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人生は「そんなもんか」の連続なのかもしれない

ずっと憧れていた場所に念願叶って足を踏み入れても、「なーんだ、そんなもんか」と思うことがよくある。もしかしたら人生というものは、「そんなもんか」の連続なのかもしれない。

僕が初めて「そんなもんか」と思ったのは高校生のときだった。猛勉強の末に憧れの高校に合格した僕は、中学までとは頭脳も運動能力もレベルが桁違いに違うスゴい同級生に囲まれて切磋琢磨する高校生活を夢見ていた。僕が入ったのは県内一の進学校で、文武両道で有名だった。それまで地元では秀才の名で通っていた僕も、入学当初は本当に頭のいい彼らにテストでボコボコに負け、定期テストで下位10%になるという屈辱を味わった。さらにみんな恐ろしく勉強ができるのに部活も全力だった。水泳部の練習について行けなかった僕は毎日吐きそうになりながら意識が朦朧とするまで泳ぎ続けた。

しかしそんな生活もあるときから「そんなもんか」と思うようになった。高校2年生の頃だろうか。勉強と部活の両輪を全速力でグルグル回す生活に体が慣れ始め、学校の成績も部活の成績もどんどん上がり始めた。最初は手の届かない存在だった同級生にいつの間にか追いつき、追い抜き、気が付けば学年で上位の成績になっていた。あれだけ憧れていて天の上の存在だった彼らが、自分と何ら変わらない人間だったことに気がついたのだ。

次に「そんなもんか」と思ったのは、大学受験のときだ。僕は浪人して東大を目指していた。現役のときに数学0点を取り、受験者のうち下位5%という無様な成績で落ちた。こんな頭が沸騰するくらい難しい試験に受かる連中は気が狂ってるとしか思えなかった。しかし浪人して御茶ノ水の駿台で真面目に勉強してるうちに、模試では割と上位に食い込めるようになった。そして無事に東大に合格し......たら格好がついたが、残念ながら落ちた。あと5点くらい足りなかったと思う。落ちたのに「東大なんてそんなもんか」と言うのはあまりに身の程知らずだが、「なるほど。僕もあとちょっと点が取れてたら東大生になれていたのか」とは思った。一生縁がない秀才集団にだって、もうちょっと努力すれば入れたことが分かったのだ。最も結局落ちたので何も言う資格は無いのだが。

そして大学に入ってからは、もっと「そんなもんか」の連続だった。僕が入った私立大学は一応偏差値が高く、世間一般には秀才が集まる大学と認識されている。高校入学時点では今の大学に受かる未来なんて全く考えられなかったから、ここに入れたのも一つの「そんなもんか」だった。僕は理系のくせに数学と物理が苦手で、入学当初は大学の勉強についていけるかとても心配していた。が、ここでも「そんなもんか」が顔を出す。授業も試験も片手間に課題をこなし、過去問を参考にテストを受ければ簡単に単位が取れたため、全く苦労しなかった。同級生も恐ろしく頭がいいかと思っていたが、それはほんの一部で、概ね僕と同じくらいの学力だったから引け目を感じることもなかった。そして今4年生になって研究室に所属し卒業研究をしている。研究といえば巨大なコンピュータに囲まれて分厚い学術書を読み漁り教授からボコボコにされる毎日を想像していたのに、実際はネットでググったらわかる程度の知識を使ってプログラムをたまに書いてるだけだ。僕は院には行かないので卒業のためだけに研究しておりモチベーションも全くないのだが、それだけでも世に言う人工知能は手持ちのパソコンで作れてしまう。大学の勉強はアカデミックで高度な脳みそが必要だと身構えていたのに、これまた「そんなもんか」だったのだ。あくまで学部の勉強に関してだが。

サークルも「そんなもんか」だった。大学生と言えばサークルで楽しく活動し、飲み会ではっちゃける生き物だと思っていたし、そんな理想像に憧れてた時期もあった。しかし実際に参加してみて分かったのは、高校生と何ら変わらない恋愛話や下ネタで盛り上がるだけで、違うところと言えばそこに酒があることくらいだった。そして酒を飲んで騒ぐ大学生ならではの楽しみ方が僕には理解できなかった。酒を飲んで、くだらない話を大声でするだけで笑い転げる取り巻きたち。僕にとっては1ミリも笑えない話ばかりで、何の生産性もない飲み会に貴重な3000円を払う理由を見出せなかった。側から見たら毎日飲み会でウェイウェイしてる連中はキラキラしてる華やかな人たちに見えるかもしれない。しかし僕はその空気に一瞬で飽きたし、何も魅力を感じなかった。サークルも、飲み会も、これまた僕にとっては「そんなもんか」だったのだ。

就活だって「そんなもんか」だった。僕は今までインターンに参加したことがないし、ろくに説明会にも出たことはないが、それでもなんだかんだで内定をもらえた。もちろん就活するなら結果を出そうという気持ちで臨んだ。ただ僕は自分でメディアを運営したり、周りとはちょっと違うことに全力を注いできた。別にみんなと一緒にインターンになんか行かなくても、自分の積み重ねてきたことを率直に話せば評価してくれるんじゃないか、いや、評価してくれないところになんか行かなくていい、そんな気持ちで受けた。結果として東大生や京大生、早慶の学生が大半をしめる高倍率の企業から内定をもらうことができた。もちろん就活は運の要素が大きい。僕はたまたま巡り合わせが良くて受かっただけかもしれない。しかしその他大勢と同じ戦略を取らずとも、自分が何を求められているのか冷静に把握すれば、自ずと結果は出せるのだ。

