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ダメおやじの北海道自転車旅(釧路>稚内) その9<8日目>

これは、定年退職直前のダメおやじが体験した自転車旅の顛末です。

 昨晩は「夜泣きそば」目当てに急いでホテルまで戻ったので、朝食の用意がない。ドーミーインだから朝食だけでも付ければよかったかな? そうは思ったもののすでに後の祭り。仕方がないのでちょっと外出してコンビニで朝食用のパンと飲み物ほかを調達してきました。
 この日はこの旅一番の長丁場となる予定。網走から紋別までの144kmです。出発の準備を済ませ、7時30分くらいにスタートです。

サロマ湖、何も見えない・・・

 天気は曇り。若干霧もかかっています。雨が降っていないだけで満足です。地図でルートを確認したところ、海沿いに進まなければちょっとルートをショートカットできそう。うん、これで行こう。だってもう足がへとへとだもの。
 ただ、ルート上には「サロマ湖」の文字が。ここは景勝地だから寄っていくことにします。国道239号線から道道442号線に入る分岐点に道路標識があった。6km先にサロマ湖があるらしい。さあ行きましょう。
 なのだけど、この6kmがまあ長く感じてしまいました。しばらくは両側に畑が広がっていたのに、しばらく行くとあら原生林に取り囲まれています。それでも走り続けて、湖に到着。駐車場らしきところがあったので停車して一休みします。

サロマ湖 曇っていて何も見えない・・・

 朝、朝食とは別に買ってあったパンケーキとブラックコーヒーで気分転換です。天気良くならないかなあ、と思いつつまた走り始めます。
 自転車でサロマ湖畔の国道239号線を進んでいくと、あら天気が回復してきました。で到着したのが道の駅「サロマ湖」です。あら、ここもサロマ湖なんですね。

道の駅「サロマ湖」 天気が回復してきました

 この道の駅に「2km先に展望台がある」って書いてあった。天気も良くなってきたので「展望台って見晴らし良さそうだ、ちょっと寄って行くのもいいかも」と思って高台に続く道を探したんだけど見つからない。後で地図を確認したら、ちょっと先の道から左折して上って行くとあったよう。そこまで気がつきませんでした。なので、道の駅でトイレだけ借りて再度走り始めます。

道の駅に遊園地?

 走り続けるとまた道の駅がありました。道の駅「愛ランド湧別」です。ここ、ちょっと変わっている道の駅です。なんと遊園地が併設されています。

道の駅に併設された遊園地 さすがに平日なので人は少なかった
360度カメラの写真はこちらから

 平日なのだけど営業していました。人はまばらだったけど。
 また天気は曇り空に。汗をかいた服に風が吹いてきて寒い寒い。体を温めたくて、ここで温かい昼食をとって体温回復しましょう。2階のレストランで塩ラーメンをチョイス。遊園地の見える席で出来上がりを待ちます。
 自分の食券の番号が呼ばれて、セルフサービスで席に。

遊園地の見える席で塩ラーメンをいただきます

 「ラーメンは根室以来かな。いや、昨日の夜網走のドーミーインで夜泣きそばを食べたなあ」とか考えつつ塩ラーメンを食べる。あらら、熱々じゃないなあ。味は美味しかったのに、ちょっと残念でした。

チェックイン時間前に到着したので街を下見

 昼食を終え、道の駅「愛ランド湧別」を出発します。延々と国道239号線を紋別に向けて走ります。天気は曇り空ながら雨の心配はなさそう。いい感じです。
この日の宿泊地である紋別まであと少しというところで、また施設があったのでトイレ休憩です。「あおぞら交流館」と「海と大地の遊び場」という二つの施設が合わさったもので、屋外で色々と楽しめる場所のようです。北海道にはこんなのがいっぱいあるのね。
 ちょこっと時間を潰して再度スタート。この日の宿「紋別プリンスホテル」のチェックインは15時からなので、それに合うようにゆっくりと進み、紋別の市街地に到着です。チャックインの15時にはまだちょっと時間があったので、紋別の市街地を自転車で下見しました。チェーンの居酒屋なんかもあるけど、もちろんそんなお店がお目当てじゃない。良い店はないかな。
 と、「紋別プリンスホテル」のチェックイン開始時刻の15時になりそうだったので、ホテルへ。15時ちょうどにチェックイン出来ました。よかったよかった。「紋別プリンスホテル」にも天然温泉がある。うん、またまた一番風呂。良き良き。
 この後はいつものルーティーンの洗濯・乾燥です。ホテル内のコインランドリーで済ませます。ありがたいです。さあ、夜の紋別に出かけましょう。

