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[ゲームレビュー1:グリムライト] アップデートで没入のアイデアを花開かせた一作

初めまして。Nakaiです。
noteを始めてみました。主にゲームレビューや日頃やっているゲームについて書くと思います。よろしくお願いします。第一回の記事は2020年8月に配信が開始されたゲーム「グリムライト」のレビューです。

◇公式サイト

◇トレイラー


概要

ゲームジャンルは昔ながらの横スクロールアクション。赤い服の主人公(以下チャイルド)を操作し、武器で敵を倒し、仕掛けを壊して進んでいく。このゲームの特徴として文字説明が殆どなくストーリー等がプレイヤーの想像に委ねられている。また没入感を高めるためにライフゲージ等のUIもあえて用意されていない。その他、ガラスやステンドグラスのように彩られた背景やキャラ、ステージも魅力の1つ。

ゲームシステム

操作は初期段階ではスティックor十字キーで移動、Yで攻撃、Bでジャンプである。武器で敵を倒しつつ進んでいく昔ながらの横スクロールアクションである。ところどころ壊せない壁があり、ステージ内のスイッチ探して壊す必要がある。
チャイルド君や敵のライフは体の明暗で表現されている。明るければライフ満タン、ダメージを受けるごとに暗くなっていきライフが0になるとガラスのように割れて死んでしまう。死んだ場合は最後に通ったチェックポイントからスタートになる。ライフは敵を攻撃してダメージを与える事で回復出来る。
なお、以上のシステムについてゲーム内では一切説明されない

文字説明がない事による影響

文字説明が無い事について初めは使えるアクションも少ないので気にならないがゲームを進めると徐々に煩わしくなっていく。

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まず上の画像でチャイルド君の下にある中空の床だが「下方向+Bボタン」で抜けることが出来る。しかしこのコマンドは攻撃とジャンプしか知らない状況で要求される。(ジャンプと攻撃以外の操作がある、ボタン同時押しによる操作がある、すり抜け床があるの3点に自力で気づく必要あり)

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次に上の写真にについて。ここは最初のボスを倒した直後の場所である。道の上下にトゲがあり、初期アクションではノーダメージで通ることが出来ない。通り方の正解は「ボスを倒して手に入れたダッシュ能力で抜ける」である。アクション追加システムが存在する事や動作方法は先述の通り説明がない。(ボスを倒すとアクションが追加される、Rボタンでダッシュ能力を使うことが出来る、ダッシュ中はトゲを無視して進めるの3点に自力で気づく必要あり)
以上のようにゲームシステムに文字説明がないことでせっかくゲームの雰囲気に浸っていても要所で操作や追加アクション把握に意識が戻されてしまう。ゲームへの没入感を強めるために文字説明を無くしているにもかかわらず逆に没入が妨げられているように感じられた。余談だが後半の追加アクションはボタン離しタイミングを求められる物やダメージを受けてしまう物もある。

ビジュアル面

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ステージはステンドグラスのようにきらびやかに表現されている。またステージは基本薄暗くチャイルド君を中心に明るくなる作りになっている。雰囲気は出ているように見えるが後者の薄暗さが逆に仇になっている。
まずチャイルド君を中心に明るくなる作りについて、ライフの表現も相まってプレイ中はチャイルド君に目がいきやすくなっている。

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次に薄暗さのせいでダメージを受けるオブジェクトや敵も見えづらい。下に落ちて進むステージでは下に進む場合は何があるか分からず、確かめるために降りようと思ったら下まで落ちてトゲがあった、もしくは敵の群れがいたという状況も度々ある。またカメラ上下スクロール機能はない。
 以上よりチャイルド君の周り以外薄暗い事、チャイルド君を注視しがちな事、ステージ把握に翻弄されがちな事が相まって、せっかくのきれいな背景やステージを見る余裕はない。

考察ゲーとして

このゲームは所謂自分で考察して話を広げていくスタイルのゲームである。このタイプのゲームは考察させたくなる、つまりゲームに愛着を持たせることが大事である。しかしグリムライトは先述の通りゲームシステムやビジュアル面でゲームに対して愛着よりも不信感が先に出てきてしまう。そのため愛着、考察する気が湧かないというのが正直なところ。
考察をするとして、先述の通りゲーム内に文字説明がない他、キャラの表情を読むといったことも出来ない。せいぜいステージの背景、自然と人工物のバランス等から自分なりに作り上げて考察するしかない。

