M&A会社の最大の役割は相手探し【M&A日記】
M&A会社がM&Aの過程で果たす役割は多々ある。
仲介会社なら基本的には最初から最後まで関わる(デューデリジェンスなど直接的に担当しないものもあるが、とはいえ関りはする)し、FA(売主か買主のどちらか一方にだけ付く形態)であっても、その役割は少なくない。
どの業務も大事だが、その業務の多くはその専門資格者、例えば公認会計士などが代替できる可能性が高い。
前提として、M&Aの実務経験は有資格者でも必要。
公認会計士や税理士であればM&Aのことは分かっていそうなイメージがあるが、実態としては、M&A実務経験のない人は殆ど分かっていない。
企業価値評価をしようとして、経験のない人は教科書通りの評価を出してきたりするが、価格はあくまで市場が決めるもの。
教科書通りの評価と市場価格は大抵乖離している。
教科書的には10億円の評価でも、実態は5億円なんていうことは全然ありうること。
その逆もしかりで、市場価格の方が遥かに高いなんていうこともある。
この辺りは実務経験を積んで市場感覚を掴んでいくしかない。
ともあれ、M&A実務経験さえあれば公認会計士や税理士などが遂行可能な業務はたくさんある。
じゃあM&A会社の存在価値ってなんなの?となると、「買収候補企業探し」と答える。
ソーシングともいわれ、端的に言えば営業活動のこと。
譲渡対象となる企業が商品だとすれば、それを買ってくれる人を探すので、営業。
士業はとかくこの営業活動が苦手。
営業をやりたくないから資格を取ったという人も少なくない。
買収候補企業探しはキレイごとではなく、地道な営業活動が必要。
譲渡対象企業にだいぶ寄るが、数社への提案で進むこともあれば、100社以上への提案をしないと相手が見つからないなんていうこともザラ。
また、提案時には買収側企業のことを事前に調べて、買収提案をお持ちした理由を説明できないといけないし、この辺りは法人営業の経験が活きてくる。
M&Aというと、一見知的な業務ばかりの印象があるかもしれないが、実態としては泥臭い営業活動があって、これができない人は成果を上げられない。
会計士とか士業が代替できる業務については、要は誰でもできるということなので、逆に代替が難しい機能をやるからこそM&A会社としての存在価値が出てくる。
それが即ち営業なのだ。
営業はどの業界でも営業マンや会社の姿勢によって結果が大きく変わってくるもの。
同じ商品でも、良い営業マンとそうでない営業マンから買うのでは色々なことが変わってくるのは皆さまお分かりの通り。
M&Aも全く同じ。
M&A仲介会社の良し悪しを判断できる大きな部分はこの営業にある。
相手が見つからないことには話にならないので、一定の営業力は大事なものの、営業のやり方次第ではとんでもない結果になりうるというのは皆さまご想像の通りだ。
M&Aに公認会計士等の専門家だけではなく、M&A会社が必要である理由は上記の通りだが、是非M&A会社は慎重に選んでほしいもの。
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