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ロマンス詐欺未遂の8日間

 私、ナカムラ・エムは何年か前にインスタグラムを始めました。
当初はなかなか増えないフォロワー数にモヤモヤしていたりもしましたが、最近では何人フォロワーがいるのかもちゃんと把握していないくらいです。  気ままに愛犬マフオの写真をアップしています。 いつも気にかけてくれている人もできて、コメントのやりとりもしています。 大体がマフオと同じ老犬と暮らしている人達からのアクセスです。
ところが2023年も残り少なくなったここへ来て思いもよらない8日間が繰り広げられます。 「ねえ、私ロマンス詐欺にあうところだった」

ファーストアクション 2023年12月12日

 先日マフオの何年か前の写真で可愛いのが出てきたので、インスタグラムにアップしました。そうしたら、はじめての方からいいね!とコメントがきました。
「写真の犬は私の好きなタイプです。気品があるように見えますが、これは良い性格で、普段はやんちゃでしょうか」となんか言葉の言い回しがぎこちないので、外人さんなのかなと思いました。 
「運動能力の高い犬種だから若い時は相当やんちゃでしたが、今はおじいちゃんなのでよちよちしていますよ」と返すと「私が前に飼っていた犬もとてもやんちゃで、おじいさんとおばあさんになってから、毎日の生活は寝るだけの生活でした。」というやりとりの後、私の投稿にいくつかいいね!を付けてフォローしてくれたのでフォローバックしました。 
そしたらトークルームに美味しそうかつダイナミックな、金目鯛の煮付けと、卵とトマトのスープの写メと「こんにちは、フォローありがとうございます。私は一人で夕食を食べていますが、あなたは夕食を食べましたか。」とアクセスがありました。
私は「美味しそうですね 私もさっき食べましたよ お国はどちらですか?」「私はアメリカ生まれで、東京にきて数ヶ月、日本の家庭料理も勉強しました。」「魚は清酒、醤油、味噌を使った煮込みです」「日本語は勉強したの?」
「私の母は日本人で、母はアメリカで二番目の結婚です」「私は母の日本語を勉強しました」そろそろ終わりにしたい私は「そうなんですね またステキな写真をアップしてください」と返すのですが、終わりません。 この時点まで私は女の子かと思っていました。
文章は真摯で絵文字も少ないので、日本にきて間もなくて淋しいのかなと思って、私が話し相手になって少し紛れるのなら、まあいいかくらいの気持ちでした。
「私はあなたがアメリカ人の遺伝子を持っていることを発見して、日本人とアメリカ人はとてもコミュニケーションのよい国です」「えーそうですか 今ね、私『もうひとつの異邦人』読んでいて、面白くなってきたので、また今度」と再度終わりを試みました。
日本人のニュアンスは伝わるのかなと思いつつです。 
そこで送られてきたのが、親子三人の写メです。 どこかのレストランでの食事の時に撮ったのでしょう。
堅実そうな50代の日本人のお母さんとその隣には、20代後半かな、ロングヘアの綺麗な娘さん、そして左側には、胸板の厚そうな30代位の男性が写っています。
日本人要素の強い彼の顔には、2割アメリカの要素が添付されていて、精悍かつ、キュートで、清潔感に溢れています。 「外国人にそんなに親切にしてくれてありがとう。 私はいつも日本の国が、一番礼儀正しいと思っています。 私と母と妹もいます。父はいつも出張で忙しい」 「あなたはこの綺麗なお嬢さんですか?」と少しとぼけてみました。「私の母のことですか?」「いいえ、真ん中の立っている人です」
「あなたは男ですか?それとも女ですか?」「それ、私も聞きたいです」と返すと「あなたは、私が男の子であることを聞きたいですか」とどちらにも転べる反応です。
「ごめんなさい。意味がわかりません。お互いに少し警戒心を持ちましょう。インスタグラムでのやりとりは基本しない主義なので、これでおしまいということで」
私は彼が、近年みない程、素敵なことに違和感を覚えました。 
この容姿なら苦せずして、話し相手になる友達くらいできるはずです。しかしここから、彼の意味不明な、論点のすり替えが始まります。
「どうでもいいと思います。 私が日本に来てから日本のネットハラスメントが深刻で、ニュースでも報道されています。アメリカでも同じような状況が発生していますが、インスタグラムではまだ多くの国の人が交流できると信じています。私たちはネット騒動の問題で外国人の信頼を壊すべきではありません」 ことが大きくなってしまいました。
そんな大層なことを言ったつもりはないのです。
「でも私は未知の出会いを求めていません。インスタグラムは写真を通したライトな交流の場としか考えていません」ときっぱり断ったつもりでした。 受け答えするから延々と続くんですね。もう放置しとこうとここから放置をきめこみました。
「インスタグラムは生活写真をシェアするソフトウェアで未知の出会いはあなたの考えにすぎないと思います。他の人はあなたの投稿を好きになる権利があります。私のアメリカでの生活とはとても違います。アメリカは開放的な国で、日本は保守的な国で、日本とアメリカの国はとても身近な国であることが少し分からないかも知れない」

