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【砂遊び】

 お友達が砂遊びが大好きなのは、言わずと知れた周知の事です。ですからどこの幼稚園にも「砂場」がありますし、大抵どこの公園にも「砂場」があります。またその砂場周辺は「公園デビュー」なんていう言葉が生まれちゃうほど、未入園のお子様を持つお母さんの集いの場になっているのです。

 さて例に漏れ幼稚園にも大きな砂場があります。大きな桜の木を囲む様に「凹」な形の砂場です。最近はちょっと砂が減ってきていて「そろそろ新しい砂を補充しなければならないなぁ」と思っているところです。あんなに沢山に砂が一体どこへ消えていくのでしょう…。お友達のポッケに入って長い旅に出るのでしょうか?

 このように幼稚園にはこんなに大きな砂場があるというのに、お友達ときたら砂場で遊ばないんです。ブランコの近くや国旗掲揚ポールの方、ジャングルジムの麓に滑り台の下。幼稚園の広いお庭がお友達にとっての砂場のようです。

 なぜそんな事になってしまうのか。理由は簡単です。砂場の砂って、ひんやりと冷たくて湿っています。いやいや水が滴るほどではなく、なんというか「乾いていない」ので色が黒いんです。そんな砂をガッシガッシ掘るのも楽しいのですが、お友達は表面の乾いた「白い砂」が好きなのです。

 あの「さらさら」とした感触に、砂場の砂よりも粒子の小さな砂。それは黒い砂で作ったケーキの上に「ぱらぱら」とかけてデコレーションしたり、バケツに沢山入れて感触を楽しんだり…。中には白い砂だけをビニール袋いっぱいに入れて悦に浸っているお友達もおります。

 でもね、白いのは砂だけではないのです。地面にへばりついて白砂を集めているお友達まで真っ白け。ズボンはもちろん、紺色のブレザーなんて着ていようものならその白さも際だち、お母様方が見てしまったら目が点になるどころかニョキニョキと頭には角が生え、ゴジラの様に口から炎を吹き出し「どうしてそんなに真っ白けっけなのーーーーー!!!」って雷が落ちることでしょう。

 ということで、家庭の平和を守るべく友達の白砂集めが終わると、真っ白に変身したお友達を呼び止め、ズボン及びブレザーを「パンパン」と叩いて砂埃をはらい「楽しかったかい?」とお友達の満足そうな顔を覗くのでした。
【2005.1125】

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