見出し画像

13年越しの

 2024年6月、軽井沢にある珈琲焙煎所COFFEE ROASTERY  NAKAJIの代表中村は初めてベトナムのコーヒー農園に行きます。今回の目的は「ベトナム・ダラットで生産されるアラビカ種を広めていくプロジェクト」の中で主に鑑定士として生産現場の視察をするということです。

 この話を受ける一番のきっかけは私がコーヒーを仕事にする第一歩として取得したコーヒーの国際資格(Q arabica grader)で出会った友人です。

 私たちが出会った2010年当時、友人は既にコーヒーを取り扱う企業で仕事をしており主に産地での買い付けに携わっていました。Q arabica graderの試験にお互い合格して資格を取得した翌年、私は愛知県で自家製ケーキと自家焙煎珈琲のカフェを開業しました。
 
 その友人はそのカフェに京都から電車を乗り継ぎ、バスに乗って足を運んでくれ妻が作ったケーキと私が焙煎して淹れたコーヒーを味わってくれました。そのころから私たちは「いつか一緒に仕事をやりたいね」と話したものです。しかし企業で買い付けをしている友人と個人でカフェをやっている私が一緒に仕事をするのは今すぐではないなということは理解していたので私は一つずつ実績を積み上げていくことが一緒に仕事をする機会を作ると思い競技会に出場したり、鑑定士をして適切な評価ができることはもちろんですが私が鑑定した結果を見てもらえる存在になっていくことを心掛けていくことにしました。

 友人とは年に数度連絡をとったり、たまに一緒に食事をしたりして近況を語り合ったりしてその関係は細く長く続いていました。

 友人はバイヤーとして産地を回る者としての経験を着々と積み重ね、私は焙煎の競技会でファイナリストとなったり台湾の珈琲鑑定を請け負ったりエチオピアにカッパー(いわゆる鑑定士)として買い付け商社に同行して購入すべき生豆を選定するなどこちらも個人としてできることを少しずつ積み重ねていきました。

 実際のところ競技会に出場するということは個人で店をやっていると勉強のための講習に参加したり、検証のための焙煎をして色々研究するので販売できないコーヒー豆も多く生み出してしまいます。また検証のための器具類の購入など出費がかさむのに売り上げも下がるという現象が起きるので「どうしようかな」という考えが頭の片隅にもやもやと出てくることもありましたがその都度ルワンダへの思いや友人に「いつか」と言っていることや、周りのロースターたちも似たような環境の中でチャレンジを続けていると思うと途中で投げ出すことはできないと再び気持ちを奮い立たせて挑み続けるということは何度かありました。

 そして出会いから13年経った2024年、遂に一つのプロジェクトに同じチームで取り組む日がやってきました。それが今回のベトナム・アラビカを日本に紹介するプロフェクトです。初のベトナム訪問は13年越しの友人との初プロジェクトとなります。

 今回アライバル(コーヒー生豆がベトナムから日本に到着し通関を終え日本国内を流通できる状態になったもの)を焙煎してカッピング(鑑定)したところブラインドで提供すればベトナムのコーヒーだと気づかないのではないかと思うほど素晴らしい仕上がりです。でもここがスタートです。もっとできることはあるのでそれに取り組み数年後にはアジアのコーヒーを携えてそれを世界に紹介しにいきたいと夢が膨らんでいます。

 これを読んでくれているロースターにはベトナムアラビカの生豆を、コーヒー豆を買ってくださっている方にはNAKAJIがしっかりと特徴を引き出したうえで飲みやすくした焙煎豆を紹介、お届けしていきますので楽しみにしていてください!

 13年越しの友人との仕事にとてもワクワクしています!


 

いただいたサポートは産地を訪問し日本と産地とをつなぐ活動に使わせていただきます。