翌日の朝 12月13日
「おはよう 今日は寒いので暖かくなる準備をしなければなりません。
寒い日は暖かい服やコートを着て身体の温もりを保ちましょう。 あなたはまだそんなに熱心なアメリカ人に慣れていないかも知れません。
今は車で会社に行って会議をして、自分の世話をしなければなりません」 
いいよほんと自分の世話だけしてくれよ。私のことはほっておいてくれ。これは私の心の声です。

そして同日20:37
夜の銀座の写メと共に「夜の銀座はとても賑やかで商店のネオンが色とりどりに点滅していて、雰囲気たっぷりの光景で、楽しみにしていたショッピングにサプライズをくれました(笑)」

12月14日 9:44
朝食の写メとともに「おはようございます。太陽の光が輝く天気は散歩に適しています。 私は朝食を食べています。 後で昭和記念公園を散歩します。 
今日はなにか予定がありますか?」 優雅だな仕事はどうした?

同日11:11
「WHY? よくわからないけど、話がしたいの? 私は多分あなたのお母さんよりも年上だし、ちょっと面白いくらいの人です。 お金持ちでもありません。 もっと身近で素敵な人を、探したほうがいいと思います」
「年齢の差を気にしないでください。 私は日本に来たばかりの頃、よく老人アパートにいきました。 彼らは私に日本文化を教えてくれました。 時々私は彼らの言う事が分からない事がありますが、老人たちはいつも優しく辛抱強く説明してくれます。 私は年上の人と交流するのが好きです。そうすれば私は多くの知識を学ぶことができます。 私たちがSNSで楽しく付き合うことを願っています」
「OK じゃあたまににして、毎日じゃなくていいよ。 あと悪いけど老人まではいってないから。ちょっと手前です。  今度髪色、ピンクにしようと思っているくらいだから」
「私は友人と話をするのに熱心で、私もまだ老人になっていません。 私が日本で知り合った協力友人は、40~60才です。 あなたは今年いくつですか。 年齢を聞くと日本の女性の機嫌を損ねるかも知れない」
「そうですね。 よくわかっていますね。 この間、視力がだいぶ落ちたと言っている人に、かわいいと言われましたが、たかがしれています。
まあ若くはないけど、それなりに今は楽しいかな」
「あなたと一緒に話すのも楽しいです。あなたの家族は、あなたがかわいいといっていますか」 
「日本人の家族は身内に、かわいいなんていいませんよ。 あなたはどんな仕事をしていますか?」 
「昭和記念公園を散策してきれいな紅葉風景をたくさん見ましたが、周りは人で賑わっていて今の気持ちにピッタリです。昭和記念公園にきたことがありますか?」
「あるかもしれないです。」「私はファッションデザイナーでデザインした服はとてもおしゃれです。いろんな国の服のスタイルを組み合わせて、新しいスタイルをデザインするのが好きで、これが私の仕事です」
紅葉の写メとともに
「私ははじめて昭和記念公園にきました。 地理はあまり詳しくありません。私は季節の景色が好きで、静かな木の葉の下で、一人であなたの情報を待っていて、とてもリラックスしています」
たしかにインスタグラムには、日本の風光明媚な写真と、食卓の写真が15位投稿されていて、イイねの数は少ないものの、自身のコメントは長文でしっかり綴られていました。
「紅葉がキレイですね。お仕事はファッションデザイナーですか。 
私も以前ファッションのお仕事していました。 ニューヨークファッションとか好きでした。 今はGUCCIが大好きですが、最近デザイナーが代わってしまいました」 
「私はファッションデザイナーでアメリカにはたくさんデザインしているブランドがあります。私は控えめですが、とてもおとなしくて話もストレートです」 「ふーん じゃあGUCCIとadidasとのコラボみたいな突飛なことはしない感じですか? 」
インスタグラムの写真も景色はシックです。 食はアグレッシブだけど
「私はファッションデザイナーで日本ではファッションデザインのコラボレーションしかなく、ほとんどのブランドが持っています。 私は散歩を終えたばかりで、今はアフタヌーンティーをのみます」
「優雅な一日ですね」  本格的なブラックコーヒーの写メとともに
「今日から、週末までのんびりしていて、ずっと家にいたくないので。 週末は一人でワインを楽しむ」 「いいですね 私は最近家もそれなりに楽しめるようになりました」
「私は一人暮らしで、家では、ピアノの音楽を流しています。速いテンポのベートーベンが好きです」 「私はベートーベンの静かな方の『月光』が好きです。 落ち着いた趣味ですね。ジャズピアノもいいですよ」
「ベートーベンの音楽は私たちの生活にリズムをもたらしてくれます。彼の音楽は昔から変わらず、彼は偉大な音楽家です。 あなたは普段どんな趣味がありますか?」 「音楽、映画などエンタメは好きです。 バレエは地味に続けていたけど、コロナでやめてそのままです。 後は読書かな」
「私たちは同じ趣味を持っていて、私は夜に本を読むのが好きで、前回見た映画はSFの『ゴジラ』です。私はSFの映画が大好きで、とても面白いです。また化学技術の知識も学べます」
「なんか好きの傾向は違うけど、概ね気が合いそうだし、もう付き合っちゃう?」
「はい 映画との付き合いです(笑)若さを保つ為?」
「可笑しい 誰が若さを保つの? 私?」
「あなたが若さを保っているのです。私の顔は中年です」
「え~なんかよくわからない ずるいよね急に日本語おかしくなるんだから」
「あなたは成熟した人で私はあなたと話すことができて、多くの知識を持つことができます」
「それって付き合うのは断っているってこと? なんか日本語のニュアンスよくわからないけど、まあいいね。私、最初ロマンス詐欺かと思ったけど、違うよね。 名前なんて呼べばいいですか?」 
「Nickと呼んでもいいです。 私はあなたを何と呼べばいいですか」 
「エムと呼んでもいいです。 これ、呼んで下さいって言うんだよ」
「エマさん」 「違うよエムです。ニックでいいの?」
「はいエム。ニックと呼んでもいいは、私は受け入れたと言う事です」 「そう言う事ね。ちょっとニュアンス違うから面白いね」 
「私は日本のたくさんの友達に、私の日本語の語調がとても違うと、言われます。私は母の日本語の勉強についている女性に頼っています」 
「うん ごめんニック、その違いがちょっと面白いです。 日本語はニュアンスがあるから大変だけど、少しずつね」
「私の日本語を理解してくれてありがとう。ここでは長い間日本語が変わります。 私は今家に帰って服を整理して、パソコンの電源が切れそうですが、ラインを使っていますか」
「うん 長い間日本語が変わります。がどういう意味かわからないです。 私は今からお風呂に入るので、また今度ね」
「お風呂はあなたにピッタリです。 私はまずパソコンを会社において充電して、家に帰って服を整理してからお風呂にはいります。私の携帯にはインスタグラムがありません。
エムさん、後ほどラインで会いましょう。これは私のアドレスです。 
あなたのアドレス帳に追加してください。 私は整理してから、メッセージを返します」(QRコード)
「どうしたらいいかわからないです」と返して私はちょっと躊躇いもあって友達に電話しました。 
私の友達はセキュリティーのちゃんとした人ばかりです。 
この様なことに首を突っ込む人はたぶん私以外にはいません。 
こんな性格だからこそ波乱の人生を歩いてきました。 
そこには学びもたくさんあって、後悔はしていません。
だがしかし今このSNSの時代には、理解不能な恐怖の落とし穴が潜んでいます。見えない恐怖です。
案の定友達はやめておいたほうがいいよといいました。 
携帯を乗っ取られることもあるからといっていました。その意見はごもっともです。 冷水を浴びせられた感じで、私はとどまりました。  
その後ニックからはスキャンしなくても、簡単に追加できるリンクが送られてきます。「これなら簡単に追加できます」と言って。
「えっ、会社にパソコン置いてきたんじゃないの?  やっぱりニックのことよくわからないので、ラインはやめときます」
「私はまだ家に帰ってないので、明日設計する案を準備しています」
「うん でもラインはやめときます」
「私はあなたの意味がよくわかりません。もしあなたが私の事を思っているなら、あなたの勝手にして下さい。私はちょうど私の案を整理して、もうすぐ家に帰ります」 私の方が意味がわかりません。
まだそんなにニックのこと思っていないし、そうまでしてラインに拘るのは、やはり乗っ取りたかったりするのでしょうか。
「うん でも考えてみて、会ったこともない人とラインで繋がってることある? しょうがないでしょ 信じたいけど、どこの誰かも、本名も知らないし、会ったこともないんだから」

