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【どろんこあそび】

 みなさん、「どろんこ」の感触忘れていませんか?「何言ってんだよたかちてんてい!おらっちなんて田んぼをやってるんでっせ!どろんこなんざぁ、年がら年中いじってらい!」なんて方は別として、一般の皆様はなかなか泥と戯れる機会が無いことでしょう。かくいうたかちてんていもその一人です。が、「たかちてんていと泥遊び」は切っても切れない思い出があるのです。ん?切ったと言えば切ったのですが、まぁ話を聞いてください。

 たかち少年も、今日の中村幼稚園のお友達同様「泥遊びが大好き」な少年でした。自分の家が幼稚園ということもあり、この時期。そうそう!梅雨でお庭に水たまりができると、でっかい目をランランと輝かせて泥遊びをしたものです。そして、たかち少年は雨が降っていなくても泥遊びをしたくてしょうがない可愛い少年だったのです。

 ある晴れた日、どうしても泥遊びをしたくなったたかち少年は、牛乳瓶に教室から水をくんできて「わーい水流しだー」なんて大きく盛った山から水を流して遊んでいるのでした。水が無くなればまた水を汲みにいき、また水を流す。水は山を下り、あらかじめ作っておいた溝を通って水たまりになります。溝を長くしたり深くしたり。高低差をつけて自然に流れるようにしたり。なかなか知能指数の高い遊びをしておったのですが、そこはまだまだ幼いたかち少年。

 水がなくなって牛乳瓶に水を汲み、お庭を駆けて遊び場に走って行く途中、たかち少年は牛乳瓶を握ったまま転んでしまったのです。当然牛乳瓶は割れたかちてんていはその破片の上に手をつき、「ざっくり」と手のひらを切ってしまいました。そこからどうして病院へ行ったのかは覚えていません。そして戻った記憶は、白衣を着たお医者様が切った手を診察し、縫い始めるところだったか縫い終わったところだったか。とにかく白衣を着た先生が目の前におりました。

 かくして、たかちてんていの右手の平には約5針縫った後が今でもくっきり残っているのでした。こんな大きな怪我をしたにも関わらず、たかち少年は泥遊びをやめることはなかったのでした。知能指数は高いけれど学習能力は無いたかち少年です。

 どろんこ遊びには、こんな思い出があるたかち少年がそのまま大きくなったのです。担任とお母様方には怒られそうなのですが、水たまりで遊ぶお友達に「こらー!汚れるから遊ぶのをやめなさーい!」なんて絶対に言いません。だってその楽しさを知ってるんですもの。あの「にゅるにゅる」と指の間から出てくる泥の感触に、水が高い方から低い方へ流れる様。さらに、水の冷たさが遊びに拍車をかけるのです。だから「なるべく汚さないように遊びなさいよ」と暖かく見守るのです。

 というわけで、今日は昨夜降った雨でできた水たまりで遊ぶお友達が沢山いるのでした。そして成人してしまったたかち少年は、正門前の水たまりを排水溝へ長そうと、スコップで水たまりから排水溝へ水が流れるように溝を作り水流しを楽しんでいるのでした。

 汚れるのは一時。でもどろんこ遊びの思い出は(怪我をしなくても)一生残りますよ!
【2005.0628】

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