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たかがケーキ、されどケーキ

先日、結婚記念日に、夫がケーキを買ってきてくれた。
1人2個。
家族は4人なので、計8個。
箱は大きく、ずしりと重かった。

開けた瞬間、飛び込んできた映像に、めちゃくちゃ心が跳ね上がった。
カラフルで美味しそうなケーキたち!
「うわぁ!」
誇張無く、私は本気で笑顔になったし、顔がぱあああっと明るく輝いたと思う。
コーヒーを淹れて、みんなで食べた。
めちゃくちゃ美味しかった。
なにより、私の大好きなモンブランがあった。
夫が、私の好物を想像して買ってくれたものだとすぐにわかった。
家族の中で、モンブランが好きなのは私しかいないからだ。

実はここ最近、私と夫の仲はぎくしゃくしていた。
次男のことでいろいろあって、夫の次男への態度があまりに酷すぎて、悪気なくしていることだとわかっていても、長年積もってきたものが私の中で爆発してしまった。

薄々感じてはいたけれど、夫は家族への興味が薄い。
というか、それは周りが見えていなくて起こる出来事だというのもわかる。
定年退職してから特に感じる。
それまでは、仕事が忙しいのだろうと思っていた。
一日中、好きなことをできる時間ができてしまったら、家族への興味の薄さが、さらに明確にわかるようになってしまった。

自分の好きなことをして生きていきたいという気持ちは理解できるけれど、嫌だったり面倒なことはできるだけしたくないって思いもわかるけれど、でも最低限、親として、してほしいことはある。考えてほしいことがある。協力してもらいたいことがある。

ここのところ、自分と向き合うエッセイを書いていたからか、過去の自分の拙さとともに、夫の特性が見えてくる。
ああ、そうだった。
昔も同じようなことで、たくさん悩んできたなぁ。

私(たち)のことなんて、どうでもいいんじゃないか。
そんな不安に陥ることがあるけれど、モンブランはじめ、その他のケーキのチョイスが、子どもたちが好きなケーキであったことで、その不安が一気にとけた。

いつも夫が買うときは、ショートケーキ4個、シュークリーム4個みたいになりがちなのに。
今回のチョイスは、それぞれの好みを思い浮かべたんだろうな、という気持ちが伝わってきた。

我ながら単純だな、と思うけれど、こういうさりげない優しさと、ケーキという大好物の前に、あんなに沈んでいた心が浮上し、簡単に笑顔が復活してしまった。
でも、このくらい単純な方が、長い夫婦生活はうまくいくんだろうな。
ごちそうさまでした!

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