12月15日 9:18
「おはようございます。昨夜はあなたが私にメッセージを送ってくれたのを、見ていませんでした。私は英語名しかありません。 日本の名前はありません」
当たり前だろう、なめんなよ「もうやめよう ちょっとなんか片言が、面白くなちゃったけど、こんなの意味ないし、今日は私忙しいから」
「あなたは先に忙しくして、昨夜は家であなたの情報を待っていたので、少しがっかりしました」「そう」

同日14:59
「休憩したばかりでソファーに座っています。 今日はなにか予定がありますか?」

12月16日18:50
「あなたのインスタグラムの投稿を見直して、コメントも見ました。 
私が疑り深かったかも知れないです。 ごめんなさい。
でももう少し分かるまでラインはやめときます」
「こんばんは 私は今日友達とゴルフに行きませんでした。返事が遅くなってすみません」
「なぜゴルフに行かなかったのですか?」
「私は今日同僚とゴルフをしていたからです」
「えっ、友達じゃなくて同僚と行ったってことですか? ややこしい」
「友人は毎日会うことができ、自分の同僚つまり社員と一緒に出かける機会は少なく、社員一人一人が自分の家族を持って、出てくる機会も少ない」「普段なかなか一緒に行けない人を優先したんですね。ニックに毎日会える友達もいて良かった」 
「彼らは私が生活している知り合いで、パーティーのたびに、早めに食事に誘ってくれます」 「うんうん あんまりよくわからないけど、ゴルフの後みんなで食事していたりしたらおじゃましました」
「今の時間はもう遅いので、家に帰ってからあなたにメッセージをおくります。 週末は誰も会社にいません。私はパソコンを家に持って帰りました」 「うん もう遅いから、また暇な時にメッセージをください。おやすみなさい」 「今日はよく眠れて温度は普通に保たれています。暇な時にメッセージを送ります。 今晩はよく眠れますようにおやすみなさい。布団をかけてあげます」 「サンキュー」 「私は先にお風呂に入ってそれから寝る準備をして、明日の新しい気持ちの為に始めます」 「何を始めるのかな?」 「新しい日を迎える準備ができている」 「希望に満ちていますね」 「明日の新しい一日をとても楽しみにしていますが、まだ寝ていませんか?」 私はもう寝ていました。

