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資本主義の成立条件とイギリスの役割

高校時代、翌年に世界史を取ることになり、その前に予習しようと思って買ったのが以下の本。


『物語世界史への旅』大江 一道 (著), 山崎 利男 (著)

http://www.amazon.co.jp/%E7%89%A9%E8%AA%9E%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%97%85-%E5%A4%A7%E6%B1%9F-%E4%B8%80%E9%81%93/dp/4634640503


山川出版社だったし、と思って買ったんですが、正直最初に勉強するには最悪の本でした。これで世界史を勉強する気をなくし、結局大学合格に余計に2年かかってしまった。ただ、後年読むにはやはりこういう人類の暗部を徹底的に描いた本も重要かと思います。


靖国の話で戦争の狂気についての考えを述べるにあたり、この本から影響を受けて今持っている戦争観にも関することなので、ここでまとめます。


私の高校の政治経済(世界史)の先生の説明で一番わかりやすくていまだに参考にしている資本主義成立のための5つのM:Money, Material, Market, Man, Machine,つまり、資金、資源、市場、労働力、技術。これを上記の『物語世界史への旅』ではどういう風にイギリスが用意して行ったかを滔々と語っています。他に聞いた話も付け加えると。

Money(資金):奴隷貿易

Material(資源):ネイティブアメリカンから綿花の栽培技術を教わって。

Market(市場):綿工業の先進地域だったインドの綿工業を破壊して(具体的には職人の手を切って)

Man(労働力):アイルランドを植民地にして、そこからの移民を低賃金で酷使することで。

Machine(技術):これだけはマンチェスターが今のシリコンバレーのようなところで、新たな技術がどんどん生まれた。そう言う意味で、今のシリコンバレーは産業革命発祥のマンチェスターの

 20年前なので、正確な記憶が段々薄れてますが、だいたいこんなところです。上記の本には、資本主義を生み出すためにイギリスが世界中でいかに冷酷非道の限りを尽くしたかが滔々と書かれています。例えば、ネイティブアメリカンに対しては、ネイティブアメリカンはイギリス人にすべてのものを与えたが、イギリス人はそれを全て略奪してネイティブアメリカンを滅ぼしたと言う感じで。アヘン戦争なんてこういう行動の単純な延長にしか見えない訳です。

 こういう世界に悪事の限りを尽くしたイギリスがなぜ世界の覇者として君臨出来たのか?それに比べたら、全くしょぼいことしかしていないどこかの国に比べて、世界からの評判が悪くないのか(アイルランド以外)?


永遠のテーマですが、先日このことをパキスタンの役人と話していて気がついたことがあります。

産業革命によって、世界を変えたこと。確かにイギリスはそれまでの世界に悪事を限りを尽くしたといっても過言ではないですが、それによって、産業革命を成し遂げ、その後の世界を全て変えてしまった。それは、その後の世界の光明につながっている。

 歴史にはこういう側面もある訳です。米軍は太平洋戦争中に原爆投下も含めて200万人も民間人を殺戮している訳ですが、それでなぜ日本が戦後最大の同盟国になっているのか?とパキスタンで訊かれて回答に窮してしまったのですが、上記と似た様な意味はあるかもしれません。

 全く別の答えを知り合いがしていて、「恨みに思う人間がいなくなるまで徹底的に殺戮したから」とのこと。それも当たっているかもしれませんが。

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