「真夜中の訪問者」

雪山で独り
テントの中で寒さに耐えながら
シュラフにくるまって寝ていた
骨が凍るような寒さだった

真夜中に吹雪になった
強風でテントがバタバタと
大きな音をたてた

食べ物の臭いを嗅ぎ付けたのか
時折、何かの動物が
テントに体を擦りつけてくる

熊だろうか、それとも狐だろうか

寒さと疲れで意識は朦朧としていた

大きな声を出したり、
手や足で内側からテントを叩いて威嚇して、
どうにか追い払おうとしたが、
効果はなかった
動物たちとの戦いは一晩中続いた

寒さと恐怖でほとんど眠れぬ夜を過ごした

目が覚めると

積もった雪で
テントが左右から
押し潰されそうになっていた

テントに体を擦りつけていたのは
動物ではなく
テントを滑り落ちる雪の塊だったのだ

思わず苦笑した
あくびが止まらなかった


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