12月17日16:47
「パソコンを持って帰った割にはなんのメッセージも来ませんが、日曜日だからデートとかですか?」 「今日は日曜日で、私はデートをしていません。あなたが私と一緒にデートにいくようにしない限り(笑)」 「じゃあなにしてたの?」 「質問ありがとうございます。夕食に出かける準備をしています」 「私は、夕食をつくる準備をしています。 カキとブロッコリーのパスタにしようかと」 「海鮮パスタはきっと美味しいですが、チーズ味ですか?」 「トマトとニンニクです。ちょっとダイエットしているので、カロリー低めです」
「エムの料理はとても上手に聞こえます。 私はたくさんの材料を煮るのが大好きです」
「煮込みはこれからの季節はいいですね。 この間はじめてオーガニックに拘ってビーフシチュー作ったら思いのほか美味しくて、一人で食べるのもったいなくて、娘にお裾分けしました」 
ここで凄くボリューミーなバーベキューの写メが送られてきます。
「私はアメリカの食べ物を見つけました。バーベキューの味は悪くありません」
「すごいボリュームですね」 「肉は私の筋肉を埋めることができます。なぜアメリカ人がそんなに背が高いのか、知っていますか?」
「知らないけど、遺伝? ニックはキン肉マンですか?」 
「アメリカでの生活では、ご飯を見ることは滅多にありません。 基本は肉、海鮮、豊富な野菜だけです。 私は週に数回フィットネスをします。 冬には滅多にトレーニングしません」 
「冬は蓄える?ニックは  身長何センチですか?」 
「178センチ 標準身長です。 エムの身長はいくらですか?」
「私は小さいよ。156センチ」 「大丈夫、これからはもっと私を見つけ安くて、人の海の中で私を探す必要はありません」 
「そうだねー でも200センチじゃあなくて、よかった」
「200センチは長すぎて、入り口が少し遮られてしまいます」 
「だから、ニックが200センチって言ったら、ビックリだった」 
「一階建ての高さ」 「不便だね」
「私は、先に手を洗ってきます。 少し待っていて」 
「いいよ急がないで」 「骨付きの肉はしっかりしているので、手で食べる必要があります」 「野蛮人ですね」 「これは普通のアメリカの食べ方で、手で食べると味がよくなります」 「野蛮人はジョークです」
「あなたはユーモアがありますが、日本人はまだビニール手袋をして食べます。本当にきれい好きな国です」 
「コロナから、余計に神経質になったかも知れないです」
「マスクに穴を開けて食べる人もいます。おかしいです。理解できない」
「見たことないけど、いるの?」 「思い出すと笑える」 
「日本人は神経質な人はドアの取っ手まで、消毒していたからね」 
「話は変わるけど、お正月はアメリカに帰るんですか?」
「祝日だからといって集まることはありません。 アメリカでは誰もが独立していて、誰もが自分だけの独立した生活をしています。 私のアメリカの家は3軒で1軒は賃貸しています」
「合理的ですね。 でもちゃんと独立できるまでは、親のところにいるのでしょうか?」
「まだ自立できる能力がない時は親と一緒に住むことができます」 
「能力がない場合はね 私も日本人には珍しく子供はとっとと独立させたよ。 困った時はお互い様だけど、やっとそういう心配しなくてよくなった」  「そしてアメリカには奇妙な法律があります。 日本の私はまだ非常に理解していません。 街でも子供が一人で学校に行くのを見て、日本は安全な国で、私にたくさんの暖かさを与えてくれました。 アメリカの家は最も奇抜な法律で、私が私の家に一年住んでいなければ、私の家は他の人のものになります。 私の知らないうちにです」 
「ちょっと文脈がわかりませんが、家のことそんなばかなって感じです。 でも日本だって今、世の中の闇がことごとく表面化して、崩壊寸前ですよ」 「アメリカに住んでいない人は知らないが、実は空き家がたくさんあるから、このような法律が出てくるのだ。 でも多くのことは人類が創造したものであり、いつまでも闇はない。正義の人であればいつまでも光が照らしている」 「それにしても家のことは陣地取りみたいだね。ちょっと待って」 「今、娘が名古屋のおみやげ届けてくれた。 赤福って知ってる? おもちとあんこの。 私もいつまでも闇ではないと思います。 今は大掃除の時だから、大切なものと不要なものをちゃんと見極めておきたいなと思います」 
「自分の生活を向上させることが大切です。あなたの家族はにぎやかで、私はにぎやかな環境が好きですが、アメリカでは日本ほどにぎやかではありません。 アメリカの祝日は両親が旅行に行くので、両親はいつも家にいません。 日本で甘いものを食べる時は、抹茶を合わせています」 
「それは本格的ですね。 赤福美味しいです。 せっかくダイエットしようと思ったのに。 娘は徒歩3分のところに住んでいます」 
「非常に近く往復6分しかかかりません。 私も赤福が大好きです。 アフタヌーンティーにピッタリです」
「そう、あげるよ赤福、気持ちだけ。 なんか話しているとちょっとずつずれてくけど、まあ気楽かも」
「申し訳ありませんが、私は今暫く忙しくしています。あなたと楽しい会話を続ける為には、私たちはラインで話すことができます。 ラインであなたの情報を楽しみにしていてほしい」 となんだか、主語と述語がこんがらがっている意味不明なアナウンスの後、れいのQRコードが送られてきました。 なんだかめんどうになって、ラインに登録して、スタンプを送りました。
ニックのアイコンは、魚のイラストでちいさな魚一匹と、いかにも慎ましい平和の象徴のようなアカウント名でした。 暫く、反応はなく、やられたかな、ラインのアカウント知りたかったって事? でもパスワードがわからなかったら乗っ取りは出来ないよなと、警戒心を発動していましたら 「こんばんは私はあなたが追加したのを見ました。 清華よろしくお願いします」「清華って?」「どうかって事」「忙しそうだから、またね。アイコン私のと似てるね」 「よろしくお願いしますという意味です。私の日本語はまだ、勉強中なので、さっき翻訳機を使っていましたが、私の翻訳が間違っていたのかもしれません」
「翻訳機使っているんですね。私は適度に嚙み合わないのは楽しめるから大丈夫。なんかニック違う人みたい。気のせいかな」「簡単なものなら翻訳機は必要ありません。ここであなたともっと多くの知識を学ぶことができることを望みます」なんか振り出しに戻ったみたい。

