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BtoBのマーケティング設計の基本について(前編)

こんにちは。今回は「BtoBのマーケティング設計」の基礎的な内容について書いてみたいと思います。

少し長く感じたので前編・後編に分けてみました。前編では主に、マーケティングとはなにか、マーケティングの基本、マーケティングを始めるためにまずやることについて、後編では、BtoBにおける製品・サービスの差別化と成長の視点、カスタマージャーニーマップの活用、KPIの設定と予算の策定について説明していきます。

後編については以下からご確認いただけます。


新しい製品・サービスを企画したり、Webサイトを構築・リニューアルしたり、広告を出稿したりする際に大切なのは、施策単体で考えるのではなく、全体を俯瞰して、その施策がビジネスにおいてどのような「位置づけ」なのかを思考することです。それはBtoBでもBtoCでも大きく変わらないと思います。施策を実行する際には、目的、予算、費用対効果を考慮する必要があります。それらの施策に一貫性を持たせ、戦略的に実行するのに役立つのがマーケティング設計です。特にBtoBではマーケティング部門が見込み顧客に接触して、セールスが受注するまでの期間(リードタイム)が長い傾向にあるため、マーケティング設計がより意味を持つようになります。

マーケティングについて

一般的にマーケティングの基本にあるのは「提供価値」です。これはBtoBでもBtoCでも同じという認識です。企業や組織が提供する製品・サービスが、顧客にどのような価値をもたらすのかを考えることが、マーケティングのはじめの一歩となります。なお「提供価値」には、感情的、社会的、その他の要素を含むことがあり、顧客によって受け取り方が異なる場合もあります。

アメリカ・マーケティング協会(AMA)の公式の定義では「マーケティングとは、顧客に向けて価値を創造し、伝達、提供し、組織および組織をとりまくステークホルダーに有益となるよう顧客との関係性をマネジメントする組織の機能および一連のプロセス」とされています(『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』から引用)。この言葉が示すように、マーケティングは顧客を理解し、適切な価値を提供するための広範な活動を含むものと解釈できます。

「提供価値」を考える際には、バリュープロポジションといった概念を活用するとよいでしょう。バリュープロポジションは、企業が提供する製品・サービスが顧客にどのような価値をもたらすのかを明確にするためのものであり、顧客が求める価値と、企業が提供する価値を揃えることを目指すものです。例えば「バリュープロポジションキャンパス」というフレームワークがあり、それを活用すると、提供価値の明確化に役立ちます。

マーケティングを始めるには、まずは「何を」「誰に」

マーケティングは、さまざまな施策を組み合わせて成果の最大化を追求する活動といえます。そのような取り組みの中で、まず最初に行いたいのが「何を」「誰に」提供するかを明確にすることです。
「何を」提供するかについては、すでに製品・サービスが存在する場合はそれを、製品・サービスの企画から始めるのであれば、ゼロから考えていかなければなりません。

「誰に」提供するかについては、ペルソナを作成することが多いです。ペルソナは、ターゲットとなる見込み顧客を理解するために作成する仮想の顧客像です。どのような人が、どのようなニーズを持っているのかを具体的に把握できます。ペルソナは、実際の顧客データに基づいて作成する場合も、理想の顧客像を基に構築する場合もあります。具体的な名前や年齢、性別、職業、趣味などを書き出し、詳細にイメージを文書化することで、マーケティングに携わるメンバー全体に共通認識を持たせることができます。

例えば、製造業向けのBtoB SaaSプロバイダーが新しいソリューションを提供しようとしている場合、そのターゲットとなる顧客像として「中規模の製造業のIT担当者で、生産性向上とコスト削減に関心がある」とペルソナを設定したとします。このペルソナの業務フローや課題を具体化し、この製品をどのように知り、導入を検討し、社内で承認されるかを想定することで、どのような施策を打つことが有効かを検討できます。

ペルソナの例:名古屋の中規模自動車部品メーカーのITマネージャー

終わりに(後編へ)

この原稿は後編に続きます。後編では製品・サービスの差別化と成長の視点、カスタマージャーニーマップの活用、KPIの設定と予算の策定について、お話します。
後編は以下からご確認いただけます。



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