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【DJ×ジャズ】DJと生演奏を足してみる

 実は今年も高山でのジャズフェス、Hidajazzに参戦してきた。昨年はイギリスに留学していたため参加が叶わず、一年越し(二年越し?調べて)の現地入りとなった。今年はステージが四つあるうちの二つはDJブースであり、かなり攻めたように思われる一方で、乗鞍マーケットのスケートボードとDJの組み合わせ、さらにマーケットの組み合わせは世界観があって咀嚼しやすかった。


乗鞍マーケットのDJ

さて、二度Hidajazzに参加し、そしてDJパフォーマンスを聴いていると、DJと生楽器で何か作れないか気になってくる。自分がHidajazzにおけるすべてのDJパフォーマンスを網羅していないため断定はできないのだが、DJはDJで独立しており、これのどこがジャズなのかと憤ったのもこの点が理由の一角を担っているのではないかしらん。そこでDJという最先端の音響楽器―DJが楽器であるかは議論の余地があるとして―とジャズ本来の楽器を合わせて何かそれらしい新たなインプロにならないか探ってみようとおもう。本日はその第一回である。最終的な進捗は動画でも上げるかもしれない。

過去の記事はこれ この年は今年に比べてだいぶ生演奏が充実していた気もする

DJのしきたり

 ということで野良DJの知人をお呼びして、まずはDJのしきたりを知ることにした。なんとなくの理解の範疇ではDJとは以下のようなものであるようだ:


1.曲と曲とのつなぎ目をいかにスムーズにつなぐかがDJにおいて大きな要素
2.曲と曲は切らしたくない(⇔ジャズで曲と曲をそのまま繋ぐのは非常に稀)
3.テンポさえ合わせられればどのような曲もプレイできる
4.DJ機材でエフェクトをかけたりして遊ぶこともできる


1と2は似たようなことを記述しているのだが、基本的にジャズ音楽は曲には始まりがあり、終わりがある。セットリストなどをリストアップして公開することはほとんどない。ここはジャズ音楽と致命的に相性が悪い。さらに、ジャズで何かやろうとした際に、スウィングは使えない。テンポを合わせる際に1.3の頭拍にバスドラムが置いてあることで彼らはテンポを合わせているがゆえに、それがないスウィング音楽にはDJはむいていない。精一杯ジャズらしい音源を使うにしてもエレクトロスウィングなのではないだろうか。しかしジャズ原理至上主義者からすればエレクトロスウィングも4つ打ちである以上ハウスの一貫であり、これを”ジャズ”と見做すジャズフリークはそう多くないかもしれない。

 そこでステージを三つの要素に分解し、それらは切らずに繋ぐことで解決を図ることにした。以下のようになった:

1.アンビエント系の音楽で始める。キーボードで楽器を重ねる
2.DJらしいDJをやってもらい、ドロップ系のサビにソロ楽器を加える。
3.何かジャズで頻繁に演奏される曲を使う。十中八九ファンクかフュージョンであろう

1と2については現在未検証のため、また今度進捗があれば記事にしたい。今回は3、つまりジャズ曲でDJと何かできないか探ることにする。そのためジャズ仲間をお呼びして、Just of the two of usで何かできないか探ってみることにした。これを選んだのはファンクだからDJにも相性がよく、そしてテンポを図ってみると、幸いにもほぼ一定であり、DJしやすいということであった。そしてジャズの側としても、ジャムセッションでは定番というほどではないが、ジャズ界隈でも人気の曲でありよく知られている。なお、あの『丸の内サディスティック』のコード進行の元ネタとなった進行を持ち、色気ある進行で知られている。
まずはこの一曲に絞って制作し、これを最後の曲に持ってきて、後々制作する1.2の後ろにつなげて演奏しようということで着地した。


いざDJ

 ということで本題の曲を演奏してみる。DJはそのまま曲を流し、ドラム、ベース、サックスを加える。ソロ中は後述するHighとMiddleを絞りLowを上げることでどことなく曇った感じにして元のソロを消し、生楽器によるソロを可能にする。

上のそれは冒涜的に聞こえるかもしれないがサンプリングというのはある種そういうものではないか。たぶんここに感じる「冒涜的」というのが音楽を作る人と音楽をいじる人が分かり合えない部分のような気もする。ところがDJが音楽をやって場を支配し、あれこれ人をグルーヴさせているのもまた事実であって、どこかで手を取り合える場面があるとは思うのだが、それが今こうして探り探りでやっているところと位置付けたい。

しかし感想としてはことのほか上手くいった。元々サックスのソロも入っていることからサックスソロを入れることについては全く違和感はなく、かえって、どのようにDJ要素を出していくか工夫するのが問題になっていっている(もうすこしエフェクトなりごりごり強気でかけてもらうのがいいのだろうか)。練習自体は各々楽器経験者の経験値もあり恙なく進んだこともあって、最終的な成果物になれば公開してみたい。

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