「そうだ、ラインにしたんだから、自己紹介しようよ。 私、ナカムラ・エムはペンネームで本名は小木 翔子、オギ ショウコと読みます。 身長156㎝ 体重46㎏です。
離婚していて、娘と息子は独立しているので、犬と二人暮らしです。4月に会社を辞めて今は自由人です。 ニックも自己紹介して下さい」
「私はニックと申します。身長180㎝体重79㎏です。 私も同じ離婚です。 私は離婚してから3年以上経っていますが、離婚してから今まで恋をしたことがありません」
「3年もですか。子供はいなかったのですか?というか、身長少し伸びた?」
自己紹介といっても年齢は言わないです。下心があるからというより、どのみち会うつもりはないので、垣根は明確じゃないほうが、会話が開放的になります。
「はい、私はもう3年独身です。 何もまだ背が伸びていない」
「だって前に、178㎝って言っていたよね」「はいさっき間違えてすみませんでした」「そうなんだ大きいね」でもたかが2㎝でも自分の身長間違えるかな? 
「これでいつでもあなたを、抱き上げることが、出来るのではないでしょうか。 ハハ」「ステキな事言った後に、ハハはやめて下さい。もう少し遅く生まれたかったな」
「何がそういうのだろう?」(ハハの事)「他人事?」「なるほどわかりました」
「わかったの?ホントに」何がわかったのかよくわかりません。 
「普段の趣味は音楽、映画、料理、ペット以外になにかありますか?」「文章を書く事かな」「文章を書くのはいいですね」
「会社やめてから本一冊出したよって言ったでしょ。読んで欲しいけど、日本語だから、ハードル高いよね」
「はい、既読を読みに行きます。 私に読めない所は翻訳機を使って翻訳します」???「そう言うことですね。 そろそろ寝ますか?おやすみなさい」「はい、よく交流してくださいね。私達が明日も楽しい交流を続けられる事を願っています。おやすみなさい。いい夢を見て」
「なんか変だけど、まあいいか おやすみ」

12月18日8:59
「おはよう 今日もいい天気ですね。いい一日を過ごして下さい。自分の事を大切にして下さい」
「おはよう 今お散歩行ってきました。ニックもいい一日を過ごしてね。会社でしょ。いってらっしゃい」と散歩の写メを送りました。
「あなたが飼っているこの犬の名前はなんですか?彼は可愛いいですね」「マフオっていいます。マフちゃんと呼んでいます」
「なるほど今わかった」「何が?」(パスワードには使っていませんよ)
「もし私が彼らを抱きしめる事が出来たら本当に良かった」
「どういう事?彼らって、マフと誰?私?マフと私一絡げ?大丈夫?仕事してね」
「犬のことです」「そうなんだ」「すみません。私は今ちょっと用事があります。 夜はまたメッセージを送る時間があります」わかりましたよ。どうぞ、どうぞお仕事してください。おかまいなく。

