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「次女、緊急入院するも、希望が見えた!」

「パパ、なっちゃん、いつ心停止してもおかしくない状況だって。今日は受付終了してるから、明日朝一で緊急入院だって」
泣いて長女、未空(みく)からLINE電話があった。七海の会社で受けた健康診断書を写メして病院に送ったのだ。
「パパも明日、一緒に病院に行ける?」
七海、再入院となった。

20歳の次女、七海(なつみ)と同居していて職場も同じ22歳の長女、未空。
妹が拒食症とわかっていても、何もできないもどかしさ、心の悲鳴が聞こえた気がした。
「パパ、よく病気のママと22年も頑張ったね。私、もう無理かも」姉妹の同居生活は2年になる。

「痩せすぎてるからか、心臓の音が近くで聞こえる気がするし、ママが亡くなる前にろれつが回らなくなってたけど、私、今、ちょっとろれつが回らない」と、次女、七海。それを未空が聞いたのは、七海が入院する前日のこと。

5年前に拒食症で亡くなった妻と22年共に闘った俺が毎日、自分の無力さに打ちひしがれて、亡くなる直前は、会うのを避けるようになっていた。妻が寝ている時間に出社、寝てから帰宅の日々だった・・・。毎日ミイラのように痩せこけていく妻を見るのが耐えられなかった。身長160cm、体重29kgで亡くなった。最後まで「入院はしたくない。自分の意志で治すから」といい続けて、入院しようとしなかった。

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七海が俺にLINEでSOS電話をしてきたのが、4月1日、長男がERで麻酔無しで3針縫う大怪我をして帰宅してすぐのことだった。

「3年前に入院していた時より低い体重になってるけど、入院はしたくない。食べるのが怖い。太るのが怖い。でも食べることが好きだから、食べちゃうと罪悪感で、その後は食事を抜くの」
ママとまったく同じセリフをいう七海。いてもたってもいられない。3年前より身長が1cm伸びて158cm、体重は30.1kgになっていたのだ。

「この病気の一番恐ろしいのは脳が委縮して、周りの声を聞かずにどんどん頑固になっていくこと」
3年前の入院時、担当医師に言われた。

3年前、入院しても体重もBMIもどんどん減り続け、最低31.8kgになって、「死」について何時間も語り合い、入院して初めて1kg増えた時、「3日間で1kgも増えちゃった。また罪悪感・・・」そう言われた時の絶望感・・・人生で一番辛い時だった・・・。

本人の「入院する」という意思がなければ病院も受付てくれない。この2週間、なんとか病院に連絡してプロの意見を聞くように説得。3年前、入院してもすぐによくならなかった。でも、命を救うのは医者に任せ、その後、家族全員が幸せと感じられることを一緒に考えてやっていこうと判断した。いろいろあるオプションの中で、まずは会社に事情を話して休みをもらうことになった。七海はホール責任者になったばかりで、そんな体でも「新人の社員やアルバイトに教えなければ」と張り切っていた。

無意識に消費しようと、よく動くから、はたから見ると元気に見える。でも、それが命取りになることもある。階段の上り下りだけでも心停止はありうる。当時、17歳だった高2の七海に、「宿題も消費ですからやってはダメ。」と医師に言われたのを思い出した。

会社の上司が「少し会社を休んで元気になってから、また一緒に働きましょう」と言ってくれて、病院に連絡する気になった七海。そこで、即入院、しかも重症と判断され、個室になった。

入院1日目。「3食完食したよ」って証拠写真を添えて、LINEにメッセージが届いたとき、俺は、思わず声を出して嬉し泣きした。

2日目。「今日も3食完食しました!これから毎日夜ご飯食べ終わったら一日の撮った食事を送ろうと思ってるんだけど、毎日送るのはちょっとしつこいかな?」って、どこまでも真面目な七海。

俺はこう返信した。

証拠写真なんてなくても、送りたいときに送ればいいよ。「信じる」ってそういうことだよね。「~しなければならない」から自分を解放してあげよう。義務感でやってると何事も続かないから。何事も楽しくないと続かない。毎日送るのが七海が楽しいなら、やればいい。どんなことも「楽しくやるためには?」って自分で考えて判断して行動するのは大切だと思う。退院してからもね。

たとえば、パパはふうまの保育園の送り迎え、ベビーキャリアで坂道を上って毎日往復1時間、送迎だから毎日2時間。「ウォーキングルートとしては最高!って思いながら歩いてると、毎日ふうまと登山してるみたいな気分+なまった身体に筋トレできてる」って考えるだけで楽しくなったよ。だから、ただ歩かない。毎日の楽しみに変換してる。

食事も同じ。ただ食べない。ながらで食べない。それが味わい尽すこと。病院食も楽しく食べられたら、最高だよね。一瞬一瞬を大切に生きよう。そう考えると仕事で忙しくしてた時より、入院も悪くない。

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2018年10月、会社たたんで、気付けて実践していること。「正しいことより楽しいこと」「楽しくないと続かないしパワーが生まれない」「頑張るより夢中になること」「~しなければならない」からの解放。義務感よりも内発的動機が重要。不安、恐れからの自由。自分が何をしたいのか本当の声が聞ける心のゆとり。自分の価値観を押し付けないこと。何より家族を優先すること・・・

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「言うは易し、行うは難し」だが・・・
最近の俺のテーマは、信じて見守ること。
そして、自分自身も含め存在そのものを全肯定すること。

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七海も今回は入院初日から本気で治そうとしている。拒食症を完治した素敵な友人とLINEで繋がっている。セラピストのパートナーの美香がいる。俺も会社倒産・自己破産直前の3年前とは違う。今、金はなくとも心に余裕がある。余裕がないと、何をやってもうまくいかないのを経験から知っている。だから、すべては、良い方向に動いている。そう信じて一歩でも前に進もう!

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隊員Ayanoの名言!
   この身体は
   この世界と人生を楽しむための乗り物だ
   by あやの


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