小洒落たイタリアンでまた出会い

 このタイミングで考えていたのは「北海道に来たのにまだスープカレー食べてないなあ」ということ。で、さっきの下見で発見していたカレーショップをまず目指して歩き出します。「ナマステ・ネパール紋別店」です。ただ、この店はインドネパール系の本格カレー店で、スープカレーもあるにはあるんだけど、スープカレー専門店じゃないからなあ。ちょっと心配です。
 で、店の前まで行って店内を覗き込んだところ、あれ、店員さんが一人テーブルで暇そうに休んでます。お客さんがいません。水曜日の18時過ぎでこの状態ですか。ちょっと躊躇してしまいました。
 「他にいい店あったかな?」と考えたところ、この店に来る途中に、メニューが書かれた黒板を店頭に出している小洒落た店があったことを思い出した。そちらも覗いてみましょう。イタンリアンの「dining cafe quattro」(クアトロ)というお店でした。外から確認すると既に2組のお客さんが入っている。これなら安心できます。
 というわけで入店し、いつものように「一人なんですけど」と告げると厨房が覗ける4席あるカウンターの左端に案内されました。ドリンクメニューはラミネート加工されたものがあったけど、料理のメニューは黒板に書かれています。ちょっと悩んで、飲み物は北海道のクラフトビール(?)「sorachi1984」、料理はサラダとカルパッチョとアヒージョをオーダーしました。

生ビール「sorachi1984」 美味しかったです

 厨房では男性二人ですべて作業をこなすツーオペ体制でした。まずビールが到着。これ、美味しかったなあ(後日調べたらサッポロのブランドなのね。関東でも買えるみたいなので今度探してみよう)。
 カルパッチョはタコでした。これ、ソースが効いていて美味い! サラダもグッド。アヒージョも最高です。sorachi1984を2杯いただいた後はハイボールに切り替えて、楽しみます。

イタリアン「クアトロ」の料理 どれも大変美味しゅうございました

 ここらへんでマスター(?)から「どちらからです?」と声をかけられました。なのでいつもの話を披露すると「それは大変ですね」と言って後ろのスタッフに「今日、自転車で網走から来たんだって」と話を展開してくれます。「どこに泊まるんですか?」とかそんな話をしつつ、お客さんからオーダーが入ると作業に移って、とか忙しいです。入店時は自分の他に2組だったお客さんもすでにほぼ満席になっています。そんな状態でも話しかけてくれるマスター、大変優しい方ですね。
 ここで、20代くらいのメガネ女子が一人で入店してきて、カウンターの右端に案内されました。アルコールが飲めないようで、ソフトドリンクとアヒージョと何かもう一品くらいをオーダーしています。
 優しいマスターは当然、彼女にも声をかけるわけです。で、その会話はこちらの耳にも入ってくる。なんでも彼女、この日の宿である「紋別プリンスホテル」で1カ月限定のアルバイトとして働いているとのこと。最近では、観光地のホテルに滞在しながら期間限定で働くというバイトを紹介している求人サイトがあるらしい。彼女はその求人サイトで今回紋別に来てもうすぐ期限の1カ月となるので、街に出て食事しようと思ったとのこと。
 マスター曰く「以前にもそういうお客さんが来たことがあったなあ」。宿泊+3食付きなのでバイトしている間はお金が貯まるという話。「なんだか1日1万円貯まっていったとか聞いたよ」「いやいや私はそんなに貰ってませんよ」などなど、会話が弾んでいきます。
 こんな会話にマスターがこちらも巻き込んでくれました。「こちらのお客さん、紋別プリンスに今日泊まるんですよね」。こんなきっかけを作ってくれたので、二人でも会話を続けることが出来て、色々とお話をお聞きしました。彼女、以前は普通の企業に勤めていたんだけど注意力散漫で「自分には合っていないなあ」と思って退職。それ以降、こういうバイトを続けているのだそう。「旅行が好きなので自分に合っているかなと思って。アルバイトなんだけど旅行している感覚なんです」とか「これまで、五島列島や茨城、長崎なんかで働いて。色んな場所で友達ができるのが楽しいです。次は鹿児島です」とか。
 こちらは追加でオーダーしたバジルソースのピザを食べながら聞いていたのですが、このピザがまた美味しい! 