12月18日16:11
「申し訳ありませんが、今日は月曜日なので忙しいです。 だから少し時間がかかりました。 今日は楽しく過ごしてほしい」 
「ニック これは義務じゃないから、ほっといていいよ。仕事にちゃんと向き合って下さいね」 
「私は今すべての仕事を終えました。後は家でリラックスするだけです」 「早いね。今からご飯行くんでしょ」 
「はい あなたは今日はどんなおいしいものを食べるつもりですか」 
「ポークジンジャーと残っている豆もやしのナムルと、人参のグラッセも残り物でーす。もう少しボリューム欲しいけど、2㎏という微妙な減量目指しているので。 だって、服のウエストがきつくて苦しいので」
写メ送ったけどスルーでした。メッセージを消した形跡があるので、なんでしょう。しょぼと思ったのでしょう。 暫くして「こんばんは 今日の夕食はおいしいです。今日は友達と鍋を食べました」
「なに鍋? いいなあ」 「おやきも食べましたよ。好きですか?」 
「うん、野沢菜とかいろんなおやきあるよね。好きですよ」 
「好きなら今度一緒に食べに行きたいですね」
「行きたいけど、行きたくない」 「なぜそう言うのか? もしかしてあなたは何か心配しているのではないでしょうか。ハハハ」 
「ハハハって何? 私はニックが思っていることを心配しているんじゃないです」 不覚にも私は唐突な展開に、かれこれ20年眠っていた感情が心の奥でふっと温度を持ったのを感じました。 「なにか考えがあるのだろうか」
「あるんだよ。君にはわからない」 「いいでしょう。私に言ってみてもいいかもしれません」 あの最初の家族写真の精悍なニックが浮かんできました。「あのね 私ニックの事好きなタイプだと思うの。 今まで付き合った人は、一番若くて、10才下だし、写真見る限りニックはもっと年下だと思うから、会ってがっかりされたくない訳です。
だから、そんなことどうでもいい位の覚悟できたら会いたいなと思う。 わかる?言っている意味」
「私はあなたより年上ではないでしょうか。 翔子は心配する必要はないと思いますよ」
「ホント なんか今日、日本語上手だね」何まさかの翔子呼び
「まあ一日少しずつ進歩するのが一番です」「なんかほっとしたよ」とは言ったものの、私の心は混乱していました。ニックのあの写真は若い時のものなのか、それともニックはあの写真とは別人なのか (笑)がハハハになった時、誰かにバトンタッチしたのか? 疑惑は広がっていくのでした。
「ハハハ、でも絶えず努力して、勉強しています。私にも教えてほしい。平日の夜は本を読みながら日本語を勉強しています」
「今日私はカミュの裏と表を読んでいました。老いる事がリアルに描かれていて、ずっしりと重い気持ちになってしまったので途中で断念して図書館に返しに行きました。代わりに、気楽に読めそうな本を借りてきました。でもニックは偉いよ、日々の努力は、大事です」 
「翔子さんも読書が好きですね。 本当に良かったです。私も同じように本を読むのが好きです。 私は最近ずっと本を読んでいて、あなたが読んだことがあるかどうかわかりませんが、貧乏なお父さんと金持ちのお父さんの本です」
「そんなタイトルの本ありましたね。私は読んでないけど。私の好きな本とはジャンルがちょっと違いますね。私は文学が好きで、最近は中学生の頃読んだカミュとかジットとかカフカを読み返していました。ちょっとだけ記憶にあるけど、自分が大人になった分、感じ方が違います」
「私が読んでいるのはこの本です。最近ずーっと読んでいます」と本の写メがきました。 投資ガイド 入門編とあるので、私の言う本とは、かけ離れている上に、ちょっと前に注目されていた気がします。 「これは文学ではなくて、実用本ですね」
「この本はとても面白くて、本の中で貧乏人と金持ちの違いを紹介しています。 私は勤勉な人が豊かになるとは思いません。 単純な人が勤勉で、衣食の問題を解決するしかありません。 勤勉が金持ちになるのなら、最も苦労している人は最も金持ちになるはずだ。 しかし事実はそうではありません。貧乏人と金持ちの違いを招いたのはなんだと思いますか」
なんだか、最初のニックのイメージとは全く違う気がして興醒めする私です。
「確かにそうですね。資本主義社会がつくった理不尽な貧富の差です。資本主義社会は奪い合いです。搾取される人とする人との。でも時代は変わりつつあります。 お金がそんなに重要ですか。 私はお金にばかり捕らわれずに、むしろ解放されたいですね」
「はい、貧乏人と金持ちの本質的な違いは思考でありお金の違いではありません。 金持ちの富を貧乏人に分け与えると、金持ちは依然として金持ちで、貧乏人は依然として貧乏人である。 貧しい人はお金を使い果たし、金持ちは新しい富を創造した事がわかります。
自分の貧乏人思考を変えなければ彼はずっと貧乏になるだろう。 考えることが上手で勤勉な脳を持って、正しい選択をすることが、富の自由を実現する要因です」
人の話なんて聞いちゃいない。 「そういう落ちですか。でも基本的に金持ちになることが最重要課題なんですね。 運もありますが、運に恵まれてもそれに乗れればいいけど、溺れる人もいますからね」
「はい、正直に言って貧乏人と金持ちの思考も全く違います。 金持ちは投資が上手だが、貧乏人は消費するだけです。金持ちはお金を使ってお金を稼ぐ方法を知っている。貧乏は人間の思考の中に存在し貧乏は遺伝する。 貧乏は親の思想の伝達からきているので、将来私は子供の頃に教育して、私の子供が小さい頃から私と同じ投資習慣を身に着けるように育てます。 小さい頃から良い習慣で育てることが大切で、自立、良い思考、良い品格」 
すみません担当変えて下さい。金、金ってめんどくさいし、これから子供育てるって、明らかに若造だし、自分本位な考えに鼻もちならないので。「なんか今日はちょっと疲れたのでもう寝ます」「子供により多くの選択権を持たせるために、自由に業界を選んで、自分の好きな生活を選んで、お金の心配の必要はありません。本当の自由はやりたい放題ではなく、やりたくなければ、やらない自由です。 はいゆっくり休んで下さいね。時間も早くない。今日はたくさん聞いてくれてありがとう。あなたと交流するのも、楽しいです。おやすみなさい。いい夢を見て」
「そうですね。あんまりお金に支配されないようにね。所詮お金は人が造った道具だからね。おやすみなさい」

