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太田光作『文明の子』を読んで

太田光さんの小説を読んだのは2冊目です。

『文明の子』の前は『笑って人類!』を読みました。
『笑って人類!』はボリュームたっぷりでしたが、一気に読み、読み終わった後になんだか希望に満ちた感情になったので、別の太田光作品を読んでみようと思いました。

『文明の子』は、いくつかのSF的なストーリーが進行していく内容です。
複数のストーリーは最終的には一つのまとまりになります。
小説の内容には、<科学>と<想像力>と<別世界>という要素が入っています。

読んでいる間は、なんだか太田光さんの、メッセージをビシビシと受け取る感覚になりました。
不思議な感覚です。
他の人の本を読んでいる間はあまりこのような感覚になりません。
(これは太田光さんが、TVスターであり、私生活に関する情報を私が普段から意図的に摂取しているからでしょうか)

太田光さんのメッセージは、これは『文明の子』でも『笑って人類』でも同じですが、「未来はいつも面白い」だと私は思っています。

私は何事においても、いつも悲観的な考え方をする人間なので、このメッセージは励まされているような気がします。

そして、未来を面白いと感じる、現実を面白いと感じるために大切なことは、想像することだというメッセージを感じました。

想像する、イメージする。
大人になると忙しくなり想像すること、妄想することをしなくなると思います。
想像することが、目の前の現実を、次の未来を楽しむコツだということを文明の子から感じました。

この想像することの大切さの他にも、『文明の子』を読んで気になったところが2点あります。

1つは多元的宇宙論についてです。
次元を超えた世界、マルチバースが『文明の子』には出てきますが、この理論についてもう少し知りたいと思いました。その論理的な話というよりはむしろ、マルチバースがあると私たちが考えることで、目の前の現実をどういう風に捉えることができるのか、ということが気になります。

(私は、あまりにも現実が自分にとって辛い時に、違う次元のことを考えるという対処法を最近身につけました。おすすめです。)

2つ目はフランケンシュタインについてです。
『文明の子』には、フランケンシュタインの話が出てきます。
人造人間 フランケンシュタイン。
私はその姿形はイメージすることができても、ストーリーはあまり知りません。
ロボットが現実的に実現しようとする現在、フランケンシュタインのストーリーから何か感じる部分があるかもしれないと思いました。
(会社などには時折、精神的サイボーグみたい人、メンタルフランケンシュタインみたいな、強靭な大人を見かけます。
フランケンシュタインのストーリーからその人のツボを捉え直せるのではないか?なんて考えていました。)

想像力なんて目の前のタスクをこなす上では大した戦力にならない という考え方に陥りそうになる日々。
SF作品って、時折摂取しないといけないと感じました。

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