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JapanCoffeeRoastingChampionship2022Finalを終えて

 【はじめに】

 スポーツに限らず様々な分野でコンテストや競技会というものが開催されています。そこで上位の成績を収めた技などが至高かというと価値観は多様なので高評価をする人もいればそうでない人もいると思います。それでも言えることはそれらコンテストや競技会で最後の舞台に立っている人は間違いなく研究し、努力を積み重ねてきているということ。競技のルールを理解し技を磨いた人が集まり、お互いに磨いてきた技を披露する。そして最後まで残った人たちはその道において間違いなく研鑽を積んできた人たち。

 これは嗜好品と言われるコーヒーにおいても通じると思っています。味の好みは自由で浅煎りのコーヒーを好む方、深煎りのコーヒーを好む方、特定の産地のコーヒーが好きな方、フルーティなコーヒーが好きな方、苦みの強いコーヒーが好きな方様々な方がいてそれでいいのが嗜好品だと思います。

 今回私が出場したJapan Coffee Roasting Championship2022は焙煎の技術を競います。9/14、15ではその日に提示されたコーヒー生豆を鑑定する競技、提示された課題豆をサンプル焙煎してその特徴を把握してそれを活かす焙煎計画を立て、それに沿って焙煎をする。そして計画と実際の味がどこまで重なるかというところを審査していきます。

 審査をする審査員は専用のプログラムを受講して試験を通過した人たちです。試験を通過するということは高評価を受ける味があるということです。好き嫌いという嗜好ではなく、客観的に評価される味があるのです。それは事前に競技者たちへ公開されることはありません。競技者にとってここは「予測」になってしまうところではあります。

 【競技初日】

2022年9月14日朝、都内にある会場へ向かいます。ここには予選に参加した40名の中から勝ち抜いた6名の焙煎士が集まります。競技は初日から行われるため私は前日から都内に滞在し、余裕をもって会場にけるようにしていました。会場に到着したときはまだ関係者の方が競技会の準備をしており会場内に入ることができなかったので外で待っていました。そこへ次々と到着する他の競技者たち。決勝大会に残った6名のうち何名かは知り合いだったので集まれば自然と近況の話になります。緊張感がある中での会話は少しリラックスすことができました。そうこうしていると会場の準備が整い中に入るよう案内されます。

 会場の中に入るとまずは競技順を決めます。私はこれまで参加した競技ではかなりの確率で「競技順1」を引いてきていました。競技は6名が順番で進めていくので1番は焙煎機の状態がまだ固いだろうと予想していたので避けたいというのが内心ありました。なので競技順は1番以外がいいと思っていたところ、同じように1番を引きやすい人がいて「くじは最後に引きたい」
と言っていました。私も「こちらも同じような経験をしている」旨を伝えたところじゃんけんでくじ引きの順番を決めることになり、私はここで見事じゃんけんに勝ったのです。

 これで1番は避けられると思っていた私は他の人達のくじを見守っていたところ、私の前で出た数字は2~5。つまり1が残ったのです。ありえないですよね?結局競技順は1番なんですよ。というわけで競技順も決まり、オリエンテーションが始まり決勝大会について説明が始まりました。

 オリエンテーションが終わるとさっそく競技に入っていきます。

競技は一人ずつ進めていきます。初日の項目は「生豆鑑定」「競技で使用する生豆の試し焙煎」「競技で使用する焙煎機の動作確認」「試し焙煎したコーヒー豆のカッピング」となります。別会場で行われるものもあるため競技者はそれぞれ入れ替わりながら、移動しながら進めていきます。結構タイトなスケジュールであっという間に初日は終わりました。

【ローストプラン】
 
 初日の競技が終わると解散となります。そして2日目の競技が始まるまでの時間はフリータイムかというとそんなことはなく、初日に各自が得た情報から2日目に行われる焙煎競技をどのように行うかの「ローストプラン(焙煎計画)」を予め作成して競技前に提出をしなければなりません。そのため初日の夜はその「ローストプラン」作成に充てました。

 だって、競技順1番ですから!
 8時30分競技開始なので2日目に作成する時間ないです!
(最終競技者は17時くらい競技スタート)

 初日の試し焙煎をカッピングした結果からローストプランを想定していくのですが、競技者ごとに味の出方が異なるだろうし、競技で使用する焙煎機は動作確認できたものの、実際どうなのだろうか?というところもあり計画を作成しては書き直し、また作成しては書き直しを繰り返して最終的にまとまったのは深夜2時を回っていました。

 競技スタートまであと6時間30分

【競技2日目】

 2022年9月15日、競技2日目の朝は6時に起床。競技が始まるまでに頭を起こしておかなければならないので集合2時間前に起きました(本当はもっと早く起きたかったですが無理でした)。午前8時前には会場前に到着し、昨夜立てたローストプランを見直します。競技前に提出してしまうので計画を覚えておかないといけないからです。

 会場の中では既にスタッフの方が競技に向けての準備をしてくれています。スタッフの方は競技者よりもかなり早く会場に来て準備を進めてくれています。この方たちがしっかりと準備をしてくれることで競技会は遅滞なく円滑に進んでいくのです。

 準備が整うと会場の中に案内されます。そして昨夜作成したローストプランを提出し、競技開始となります。競技はシングルの焙煎に30分、ブレンドの焙煎に60分与えられます。ローストプランを立てるときいろいろ考えたのですが結局頭と体が一致する、つまり「いつもどおり」で挑むことにしました。

 いつも通り生豆を計量し、いつも通りの予熱で、いつもどおりの焙煎をする(ここには「いつも通りの焙煎機の状態にする」というイレギュラーな過程を入れています)。これをやりました。

 なんだか普段コーヒー豆を買ってくれている方に対しても「いつもどおりお届けしている焙煎やってきましたよ」と言った方がすんなり受け入れてもらえると思いました。だって「競技用の焙煎してきました」て言ったら「競技の方が真剣なやつ?」てなってしまうかもしれないから。

 普段から競技会の本番のように取り組んでいる。
 普段こそ本気で取り組んでいる。

 こう答えることができる。そう思ったら競技が終わったあととてもすっきりとした気持ちになりました。90分間の焙煎競技は「いつも通りの本気」で取り組んできました。

【3日目】

決勝大会3日目は審査とオープンカッピング。
午前に開催される審査に競技者は関われないので、午後から行われるオープンカッピングという誰が焙煎したものかはわからないけれどカッピングできますよ。というのに参加しました。

 午前はホテルからも追い出され、時間を持て余したのでふらふらしていたところを同じく競技に参加された畠山さんという素晴らしい実績を持った方とばったり会ったことから3時間くらい一緒に話をさせてもらいました。

 話していると尊敬の念が湧いてきました。他の競技者もそうですが話していると皆さん真摯に取り組んできていることがとてもよく感じられます。そんな人たちと一緒に決勝大会に臨むことができたことそのものが財産になると思いました。もちろん誰もが世界一を目指しているのですが、それでもこうやって話ができることが素晴らしいと感じます。本当によい機会でした。

 結果発表は10月14日、SCAJというコーヒーのイベント最終日に発表されます。どうぞお楽しみに!

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