12月19日9:23
「おはよう 今日は寒いですね。自分の世話をしてほしいです。楽しい火曜日を」
「おはよう 自分の世話をするって面白い表現ですね。 世話しまーす」
「はい今日火曜日は何をしますか?」
「今から、友達の家に行きます。お茶しに行く」
「はい出かける時は気をつけて下さいね。私も今、銀行にいって処理するものがあります」
「はいありがとう。ニックも盗まれないように気をつけてね」
「盗まれるのは無理だ。ハハハでも注意してくれてありがとう」そしてタンバリン持って、笑い転げるスタンプがきます。
私がうさまるの笑い転げるスタンプを返すと「この子かわいい」と帰ってきました。
もしかして盗むことはあっても、盗まれないから、可笑しいのかな。 
どうもラインになってから違和感半端ないです。 
明らかに日本語上手になっているし、時間の使い方がBLでよく出てくる極道っほいんですよ。 夕方早い時間から友達のところ行きますか?
組長のとこじゃないですか。

12:47
「今は昼食の時間ですから昼食を食べて下さい。 私は今勝手に昼食を食べて、昼寝をしています」「食べてるよー。 昼寝もできるの?」
「はい昼寝をすると元気を養って、午後の仕事も続けることができます。たくさん食べてね」「成長期じゃないからね」

15:19
「私は今、目が覚めましたよ」「そんなんでいいの?寝すぎでしょ」と寝ぼけたうさまる送ったら「このスタンプの表情は本当にかわいいですね。寝坊しなかったよ。これはちょうどいい」
「えーいったいどういう会社ですか?それとも、偉いから許されるの?みんな寝てるの?」
「会社の些細なことはアシスタントに任せている。 普段は会社でも、財務諸表や慈善諸表を処理しているだけです。私も会社に行く必要はありません」なんだか若いんだかおじさんなのかわからない。
「そうなんだ。デザイナーではないんだ。なんかいい待遇だなって思っていました。最初ファッションデザイナーって言っていたから、モスキーノかなって思っていました」「デザインですね。あなたがボスになったら、あなたはそれでいいです」
動揺している模様「時々意味不明になるね」
「私はデザイン会社を経営していると、言った」
「そうだった?ファッションについて熱く語っていたし、あの最初の写真が、モスキーノ着ていたから、そうなのかなと思っていたけど」
「はい、そう言えばわかるでしょう」
「私が鈍感なのかな?わからないけど」「どうして鈍感なのだろうか」
「あまり詮索してほしくない感じですか?」「何も欲しくないですね」
「もういいよ。なんにも聞かないよ」
「今、翔子は家でリラックスしているだけですか?私は今、友達の家に行きますから、後で話をしましょう」組長の家にいくんだろう。16:28ブロック完了しました。 
その直後にテレビをつけたら夕方のニュース番組をやっていて、イスラエルのガサ地区で、武器の調達資金集めで、外国人を使ってロマンス詐欺をしているとの事を報道していました。 ターゲットは中国人で、ノルマは1人で5人可能性の高い人を確保するらしいです。 あぶない所でした。 
特殊詐欺というのでしょうか。
今まで振り込め詐欺の話はまさかと思いながら、聞いていましたが、SNSが急速に発達して、やり口は相当多様化しているのだろうと思います。 
私みたいに、中途半端にSNSを使って、本質的にわかってない人間が、一番危ない気がします。 
でも世の中急速に進歩していますから、頑なに拒んでいたら、レストランの予約もできない、コンサートチケットもとれない、と身動きできなくなります。 
またその操作を人に頼むことも、個人情報なのでできないとなると、身近に聞ける身内がいないお年寄りは、致命的に取り残されていきます。 
先日税務署に行ったら、その予約さえネットでとってくださいと言われました。前職で、お年寄りと接する機会が多かった私は、よくそんな事を懸念していました。これも二極化の一つかと。
特殊詐欺について見解を改めていると、引き寄せるのか配信サービスで見た映画が『BAD LANDS』と言って、直木賞作家の黒川博行さんの小説『勁草』を実写映画化したものでした。まさに特殊詐欺グループの実態が描かれていて、世の中からはじき出された人達の、裏社会を垣間見た気がしました。
ともあれ事なきを得た私ですが、なにか一抹の不安がつきまとっていました。
そんな時、海外から代引きで荷物が届くというメールがはいりました。 
洋服のようですが、まったく身に覚えがありません。 住所も名前も間違いなく家です。 ただ電話番号だけが、わざと少し違えてあるような番号で、配達員の人は電話してから行くようにと指示されていたようです。 
電話したらまったく違う人がでたと言っていました。 
とりあえず、頼んでないので、受け取り拒否をしました。 
その後どうして受け取らないのかとメールがきましたが、注文していないのでと返して、ブロックしました。 
これは以前に、海外の服を買った時の記録が残っていてのことで、今回のロマンス詐欺とは関連なさそうですが、パスワード解明されたらと、思うとざわざわします。 
ビクビクしていると、いろんなことが気になりだします。  
たとえば、ネットフリックスの検索画面を開くと今まで直近で見た作品が出てきていたのに、全然私の趣味じゃないものが、ずらーっと並んでいたので、誰かが観ているのかと、びっくりしたり。 よくよく調べてみたら、その視聴履歴には不振な点はありませんでした。 
しかしどうしても何かにつけて、不安がつきまとうので、インターネットトラブル警視庁相談窓口を検索しまして、ちょっと聞いてみようかと思いました。 
地域の担当窓口に到達したのですが、その相談項目の多さにびっくりです。 
なにに該当するのかよくわからないので、短縮ダイヤルに電話してみますが、一向につながらないです。 それならばと、家から徒歩15分のところにある警察署に、直接行ってみました。

