ん張ってますが、入園者4割減は厳しいです。

早く観光需要が回復してくれることを願うばかりです。

地域への波及効果も少しずつ

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地域への波及効果として、やはり、人の流れが生まれるとまちもざわざわとしてくるもので、一緒にまちを盛り上げたいとか、こんなこと考えてて手伝ってくれん?とか、色々お声かけいただいて、お手伝いさせていただいたりしながら、トモさんのISLAND BREWERYや、勝本漁協さんのヒヨリミテラスがリニューアルしたり、まちが盛り上がってきています。こういう流れってすごく素敵です。

コロナ禍でも立ち止まれないので、次のステージへ

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コロナ禍で厳しいのは、僕達だけじゃないし、立ち止まるわけにもいきません。厳しいからこそ、「内省」する時間ができたし、たくさんの出会いの中で、気づきやアイデアをもらいました。本当に応援してくださる皆さんに感謝です。そして、素敵な人たちを引き寄せてしまう高田さんの不思議な力。

次のキーワードは
「No one left Behind」誰一人取り残さない

①心のバリアフリー

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あるお客さま(障害者支援施設の経営者の方)の一言で(高田さんから聞いて)目から鱗でした。

「あなたたちに介助は求めていない。私たちは万全の準備で来ている。自由に使わせてくれることがバリアフリーだよ。」

施設面のバリアフリーは、屋外施設ですし、予算もないし、対応に限界があって後回しにしていたし、無意識にターゲットからも外していました。ソフト面のバリアフリーなら誰でも取り組むことができます。

将来的には、護岸からダイビング用のリフトで、高齢の方でも、障害のある方でも、ストレスなく、海に入って、イルカと触れ合えるようにしたいよね。なんて、夢を語りながら、できるところから始めていこうとしています。

これには心強い仲間が、奄美大島の瀬戸内町で障害者向けマリンアクティビティを提供しているゼログラビティの河本さん!以前から何か一緒にできたらって話もいただいて、パートナーシップ協定も結んでくれました!

②島の日常に学ぶ

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もうひとつは、「学び」
壱岐島は、日常の中にたくさんの学びの要素があります。意識していないだけ、良いところしか見ていないだけ。
SDGs未来都市にも選ばれていますが、環境の変化、生活の変化、変わらないようで変わっている自然。島と向き合うと、地球規模のことから、自分の生活のことまで、繋がって理解できて、主体的に考えて行動するきっかけが作れると思います。

地域の人たちとも、この島でどう生きていくか一緒に考えながら、外から訪れる人には教育旅行や、子どもたちの生きる力を伸ばす”旅育”、企業向けの研修や合宿などいろんな学びと成長の機会を提供できる仕組みづくりをしていきたいと考えています。

まだまだ、色々と考えていますが、今言えるのはこの2つ。元々かゆいところに手が届くようにというか。島に担い手がいないところを受けれるように心がけているので、いろんなお話いただいています。(誰かやりたいなら、できるなら、全然やってもらって大丈夫。)

DRCと出会ったからこその今

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こういった次のステージを考えることができるのも、アメリカフロリダ州にあるDRC(ドルフィンリサーチセンター)との出会いがあったからこそ。IMATAに出席してみたいというトレーナーの夢と、いろんなご縁が繋がって、できた貴重な機会に、すごく多くの大切なことを学びました。詳細はショートドキュメンタリー動画を、ぜひ観てください。マンディの言葉に、毎回、泣きそうになります。



「ドルフィナリティ」Relationship

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彼らは、人にパーソナリティがあるように、イルカたちにもドルフィナリティがある。それを尊重する。と言います。”Relationship””Trust”が大事だと。

これは、人と人にも置き換えることができますし、全てにおいて大事なことだと思います。

この考え方をベースに、壱岐イルカパーク&リゾートのスタッフは日々活動しています。一度、足を運んでください。明らかに他の施設とは違う。信頼しあっている感じというか。観ていただければわかるはずです。

何十年かかっても、実現したい未来

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世界中のどこよりも、ヒトとイルカの距離が近い場所にしていきたい。
(これは壱岐イルカパーク&リゾートで働くトレーナーの夢でした。イルカと会話したい。意思疎通したい。とすごく純粋な。いつしか施設全体の夢になりました)
DRCに教えてもらっているRelationshipを体現することで、人も動物も信頼関係で結ばれた豊かな未来へ。誰一人取り残さない持続可能な社会へ。

何十年か先の未来に向けた第一歩を応援よろしくお願いします。


良く言うと「現場考動主義」
まぁ、行き当たりばったり(笑)

素敵な出会いやいただくご意見、アドバイスを受けて、とにかく挑戦しています。倒れる時も前のめりでwwwやってみてダメなら、次。
不安定な世の中で、今日の正解が、明日の不正解かもしれないし、とにかく歩き続ける。止まらない。迷惑ばっかかけてますが、応援してくれる人が一人でも増えると嬉しいです。


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