サブスク隆盛で、遂にアメリカの楽曲の売り上げが2007年の水準近くに回復
デジタル化の煽りを受けて、米国の楽曲の売り上げは2010年前後に低迷していました。しかし、U.S. Recorded Music Revenues Are Still 46% Below 1999 Peaks, RIAA Data Shows https://www.digitalmusicnews.com/2021/06/15/us-recorded-music-revenues-46-percent-lower/ によるとアメリカではSpotify やYouTube プレミアム、Amazon music, Apple Musicといったサブスクリプションの売り上げの増加により、2016年以降上昇に転じ、2020年には、遂に2007年以降の売り上げに回復しました。
最盛期の90年代の売り上げには及ばないものの、サブスクリプションの売り上げがこれだけ増加した場合、CDの製作や流通のコストがかからない分だけ、コストが低く抑えられるため、アーティストへの直接の収入はもっと回復しているはずです。もしかすると、最盛期と同じレベルに回復しているかもしれません。
現在の米国のサブスクの隆盛は、CDの製作や流通のコストが掛かっていないだけでなく、アーティストが直接サブスクのプラットフォームと契約することで、従来のようなプロダクションとの契約などからも解放されていることが大きな利点だと考えられます。
当然、アーティストを育てることは当該産業に関する重要な仕事の一つです。これは今後も必要になると思います。ただ、好き嫌いの世界はさまざまな軋轢も生みますし、しがらみがパワハラやセクハラの温床になる懸念も否定できません。そうったしがらみから全く自由に自分の実力と運だけで収入を得られることはむしろ歓迎されるべきことだと思います。
問題は、サブスクの報酬が再生回数や知名度に比例、もしくはそれ以上に格差を助長している可能性。ただ、そこはテイラースイフトや有名アーティストも気にかけて、より広く報酬が行き渡るように改善していく方向を期待したいです。また、従来の固定的なプロダクションに代わるアーティストを育成するようなコンサルタントの出現も期待するところです。
なお、しがらみがなくなった分、これまでより多くのアーティストが参入しているはずです。しかもインターネットは世界に門戸を広げたので、競争が激化して、アーティストの収入が減少している可能性も指摘できます。ただ、実力とちょっとした人気で一躍有名になる可能性も高まっていますよね。
さて、日本もこういったサブスクとデジタル化で音楽産業の復活は期待できるのでしょうか。既に古いビジネスモデルで収益を得ることはますます困難になってきました。あらゆる点でデジタル化が遅れている日本ですが、ここでも大きな飛躍を期待したいところです。