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楽になったサンタは何を想う?

2022年12月24日、サンタは今年最後の仕事を迎えていた。

自宅で。

去年までは、子どもの枕元へプレゼントを届けていた。

しかし、今年は違う。自宅で仕事が出来る様になったのだ。

楽になった反面、もの足りなさ、もの悲しさも感じていた。

ここ数年のサンタ

子どもが希望するプレゼントをそれとなく両親に聞き出してもらう。親との連係プレーも大変だった。

なかなか教えてくれない子ども。「サンタさんは言わんでもわかるんやで」と目を輝かせて語る子どもを前に、その純粋さに感動しながらもめまいを感じる親。プレゼント注文から納品までの日数を考えると、タイムリミットが近いと焦るサンタ。

うまく聞き出したとしても、希望の商品が品切れになっていて焦るサンタ。注文できてホッとしているところで、「やっぱりあっちにしようかなぁ」とお願いを変えようとする子ども。内心焦りまくりながらもしれっと「元の希望のがいいな」と思わせるよう会話する親。

宅配業者が届けてくれたプレゼントを子どもに悟られないよう、目につかないところへ隠す親。

24日の深夜、抜き足差し足で親が隠した場所からプレゼントを持ち出し、子どもの枕元にそっと置くサンタ。

25日の朝、目を覚ますと同時に枕元を見てプレゼントが置かれていることを確認する子ども。包装紙をバリバリと破り、自分が希望した物である事を確認し、嬉しそうに親に伝える子ども。
そんな様子を微笑ましく見守る親。

苦労した反面、子どもの反応を直接見ることができないサンタではあるが、1年のうちで最大のイベントにやり甲斐を感じていた。

今年のサンタ

しかし、今年のサンタは違う。

プレゼントの注文から納品のリードタイムを考えて焦ることも、品切れに焦ることもなくなった。

さらに、子どもの寝顔を見ながら、そっとプレゼントを枕元に置く必要も無くなった。つまり、子どもの家に行く必要も無くなったのだ。

サンタがやること。

それは、

24日の深夜に、Webサイトでポチッとする

たったそれだけ。

先ほど、サンタは最後の仕事を済ませた。

Amazonで「スプラトゥーン3」のSwitch版をポチッとし、Nintendoのサイトでダウンロードを指示した。それでおしまい。

しかし、ちゃんとダウンロード出来ているのか不安を感じていたサンタは、やはり現地に行ってニンテンドースイッチを確認すべきか悩んでいた。
が、数十分後、サンタのスマホにダウンロードが完了した旨の通知が飛び込んできた。なんという時代だ。

サンタは去年までの7,8年を思い返しながら、もろもろ楽になった反面、もの足りなさというか、寂しさを感じている。

救いといえば、7歳になる次男氏が「父ちゃん、サンタさんにリンゴむいといてあげてや」と言い、リンゴ食べて下さいという手紙を書いてくれたこと。

そう、サンタにはまだ仕事が残っていた。

彼の家に行ってリンゴをきれいに食べるという仕事が。

「リンゴ美味しかったよ。ありがとう」という返事を残して帰りたい。その返事を見た次男氏は、去年までのように目を輝かせてくれるのだろうか?彼の喜ぶ姿が見てみたい。
しかし、筆跡からサンタの秘密が解き明かされてしまう恐れがあるため、サンタは「ありがとう。ごちそうさま」と寝顔だけ見て帰ろうと心に決めた。

おしまい。



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