#32 Cryptoの社会普及はどのように起こるのか~デジタルファッション・アイデンティ表現としてのNFT/SBTの普及~

Crypto winterと言われて長くなってきたが、実際足元の投資はCryptoが絡んだものは多いし、その可能性は信じている。VCという職業柄そういった変化を信じるのが基本的な態度なのでポジショントークでが多いにあるものだけれども。(変化がないと利益が生まれない)

しかし現状いまだけを切り取ると、特に日本においては、まだまだCryptoが浸透していっているようにはまだ思うことができないのが現実ではある。通貨的な意味においては発展途上国のほうがリバース・イノベーション的に浸透が早いかもしれない。しかし何個か社会実装されていく・されている分野はあると思う。

-金融資産としてのCrypto

どのようにBlockchain・Cryptoが社会に実装されていくのかということが考えていかないといけない問いではある。現状わかっているのはまず金融としてのCryptoはある程度社会実装されてきたことは事実ではないだろうか。まだまだ暗号資産の保有率は低いとはおもうが、暗号”資産”とあるようにアセットの一つとしての地位はだいぶ確立してきているように思える。

ボラティリティはまだまだ激しいものの、Bitcoinなどは特にDigital Goldとしての地位はある程度あるのではないかと思う。特によりトルコなど含めて今後世界情勢の雲行きが怪しくなりインフレなどによる資産に対して不安になればよりDigital Gold、リスクヘッジ資産としての価値は上がる可能性がある(それが世界にとって良いことではない気もしているが)

この領域においてはDefiという分野はもう社会実装されていっているといっても良いと思っている。そのため投資としてもNextfinancetechという企業に自分自身投資を行っている。

-ゲームにおけるCrypto活用(BCGはいつ普及していくのか)

なにかテクノロジーが普及していく上で重要な1つの役割はゲームであると思う。スマートフォンも最初はゲームからユースケースが広がって行ったと思うし、VRも大ヒットアプリはゲームが今のところ占めている。ゲームが新しいテクノロジーやデバイスなどが浸透していく切り口としての1つであることが間違いない。

STEPNなどは記憶に新しいとおもうが、そういったBCGは今後も出てくると思う。Play-to−Earnのような概念はユーザーのトラフィックハックにもなり得るが、諸刃の剣であったことも証明されたと思う。これから本当に使われるBCGがでてくることを願っているが、一旦この記事ではDeepdiveしないでおこうと思う。(どこかでもう少しリサーチした上で記事化しようと思う)


-デジタルファッション・デジタルアイデンティの表現としてのNFT/SBT

今回の記事で伝えたかったことだが、Cryptoの社会普及の方法として個人的に注目しているのがデジタルファッション・デジタルアイデンティの表現としてのNFT/SBTに注目している。ファッションというのを広義に捉えると個人的には自己表現だと思っている。どういうテイストの服を着るのか、どういう印象を人に与えたいのか、なにをメッセージとして伝えたいのかというのものがファッションであると思っている。そういった文脈におけるCryptoであり、Blockchainの利用方法が社会普及していくのではないかと思っている。

NFT-IPのようなものも購入するのもわかりやすく自己表現の一種であると思う。例えばBoredAppのようなものを持つことがWalletを通して誰の目にもわかるようになることによって、その人がそれなりのお金をもつステータスがある人間であることはわかる。

それは例えば現実世界で高級ブランドのバッグをもつような、もしくは家の中に高級なアートを飾っているようなことに近い。(ただNFT-IPは流動性と高くなりすぎた結果あまりにも投機的になっていたこともあるので、歴史ありまた実態があるブランド商品と全く同じだとは思っていない)

更にそこに同じようなコミュニティの人間がわかるようになるため、スタンド使いは惹かれ合うじゃないが、よりコミュニティ要素がファッションに伴いやすくなる。その効果は面白いのではないかと思う。

このようにWalletに紐づくことでその人のセンスでありデジタルファッションが全て見えるようになることができるようになるのが面白いポイントだと思う。今の世界で対面で会ったとしてもその人の服や発言やモノからしかアイデンティがわからないが、Walletが見れるとしたらその人が過去どのようなイベントに参加していたのかやどういう高校・大学を卒業したのか、どういうブランドが好きなのかが分かるようになる。Tokengated-Commerceという概念があるように、それをもとにその人の趣味嗜好が分かるようになってくる。

なのでこういったNFT/SBTの使い方からまず社会普及していく可能性があるのではないかと思っている。そういった意味においては日本は非常に相性が良い、それは推し活に近いからだと考えているからである。

推し活に近い概念を感じる:自分の好きの自己開示

推し活動、これは日本の文化の一つでもあるとおもう。(韓国のファンダムにも近いとは思うので全世界で同じような概念があると思うが)この推し活こそが、アイデンティの表現としては非常にわかりやすいかつWallletの概念をこの活動から見て取れる気がしている。

例えば下記のようなクリア窓付きバッグなどをもってそこにバッジや今までその対象に対しての愛の深さを表現することができる。そのためこういったクリア窓付きバッグなどが非常に相性が良い。こういったバッグなどを見ることで、アイデンティを確認することができる。