しかも難しい選考を突破したからといって優秀なわけではない。就活をして分かったことがある。いわゆる外資系だったり日系の難関企業を受ける人の何割かは、就活塾みたいなものに通っていて、学生生活の大半を就活に捧げているのだ。僕の周りにもそんな人たちがたくさんいるが、彼らに対して感じるのは「そんなもんか」という感情だ。とんでもなく過酷な選考を突破した人の中には、この会社に内定もらえたら人生ゴールと思ってる人がかなりいる。そんな人と話しても、全然楽しくない。どんな有名企業に受かったところで、彼らが手の届かない天才というわけではないのだ。この前、同じ内定者の何人かと知り合ったのだが、ほとんどが「合コンでモテたい」とか「いい車買って乗り回したい」とか、低次元な目標しか持ってなくて心底幻滅した。看板だけは立派でも、中身は「そんなもんか」な人が多いのが現実なのだ。

そしてこれから始まる社会人生活も、もしかしたら「そんなもんか」ばかりかもという予感がしている。僕は本来ならもう働いてる年齢で、大学生というより社会人の友達が多いのだが、彼らの多くが平日は飲み会をして休日はゴルフや高級ディナーを楽しむ様子をSNSに上げている。もちろんそれが悪いわけじゃない。僕だって良いレストランに足を運べばTwitterに呟くし、旅行に行けばInstagramで詳細にストーリーに上げる。ただ毎日のようにどっかの高級店で焼いてる肉を見たり、寿司を一貫一貫撮った写真を見ていると、「結局社会人になっても美味い飯を食べたり旅行に行った写真をSNSにアップして自尊心を満たすだけの生活を送るだけなのか?そんなもんなのか?」と、社会に出る前から不完全燃焼な気がしてならないのだ。

社会人になれば今よりお金の余裕ができる。そのお金で高級なフレンチのコースに行ったり、今まで泊まれなかったホテルに泊まることもできるだろう。しかしそんな様子をSNSに上げて自己満足したところで、次に来る感情は「そんなもんか」なのだ。今までの経験上、憧れていたものは手に届くようになった瞬間、急激に輝きを失う。喉から手が出るくらい求めていたものも、いざ自分のものとなると、途端に興味がなくなり、気持ちが冷めるのだ。あれだけ片思いで好きだった人が、自分と両思いだと分かった瞬間に恋愛感情が失くなる奇妙な心理のように、「そんなもんか」と自己完結してしまう瞬間がいつかやってくる。僕の人生はこれから先も、「そんなもんか」の連続なのかもしれない。

さて、このブログをここで終わらせても「先の人生の展開が読めた気でいる生意気に大学生の戯言」としてそれなりに良い出来かもしれないが、鬱々としたエンディングは好きじゃないので「そんなもんか」の先の話をしよう。

「そんなもんか」と憧れが手に入るたびに冷める人生はつまらないとここまで書いてきたが、裏を返せば「そんなもんか」と思えるたびに自分も前に進んでいるとは考えられないだろうか。僕たちの「そんなもんか」とは、今まで手が届かなかった憧れを求めて努力した結果、ようやく手に入れたことで生まれた感情だ。つまり自分のレベルが上がったことで、目標をいつの間にか達成したことと同じなのだ。重りを付けたバットで素振りするうちに普通のバットのスイングスピードが上がるように、目標に向かって今よりちょっと高いレベルで鍛錬を積むうちに自分も進化したのだ。そう考えると「そんなもんか」という気持ちもあながち悪いものではない。

そして「そんなもんか」と思うたびに「ならもっとすごい高みを目指そう」と思れば、さらなる目標に向かって高くジャンプすることができる。お金の話になってしまうが、年収1000万円を目標に働いてた人がいざ1000万円稼いでみると「なんだ。1000万と言ってもこんなもんか。全然足りないぞ。もっと頑張らなくちゃ。」とさらに仕事を頑張るパターンが多いらしい。あまり良い例えではないかもしれないが、現状に満足せず、もっと上を目指すモチベーションをくれる「そんなもんか」はかなりいい起爆剤なのだ。

僕たちの人生は、これからも「そんなもんか」の連続なのかもしれない。いい大学に合格したい、モテたい、お金を稼ぎたい、タワマンに住みたい、海外旅行に行きまくりたい、いろんな憧れがあるだろう。しかし手に入った途端「そんなもんか」と感じるかもしれない。あれだけ夢見ていたのにと、ガックリ肩を落とすかもしれない。でもそれでいいのだ。「そんなもんか」と思ったなら、もっとワクワクする道を探せばいい。満足して現状維持に走るのが一番悪だ。「そんなもんか」と感じるたびにさらに上を目指すことを繰り返せば、生きてる限りドキドキする毎日を送れるはずだと、僕は信じている。

それでは素敵な1日を。


(サムネの写真はたまたま乗り換えで使ってあまりの長さにびっくりした武蔵小杉駅の横須賀線から東横線に乗り換える道中にあるエスカレーターでした。)


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最強になるために生きています。大学4年生です。年間400万PVのブログからnoteに移行しました。InstagramもTwitterも毎日更新中!