スタートアップと会計士

こんにちは、株式会社クラスの中島です。今回は、楢木さん(@TakeshiNaraki)開催の公認会計士Advent Calendar2023にお誘いいただき、初めてのnote投稿させていただきます。


はじめに

まずは簡単に自己紹介させてください。
家具と家電のレンタル・サブスク「CLAS」を提供する株式会社クラスという会社で取締役管理本部長をしている中島と申します。
個人向け:https://clas.style/
法人向け:https://clas.style/biz

会計士試験合格後、株式会社リンクアンドモチベーションでアルバイトとして経理業務に携わり、新卒で監査法人トーマツに入所。国内監査やリクルート業務に行い、2年半ほどで今の会社に転職したという感じです。

ここまでだと多くの会計士の方と比べてそんなに特徴があるわけではなく、このような経歴の中で何が書けるかなと、テーマを考えていたのですが、一つあると今の会社に創業当初にジョインしたこと、かなと。
設立2,3か月で、創業役員しかいなく、サービスローンチ前に入社の意思決定をする会計士はあまりいないだろうということで、特にアーリー前後のフェーズでのスタートアップの特徴。どういう会計士の人だったらマッチするか、を考えてみたいと思います。

結論から言うと、スタートアップで活躍する人物像と会計士としての強みがマッチする、みたいにきれいな感じでいこうと思ったのですが、考えてみるにいわゆる会計士の特徴を考えると全然はまらない笑
もちろんフィットする人もいると思いますが、よく会計士っぽくないよね、と言われるような人ですかね。

なので、とりあえずスタートアップで活躍する人物像と会計士でマッチしないところを可視化しようと思います。
少しでもアンマッチを防いで会社側も会計士側も失敗した!とならないようになればなと思います。
(という意味で、どちらかというとスタートアップ経験がないような会計士方向けの内容になってるかもです。)

スタートアップで活躍する人

スタートアップと一口に括っても、フェーズだったり役割で変わってくると思うので、ここでは創業からシリーズAくらいまでのフェーズでエクイティでの資金調達をするビジネスモデルの会社としたいと思います。

スタートアップで活躍する人材、は色んなところで話があったりしますが、個人的に感じたことを挙げていきたいと思います。
(以下も面白い記事ですね)

カオスを楽しめるか

資金調達をするようなスタートアップは「崖の上から飛び降りながら飛行機を作るもの」とよく言われます。

私はよく例えとして、「起業とは崖から飛び降りて、落ちるまでに飛行機を組み立てるようなものだ」と言います。非常に困難で、基本的には死ぬのが前提だからこそ、勝ち残るために考えうる全てのチャンスをものにしなくてはいけないのです。

https://logmi.jp/business/articles/36430

基本的に死ぬのが前提の環境ってめちゃくちゃですよね。この一言でもカオスさが伝わるかと思います。
当たり前ですがゼロから会社・サービスを立ち上げていくので、無いものしかありません。
立ち上げたサービスもPMFせずにピボットすることもよくあると思います。

資金調達をするようなスタートアップだと所謂Jカーブを描くことが多いと思うので、成長のスピードもめちゃくちゃ大事です。
資金調達しても基本は先行投資でキャッシュアウトするので、成長しないと次の資金調達ができずにキャッシュが尽きてしまうということですね。

他にもいっぱいありますが、とりあえずめちゃくちゃカオスな環境です。そして毎日のように変化があります。1週間前に言ってたことと違うというのもよくあります。
それを考えるとカオス、言い換えると変化を楽しむくらいの感覚じゃないとたぶん身が持たないです笑

成長ベクトルが合っているか

まだアーリーのようなフェーズだと、資金も潤沢ではないし、めちゃくちゃ優秀な人の採用も難しい状況です。
そうなると、必要なケイパビリティを外部調達することが難しいので、自身が成長することによって会社を成長させていく、というマインドが重要になってくるかなと思います。
そしてここで大事なのが、自己の成長ベクトルと会社の成長ベクトルがあっているということ。極端な話、創業当初のフェーズで内部統制の知見深めても全然会社の成長に寄与しないよね。という話ですね。

その上、上記にも記載しましたが、めちゃくちゃ成長のスピードが求められます。
となると、自身の成長のスピードもめちゃくちゃ速くしないと、会社の成長も遅くなるので、求められる成長スピードに間に合わないということになります。