考察ゲーとしてどういう作りかはバイキングに例えてみる。通常の考察ゲームを普通のバイキングとすると、出来合いの料理(出来上がりの推察要素)から欲しい物を組み合わせて自分なりの考察(プレート)を作りあげてるといった感じ。これで自分で食べたり他の人のチョイスを楽しむことが出来る。
グリムライトはバイキングと思ったら食材&調理器具が置いてあったという感じ。どんな料理(推察要素)を作るか材料(オブジェクト)から自分で考えて作り上げる必要がある。グリムライト形式(料理)も気に入る人はいると思うが普通の考察ゲーム(バイキング)を期待していた人には納得がいかないかもしれない。

評価点

ゲームそのものの評価点ではないが開発者が改善に意欲的なためこれから挽回される可能性はある。期待したい。他ライフを体の明暗で表現するというアイディア自体は新鮮で好きだった。

総括

ゲームへ没入させるための工夫として文字説明をなくしたのに皮肉にもそれがゲームへの没入を妨げている。また没入が出来ない以上ゲームに対しても愛着を持てず「そもそも考察する気が起きない」と考察ゲーやアートとして本末転倒になっている。操作方法や追加アクション等のメタ的な部分は説明をしたり、初期アクションのみでクリア出来るような仕組みにすれば考察系ゲームとしてまだ妥当に評価されていたように感じられる。
ゲームに没入するにはゲームシステムそのものへの慣れが大切なんだと思い知らされた作品だった。

【2021/6/18追記】

2021/6/17よりグリムライトがアップデート対応された。結論から言うと先述の問題点は大体改善され、ゲームとして遊びやすくなったように思う。

アップデート1. 操作説明、ヒントの追加

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大きく変わった点の1つがこの操作説明の追加である。追記前の部分にて文字説明がないことで特殊操作や追加アクションの使用方法を自力で考えなければならずゲームへの没入が妨げられていると語った。今回のアップデートで床すり抜けの方法が中空床で表示されるようになったり、追加アクション入手時にアクションを使うボタンと内容が動画で説明されるようになっている。これのおかげで操作や追加アクション把握に必要以上に意識を割かずに済むためよりゲームに没入しやすくなっている。
 またステージ内のスイッチを破壊した際に扉が開く演出が追加され、スイッチの意味も分かりやすくなった。

アップデート2: カメラ上下スクロール機能の追加

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もう一つのUI面の改善としてカメラ上下スクロール機能の追加がある。上または下を押すことでカメラと光が上下にスクロールされて上下の地形などが分かるようになっている。これのおかげで先の地形把握もやりやすくなっている。

アップデート3: 画面の見やすさ改善

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画面についても改善がされている。追記前の部分では薄暗さやそれによるオブジェクトや敵の見づらさを問題点として挙げていた。
 今回のアップデートによりチャイルド君やステージがより明るく表示されるようになり地形の確認などもしやすくなっている。また薄暗くてもトゲや敵が見えるようにそれらの周りが明るくなっているので再プレイ時には先述の不満点もあまり感じなかった。

アップデート4: アート面の改善

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明るさに次いで演出も改善がなされた。ガラスやステンドグラス風味のステージは光の反射表現が追加されより美しくなっている。先述の見やすさ改善と相まってより綺麗になった背景やステージを楽しみやすくなっている。
 その他一部の演出も変化しているのだがここは是非とも自分でプレイして確かめてみてほしい。筆者はこの演出に素直に驚かされた。

アップデートを踏まえて総括

没入させるための工夫はそのままにプレイ面の改善がなされ、ゲームやアートとしてより親しみやすくなった。ゲームに対して愛着が持てれば考察や材料探しにも身が入るので今回のアップデートはグリムライトとして正統進化を遂げたように思う。公式が挙げている考察のヒントや実績の名前などを参考にすれば自分だけのグリムライトの物語を作ることが出来るかもしれない。

以上です。読んでいただきありがとうございました。
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