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浅田次郎『降霊会の夜』〜飛行機の中で号泣〜ー2023.11.01

【お知らせ】
本村より先生のラジオにゲストとしてお邪魔させていただきます!

R’s Message Vol.46
2023年11月3日(金)20:00〜20:55
テーマは「面白いとはなにか Part2」


ミュージカルナンバーは・エルコスの祈り・スヌーピーザミュージカルなどからお届けします!
ストレート、漫画、ドラマなど、ミュージカル以外の話もたくさんします!
金曜20:00からFMプラプラ(アプリ)よりTOKYO854 くるめラにアクセス!もしくは下記URLからも試聴できます
https://fmplapla.com/fmhigashikurume

※より先生についてはこちらの記事から↓
より先生の楽しいミュージカルライフ!:創立編
より先生の楽しいミュージカルライフ!:資金繰り編
より先生の楽しいミュージカルライフ!:集客編

お時間ある方、ぜひご視聴ください!

死んだ人の魂が話しかけてくる

さて、先日宮古島に行ったことについて書きましたが、往復の飛行機で読んだのが浅田次郎さんの『降霊会の夜』です。

初版は2018年。
知り合いからいただいた本で、長らく封印されていましたが、やっと読むことができました。

(あらすじ)
初老の私はしばしば女と歩く同じ夢を見る。ある嵐の夜、家の庭にうずくまっていた女は、その夢の女と瓜二つだった。梓と名乗った不思議な女は、誰か会いたい人はいないかと尋ねてきた。西の森にジョーンズ夫人という霊媒者が住んでおり、この世にいない人であっても会わせてくれるという。私は小学三年生のとき、クラスに転校してきた「キヨ」の名を告げた……。

森の中の不思議な家で行われる降霊会。死んだ人間たちが複数人出てきて“あのときの真実”を語る様子は、芥川龍之介の『藪の中』にちょっと似ています。

前半は主人公の子供時代、後半は大学時代がテーマ。
いずれも戦後の慌ただしい時代を描いているのですが、前半がノスタルジックで切ない話だったのに対し、後半は青春恋愛ものになっており、かなり印象が変わります。

私は前半のお話が好きでした。

タオルなしには読めない

主人公の学校に転校してきたキヨという少年。いかにも貧しい風貌で、誰もキヨに近寄ろうとはしません。しかし、主人公の「ゆうちゃん」は通学路が一緒だという理由から、キヨと毎日登下校をするようになります。

キヨは自分の父親は銀行員で、家はとてもお金持ちだというのですが、それは全部嘘。ゆうちゃんは嘘と知りつつ、キヨのためを思って何も言いません。

そんなキヨはある日、車にはねられ亡くなります。キヨを車道に突き飛ばしたのはキヨの父親でした。

キヨはどうして嘘をついていたのか、父親はなぜキヨを突き飛ばしたのか、母親はそのとき何をしていたのか。3人の魂が降霊会に現れ、各々語り始めます。

戦後の貧しい家庭の悲惨なお話です。
キヨがあまりに可哀想で、飛行機の中で号泣しました。
最初はちょっと我慢しようかと思いましたが、どうせ誰も気にしていないだろうと思い、タオルを首からかけて涙を拭きながら読みました。

どうしようもない切ない話でしたが、最後に少しだけ救いがあったのが良かったです。

後半のお話ももちろん面白かったのですが、パソコンとともに本もバスの中に置き忘れてしまったおかげで、ちょっと気持ちが途切れてしまいました。一気読みできればまた違った感想だったかもしれません。

不思議な怪異譚で、良い本でした。

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