なので、自己と会社の成長ベクトルが同じ方向でかつ成長スピードが速くないといけないという大分難易度の高い話に。。
実際は自己のベクトルを会社のベクトルに寄せにいくというのも多いかもしれません。

勇気をもって意思決定できるか

上記に繋がりますが、スピードも速いという環境下において、意思決定が遅くなることはリスクにつながります。
変化が激しい環境下では前提条件も変わるので、前提条件を整理して情報集めて、とかをやっているとめちゃくちゃ時間かかるし、前提条件変わる以上そもそも整理しきれないという状況もあるかと思います。

もちろん、失敗時の影響の大きさによって意思決定する前にどこまでリスクを抑えるかをみるのは非常に大事なプロセスだと思いますが、特にアーリーのようなフェーズだと失敗の影響の大きさより、意思決定遅くなることによる影響のほうが大きくなることが多いかなと思います。

となると、限られた情報の中でスピード感もって意思決定をする勇気もめちゃくちゃ大事な要素になると個人的に考えております。

会計士の特徴

会計士も一括りにするのも良くないと思いつつ、職業的専門家としての特徴や監査法人という環境要因で生じる特徴などを見ながら、スタートアップに活躍する人物像と照らしていきたいと思います。
あくまでどういう人がどういうフィールドに合うかなので、優秀・優秀じゃない、など上下を作るものではございません。

カオスに触れる機会が少ない

公認会計士の独占業務として監査業務があげられます。
多くは金商法や会社法で求められている会社の監査業務を行います。監査対象企業である上場企業や会社法の大会社となるくらいなので、基本的に出来ているものが多いです。
もちろん細かいことを言えばまだまだなところもあるかと思いますが、多くは事業は一定規模に育っており、管理部門もしっかりしている。少なくとも、「崖の上から飛び降りながら飛行機を作るもの」レベルではないですね。

そういう会社を多く見ていると、自分の中の「当たり前」が構築されていき、創業したての何もない状態をみて、「やばい、これも作ってあれも作らなきゃ」と過度に制度や仕組みを作る発想になりやすくなります。

全然何もないないなー、でもそもそも事業を成長させなきゃいけないし、とりあえずぐちゃぐちゃでも走らなきゃなーと思いながらくらいがちょうどいいかなと。
全部整えて解決しないと前に進めない、というような方だとミスマッチは起きやすそうです。

成長のベクトルが自己に向きがち

これは職業的専門家としては当たり前の発想かなとは思いますが、より知識や経験を深め、専門性を尖らせていく。という考えが多いかと思います。
よく会計士×〇〇みたいな話もありますが、専門性を高くして差別化を図ることで、自身の提供価値を高めるという話ですね。

会計士の知見・経験を活かしてどうするかという発想ではなく、会社の今のフェーズにおいてはここが重要だから、そこの知見・経験を深めるといった幅を広げていくような発想も持たないと、ある一時期はめっちゃフィットしてたのにフェーズが変わった瞬間に、あれ全然仕事できないじゃん、みたいな感じになりがち。

これは会計士に限らずのキャリア論的な話になってきそうなので、あまり広げたくないので、こんな感じで。
まぁとりあえず何でもやるよって人が向いてるってことですね。

過度にリスクを取りがち

これは監査業務という性質上そうなるのかなと思ったりします。リスクアプローチの考えもありますが、監査の結果何か問題があった時の影響が大きすぎて金融庁からの目も厳しくなるので、もはやミスを起こせないと。

本来リスクの考え方でいうと、リスクとリターンをみて初めて意味があるもので、リターンが大きければ大きなリスクを伴ってでも実行する、という意思決定もあるはずです。

監査業務に置きかえると、リターンの概念が基本ない印象で(あっても工数が少なくなるくらい?)、リスクをどう減らすかの議論しかされず、リスクのみに目が言ってしまうのかなと。
この考えに慣れすぎてしまうと、スタートアップに入った時にリターンに目がいかずリスクのみで判断してしまい、過度な制度や仕組みを作ったり、貴重な時間を費やして、事業の成長ひいては会社の成長の足かせになる可能性が高くなるんじゃないかなと。

さいごに

だらだらと書いてみましたが、何が悪いとかではなく相性の話なので、
ギャップがあること自体が問題なのではなく、ギャップを認識することで、そのギャップを埋めることが出来るかどうか、という視点で見てみるといいのではないかと思いました。

なんかつらつら書いてみましたが、結局はやるかやらないか、だけの話でしかないので、興味があったら飛び込むくらいな感じで全然いいかなと思います~

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?