妹が嫁いだ日の話


ひとつ下の妹はお互いの家族だけの小さな式を、軽井沢で挙げました。


双方実家から遠いので
妹夫婦がとってくれた高級旅館に前泊。

部屋の中には時計もテレビもなく、
ふと座ると目線の先に小川が流れ、
その水面には穏やかに陽光が煌めき。
仄かな間接照明とヒーリングミュージックに包まれて
都会の喧騒を忘れ
自然の中でゆっくりと時間の流れを感じる、
そんな家族の最後の時間…。

というのが、本来の愉しみ方だと思うのですが。


「別にうちに居るのと変わらんよね。」 ←うち実家に池あるので。
「都会の人ならまだしも、田舎から田舎に来てもね。」
「っていうかテレビないと暇。」

2泊で15万はかかる高級旅館なのに…。

今思えば、多分ここからおかしかったのだと思います。

翌日挙式したのはちょっと特徴的な造りの教会で、
バージンロードが
「2階の真正面から入ってそこからぐるっと2階を回って
下に下りて後ろから入場」と、異様に長い構造。

一瞬見たけどあまりに長いんで正面に戻って待ってたら
「どうぞご注目ください!」と牧師さんに促されました。
どうも、ぐるっと注目してないといけなかったらしい。
みんな花嫁に興味なさすぎー。



挙式が始まると、もうずっと大号泣。

向こうのお父さんが。

新郎新婦は挙式中ずっと、
「なんで新郎側両親席からすすり泣く声が聞こえてくるんだろう…?」
と思っていたそうな。

新婦側であるうちの父はいたってふつーに座っておりました。



挙式後は、退場→ライスシャワー。
うちの弟はライスシャワーをやった経験がないらしく、

弟「え?これどうすればいいの?顔に投げつければいい?」
私「…じゃあ、それで(適当)」


最後に新郎新婦が並んで、
係の人に「どうぞ皆様お写真をお撮り下さい!」
と促されて初めて、

母「あ、そういえばカメラ持ってきてないねぇ。誰か持ってる?」


…空気読んで仕方なく、手持ちの携帯で何枚か写真を撮る新婦の姉、つまり私。

10万以上かけたマイデジタル一眼レフカメラで
角度とパターンを変えてバシャバシャ撮りまくる新郎の父。
…この温度差は何だ。


その後、有名シェフによるフランス料理フルコースで会食。

アミューズとかソルベを省略しない、完全に「フル」のコースで
しかもどれも高級食材を使っている上、絶品!
これは1~2万じゃ食べられないレベル。
今までの人生で一番美味しかった。
しかも人の金で食べてるから余計に美味。
今回一番の感動…!

あっ、そういう話を書いてるんじゃなかった。



会食と並行して、両親からそれぞれ息子・娘に「贈る言葉」。

「息子は小さい頃は本当に体が弱くて…等々
 夫婦というものは…云々」
と、新郎側両親がしみじみと愛息への熱い思いを語った後、
「以下同文です」と言い切ったうちの父!

ちょっとッ!卒業証書授与式じゃないんだから!!


先方の上品なお母様が気を遣って
「お姉さんも、妹さんがいなくなるとお寂しいでしょう?
 一つ違いだし、仲の良い姉妹でいらしたんでしょうね…。」
と言ってくれたのに

妹「いや、そんな仲良くは…」
私「険悪とまではいかないですけど…」

どこまでもクールな、なかい家。
(ちなみにこれが通常営業です念のため。)



新郎である義弟がフォローで
「でも小さい頃から、本当にお姉さんは面倒見が良かったって聞いてますよ」
と言うと、
妹「うん、お菓子一つ足りない時とかいつもお姉ちゃんが我慢してたし
  お母さんの機嫌悪い時矢面に立ってくれたりとか…」

気づいてたんかい!!
しかも、そうなるよう仕向けたのはオマエだー!


先方は1人息子のため、
ご両親は「娘」ができた事が本当に嬉しくて
実の親子のように仲良く、かわいがってもらってるらしい。
そしてそんなお嫁さんを得た事が泣くほど嬉しいらしいんだけど
なかい家としては
別に惜しくもなく、寂しくも悲しくもなく
親としての愛情も「以下同文」クラスに過ぎず
ウェディングドレス姿を写真に残そうという気もなかったようなので、
まぁそういう意味でとてもいいご縁で良かったですよ。

二人ともどうぞお幸せに~!

いやー、それにしてもあのディナーは美味しかったなぁ。


※この投稿は2011年5月30日に別サイトに書き散らしたものを一部リライトしたものです

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