バジルソースのピザも絶品でした

 2切れ残ったところで、彼女に「これ美味しいから食べてみる?」と聞くと嬉しそうに頷いて、二つのうちどちらを選ぶか悩んでいるようだったので「大きい方食べていいよ」と。彼女ニッコリ笑って大きい方を食べて「本当に美味しいですね」だって。喜んでいただいてよかったです。
 と、自分はここで食事を終了。お会計をしたら、あらそんなんでいいの?かなりお安いです。「地元のお客さんが中心なんでリピートしてもらわないといけないですから」とのこと。ふむ、納得です。
 そしていつものようにマスターに「この辺りでいいスナックないですか?」と聞くと「********」(一応伏せ字にします)というお店を紹介してもらいました。「私と同い年のママがやっているんだけど、そのママさんの名前が********(こちらも伏せ字で、ある芸能人と同じ名前)っていうんです。今、その息子さんがうちの店に来てる。あそこ」と、そっちを見ると長い髪の女性の後ろ姿の向こうにイケメン男子。あら、そうですか。
 メガネ女子の彼女は「朝、バイキングでお会いできるかもです」という話だったのだけど「素泊まりなので会えないね」とサヨナラしました。マスターに名刺をいただき、スナックまでの道順を教えてもらっていざスナックへ出陣です。 

芸能人と同じ名前のママのスナックに侵入

 街に出てマスターに教えてもらった道順で進む。ちょっと迷ったけど見つけました。
 入店するとお客さんがかなりいますね。繁盛しているお店のようです。スタッフは女性4人。「一人です」というとカウンターの端っこの方に案内されました。その案内してくれた女性に「*******さん?」と聞くと「いえいえ、ママはあっち」「どうも」みたいな感じでママが登場。あら若い。あんなに大きな息子さんがいるようには見えません。「クアトロのマスターから紹介されてきました」「あら、そうなのね」そんな感じでハイボールをお願いして会話がスタートです。
 いつものこちらの話をはさみつつ、ママさんの身の上話を聞いていきます。ママさん、19歳で結婚して20歳で長男を出産。その後次男ももうけるが、長男が小学校3年生、次男が年長さんの時に離婚したんだとか。理由は旦那さんのギャンブル癖だったらしい。漁業をやっていると収入はそこそこ高い。なんだけど、あんまり楽しみがない地方都市だとギャンブル特にパチンコにのめり込む漁師さんが多いんだとか。なるほどね。なんか納得です。で、離婚してからはシングルで現在に至るという話でした。人生いろいろです。
 ママのほかに、ちょっとボーイッシュな女性ともお話ししました。彼女の人生もいろいろでした。いろんな立場の人がいて、地元のスナックではそういう人たちと出会えるんです。だから楽しい。
 ハイボールの杯を重ね、いい気分になったところでそろそろ退却しましょう。楽しい時間をありがとうございました。

🔳🔳 教訓 🔳🔳

今時はいろいろな働き方があり、いろいろな人生がある。正解はないのだろうから、好きに生きたもん勝ちなのかな。


次回「その10<9日目>」(近日公開)に続く。


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