買収は基本的にお勧めしません【M&A日記】
「買収も検討してるんだけど」と言われることが少なくない。
ただ、殆どのケースでお勧めしないことを理由とともにお伝えする。
そして、それに納得されて選択肢から外される方が多い。
買収する側にとって、買収は成長のための一手段。
何かしら戦略があってそれを満たすための一つがM&Aとなる。
サービス業で例えると、例えば地域的な空白領域がある、と。
そこは今後自社を発展させていく上で大事な地域になるため、進出したい。
進出には、自社の業態を出していくことも出来るが、その地域で展開済みの企業を買収するという手もある。
このように、買収は戦略を遂行する上で、その他の選択肢と比較検討される手段となる。
あくまで一手段であり、その他選択肢と十分に比較検討されるべきものだと考える。
そうなったときに、自力で進出するよりも買収してしまった方が良い、という結論に至れる会社がどれだけあるか。
殆どないと思っている。
そう考える大きな2つの理由がこちら。
①買収は高い
基本的に買収は高い。
利益が出ている会社なら、償却前利益の数年分を払う。
M&A仲介会社の手数料も高い。
買収にはとてもお金がかかり、多くの会社にとっては失敗できないような金額になる。
②買収後は簡単でない
買い手にとっては買収してからがスタート。
期待する利益を上げさせ、更に成長させていこうとするものの、企業文化・風土の違いというのは想像以上に大きいもの。
なかなかイメージしていたようにはいかない。
ということなので、とはいえ今後M&Aを有効活用して会社を非連続で成長させたいと考えるとすれば、失敗しても諦められる規模の買収から始めることをお勧めする。
上述したお勧めしない理由のうち、②が実はとても大事。
データとしても出ているが、買収は経験値によってその精度が改善していく。
持続的に買収して、統合経験を積み重ねていくことで、M&Aの選択肢としての優先度は高まっていく。
なので、とにかくまずは買収してみないことには始まらない。
とはいえ、小さくない確率で恐らくうまくいかなかったり、想像していたようにはならない。
それでもいいや、と思える規模の買収から始める。
買収の練習と割り切ってしまうのも良いかと思うぐらい。
M&Aチームが経験を積んでいくことで、今後の案件の見定めも精度が上がるし、何をすべきかが明確になっていく。
買収に興味あるという方は、まず他の選択肢と比べて本当に優先度が高いのかどうか?を判断して頂いて、やるべきとなれば小さいものからをオススメする。