(引用;https://gaacal.com/products/s00005

このクリアバッグに個人的にはWalletの概念を見たような気がした。誰からも見える形で、自分が何が好きかを表現することができており、それをもとにコミュニケーションができるようになっている。

これがWalletになってくると、先程と重複するが部屋の中やクローゼットの中まですべて見せることができるようになる可能性があるのだ。なので既存の文化の延長でもあるため、デジタルファッション・デジタルアイデンティとしてのSBT/NFTは社会普及していく可能性があるのではないかと思っている

(引用:https://note.com/bakedporktiming/n/n0fe7a4604725

実際にBondeeのようなSNSだと実際にバーチャルな部屋を推し部屋にしてこれを公開しているような事例もでてきているため、このような欲求が不変であることを証明しているように思う。

広義でいうと友人のしゅーごくんがやっているPhiのようなものも同じような概念なきはしている。

(引用:https://coinpost.jp/?p=435063


”イベントグッズ”をDX化する「Mintice」への投資

そのため今回Minticeへの投資を行った。詳細はプレスリリースをぜひ見ていただきたいが、アーティストが発行できるデジタルグッズをSBTをつくって作れるサービスMinticeを開発している。

プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000127916.html

正直初期投資をしたころからは少し変容(Pivot)しつつはあるが、そもそもの初期仮説がこの記事の本題でもあるCrypto・Blockchainをどのように社会実装していけるか?という問いについて考えていくに値するチームだと思って投資をしているので、一つの解き方としてこのような事業になっていったことは良い流れだと思う。

NFTよりSBTの方がまずは社会普及する可能性がある?

今回はNFTでなくSBTにしていることも個人的には面白いと考えている。広義でいうとNFTのベン図のなかにSBTはあるイメージ(基本は同じ概念ではある)だが、SBTの場合流動性が起きない。流動性が起きないとということはNFTにつきものの価値や価格というものを常に気にしなくてもいいということだ。

流動性があると投機的になりやすい、投機的になりやすくなるとその本当にそのデジタルグッズが欲しい人じゃない人ばかりが入ってくる様になってくる可能性が高くなる。例えばポケモンカードのようなトレカが非常にそれを表しているように思える。単純に遊ぶための小学生などに届かず、メルカリやカードショップなどの流動性が高くなったため、投機的な目的で多くの人が購入しているからだ。NFTはこれと同じ構図に容易になりうる。

しかしSBTにすることによって本当にそのファンや好きな方だけが投機的な目的なく購入することができ、またWalletに入れて自分の自己表現をできるようになってくると思う。例えば好きなアーティストの初めての武道館のタオルなどを持っている人などいるのではないだろうか?そういった用途でこのようなSBTが使われていく可能性は多いにありえると思う。(またSBTにすることでNFTではできなかった販売方法などもあり得るのが面白いところだと思う)

グッズは欲しいけど部屋に限りはある

また別の課題として、例えばライブや何かのイベントに参加したときにタオルや缶バッジなどを購入した経験は大半の人はあるのではないだろうか?しかし実際にリアルンものは部屋にも限りがあるため、その後あまり使わずしばらくして泣く泣く捨てるという行為をした方も多いのではないかと思う。

そもそもグッズそのものが欲しいというよりはそのライブでの思い出がほしかったり、またそのグッズを通してクリエイターや演者に還元したいという気持ちのほうで動いていることが多いのではないかと思う。そういった場合にはこのようなデジタルグッズのほうが、場所はとらないしブロックチェーンに刻まれることで半永久的にそのグッズを保有することができる。

ではそのクリエイターのファンに飽きたときにはどうすればいいのかみたいなのはあるが、それはそうとうして残していくのも良いし、Vitalikの思想に乗っ取るとデジタルアイデンティは複数合って良いはずであるので、そのアイデンティごとにWalletをつくるような動きも出てくるのではないかと思う(X・Twitterのアカウントが複数あるように)

このような課題をぜひMinticeが解いていってほしいと思っているし、社会普及していくきっかけになればいいなと思う!がまだまだシードのスタートアップなのでPivot含めて正直わからないところがは多いが、期待している。


最後に:DIDの社会実装とSBT

DID(Decentralized Identifier)とは中央の機関や第三者に依存せずに、デジタルアイデンティティを確立、検証、管理するためのもので概念でもあるし、ブロックチェーンを活用した技術的な仕組みである。実際にいくつかプロジェクトも走っている(SovrinやMicrosoftIONなど)

こういった個人データの主導権を取り戻すような流れはあるだろうし例えば医療記録や学歴から職歴やら含めて自分のデータを自分で管理し、誰に公開するかを決められるほうが便利な社会になっていくと思う。

そういったDID的な活用のためにSBTはVitalikが考案したものであり、つまり今回の本題でもあるデジタルアイデンティ的な流れも組んでいるものであり、その目指す地点の最終到着地がDIDという世界なのではないかなと思っている。

しかし徐々に社会は変わっていくはずでありまず最初に起こるのが推し活などの分野であり趣味の分野において、こういったSBTの実装は始まっていくのではないかと感がている。しかしそれがどのぐらいの速さで普及していくかはこれからのスタートアップなどの企業の活躍に期待している。

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