「若いころ炭鉱の街で」

炭鉱の街で独り酒を飲む
客も女将も騒がしい

独りのわたしを気遣って
女将が話しかけてきた
女将はだいぶ酔っていた

落盤事故で主人を亡くしたという
炭鉱が憎いという
されど炭鉱を去りがたいという

酒は甘く、そして苦い

わたしは三杯立て続けに飲んで
他の客と一緒に歌いはじめた
そして酔い潰れるまで飲んだ

青二才のわたしには
それしかできることがなかったのである



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