1月12日
相談員の女性は50代位の方で多分日常茶飯事のように悲劇が繰り広げられているのでしょう。 神妙な面持ちで、私に向かい合いました。 
なので私も恥を偲んで本当のところをお話しました。「インスタグラムにコメントが入ったところから、始まってロマンス詐欺と思われるアカウントとやりとりしていました。 外人さん特有の片言が面白くて、おかしいのは承知で、やりとりをしていました。 私、本を書いたりしているので、ついつい興味本位で、一週間程続いたのですが、途中で相手が変わっているみたいで、話の辻褄が明らかにおかしい事があって、アカウントをブロックしました。 だから今現在、詐欺にあった訳ではないのですが・・・」と、今の不安要素ともしかしたらアカウントが乗っ取られていないか等々のお話をさせて頂きました。 
「直接の被害はないんですね。よかったです」「1千万位取られて相談に来た人は、本当に肩を落とされて、一回の相談では納得できないようですから」
「でも、さすがに昔みたいに親が病気でお金がいるとか情に訴えて、直接振り込ませたりとかは、ないですよね」と言う私に、「ありますよ。直接お金を振り込ませたり、投資詐欺だったり、乗っ取られたかも知れないのをチェックするのが、乗っ取り詐欺だったり、年齢も様々です。みんな寂しいんですね」世の中AIが進んだら進んだで、スマホをめぐりあらゆる詐欺が横行していることに、おどろきでした。 
とりあえず事なきを得た私ですが、興味本位で墓穴を掘らないように、脇を締めていこうと、思った次第です。 「ありがとうございました」と帰る時「本を書いていらっしゃるなら、是非書いて下さい。詐欺にあう人が減るかも知れないので」とおっしゃっていました。

ここで一つ思い出してしまいました。 かなり昔流行ったアニメで『笑う せえるすまん』というのがありました。
「この世は老いも若きも男も女も、こころのさみしい人ばかり。そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。 いいえお金は一銭もいただきません。 お客様が満足されたらそれがなによりの報酬でございます」 「私の名は喪黒福造、人呼んで笑うセールスマン
私が取り扱う品物は、人間の心、ただのセールスマンではございません」 といって、なにか欠乏感をかかえる人の心の隙間に入り込みます。 
人の欲は尽きないので、いい思いの果てには、ブラックホールがあると言う、欲深い人間をあざ笑うかのような、ブラックなアニメでしたが、私は好きでよく見ていました。 YouTubeにあったので、久々見てみました。 
時代背景はかなり違うので、家族、男女のお付き合いとかは古い感じがしましたが、人の心って言う意味では、そう変わっていないのかなと思いました。
私もこのやりとりをしていた8日間は、楽しいポイントもあって、朝に夜に毎日やりとりをしていると、ブロックしてから、2日位なんだか寂しい気持ちになりました。
でも、こうして文面にしてみると、驚くほど不自然な事です。

                        ナカムラ・エム

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