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歳をとれば人生が上手になると思っていた

子どもの頃、親や先生など自分より遥かに年上の大人たちが自由気ままにしている様を見て、自分の中のもやもやは世間を知らないから生まれているもので、大人になればなるほど勝手に消えていくものなのだと思っていた。

そんな僕もいわゆる「大人」と言われる年齢になって、もう随分と経った。相も変わらず昨日見た悪い夢は翌日まで引きずる。目まぐるしく変わっていく世の価値観に対する得体の知れない不安感はそのままで、自分がいつか死ぬこともいつまでも怖がっている。

その代わりに変化したことはなんだろう。自分の思っていることの全部を言葉にできなくなった。本を読んでまで対人関係を学ぶようになった。愛ってなんだろうなんてことを考えるようになった。

昔から「人生が下手くそ」という気持ちがずっとある。人生経験と共にそういう感情がゆっくりと薄れていくことをずっと期待していたけど、どうやら年齢を重ねて経験が増えれば増えるほど自分の「不慣れ」を実感してしまっているみたいだ。そのくせに下手くその言い訳にしていた「自分が特別な存在だから」というなけなしの見栄だけはちゃんと霞んでゆく。

多分これはこの先もずっとこうなんだと思う。
僕は人生が少なくとも得意ではないし、その代わりに何か特別なタレントを与えられた存在でもない。でもどうせ何をやっても不器用なら新しいことをどんどん始めちゃえばいいと思うし、「凄くはないけどそこそこ向いてる」ものをたくさん探せばいいと思う。
これはポジティブな諦め。大人になって僕が唯一成長させられた自分の部分。もう少し経ったら、もう少し経ったらもっと諦めがつく、と思いながら今日も寿命を延ばす。

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