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ストレッチ-ショートニングサイクル(伸張-短縮)のメカニズムと強化方法(経済的なスプリント走(SSCの効率的な利用)では、力学的エネルギー全体のおよそ60%を回復することができる)

ストレッチショートニングサイク(SSC)の効率的なメカニズム

ストレッチショートニングサイク(SSC)の効率的なメカニズムは、エネルギーを節約し、推進力を増大させます。

よく知られていることですが、反動動作(予備伸張)を行なった垂直跳びでは、(反動動作を伴わない)スクワットジャンプよりも鉛直方向の変位(跳躍高)が大きくなります。

研究結果からその変位の違いは18~20%から20~30%の範囲であり、跳躍高で換算すると約2~4cmになり、さらに、反動動作中の負荷やその速度を増大させます。

この現象は、「ストレッチ-ショートニングサイクル(SSC)」といわれるメカニズムの効果になります。

SSCは、伸張性局面(筋が伸ばされる)の後に等尺性の移行期(償却局面)が続き、その結果爆発的な短縮性筋活動が起こることが説明されています。

SSCは「プライオメトリックス(Plyometrics)」と同意語であり、「筋の可逆的活動(Reverside actio of Muscles)」とも呼ばれます。

その他のSSC活動の例としては走る、歩くなどの自然な動作の一部や投球動作のワインドアップなどがあげられます。

子どもから成人の間に起こる機械的なスティフネスの増加

Elliotによる1965年の調査によると、人の男性の腱の伸張強度は幼児では30MPa、成人では100MPaであり、約334%の違いがありました。

子どもが成熟するにつれて、腱のスティフネス(膝蓋骨)の差は縮小し、8~9歳までには、成人男性と男子の差は、94%に、成人女性と女子との差は84%までに減少します。

同様のパターンはヤング係数でも観察され、成人男性と男子の差は99%、成人女性と女子の差は66%になります。

ヤング係数(弾性係数)は、圧縮力に対するひずみの割合を意味し、軟部組織が軸方向の長さの変化に耐える能力を示します。

研究者らは、人の子どもから成人の間に起こる機械的なスティフネスの増加は、腱の微細構造のスティフネスの変化によると結論づけました。

短縮性筋活動(推進力)

SSCの効率的な利用はアスリートに運動の代謝コストの低下をもたらします。

これは、重い四肢の動物の走動作のエネルギーコストは、軽い四肢の動物とほぼ同じであることを示唆するデータによって裏付けられています(重い四肢は負荷と負荷速度を増加させる)。

さらに、Verkhoshanskyらの報告によると、経済的なスプリント走(SSCの効率的な利用)では、力学的エネルギー全体のおよそ60%を回復することができます(失われる40%は、次のサイクル中の代謝プロセスにより補充される)。

さらに、この非代謝性エネルギー源は走速度が上がるにつれて増加することが報告されています。

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