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クロージング条件とは【M&A日記】

株式の譲渡は、株券を発行している会社であれば、株券自体を渡せばその行為自体が譲渡になる。
株券発行している会社は今や少ないので、その場合は株式譲渡契約書における「譲渡日」に株式を譲ったとされる。
クロージングというのは株の譲渡が行われること。
なのでクロージング日は譲渡が行われる日=譲渡日。
譲渡対価の決済も基本的には譲渡日に行われる。

一般に譲渡契約では、契約締結日=譲渡した日となるケースが多いが、M&Aの場合は契約締結日と譲渡日がズレることが少なくない。
それは契約締結から譲渡までに満たすべき条件があるため。
その条件のことをクロージング条件という。

予めクロージング条件になるようなものについては満たしておけば良いということでもあるが、内容によって株式譲渡契約を締結もしていなく、M&A自体が最悪破談になる可能性を残している中で、先行して動きたくないというものもある。
もちろん、クロージング条件はその名の通りクロージングのための条件なので、これが満たされないことにおいては譲渡は成立せず、株式譲渡契約を締結したからといって破談になる可能性がなくなった訳ではない。
しかし、株式譲渡契約を締結していることの意義は大きい。
買い手側では役員会等の必要な決済手続きを終えているはずだし、基本合意契約のように法的拘束力を殆ど持たないような契約とは異なり、株式譲渡契約には須らく拘束力が発生する。
基本合意契約締結後に破談になる確率と、株式譲渡契約締結後に破談になる確率とでは、圧倒的に後者の方が低くなる。

なので、M&A自体は成立させることを前提に、いくつかの条件をクロージング前に満たしておく、ということになる。

例えば買い手に対するクロージング条件として、買収資金調達のために、株式譲渡契約書が必要というケースもある。
締結済みの株式譲渡契約書を金融機関に提出してから融資実行の手続きが進むので、そこで少し時間がかかり、契約締結日には決済できなく、そのために譲渡日がズレるということがある。

あるいは、譲渡される会社は中小企業であることが多く、完璧に適法に運営されている会社ばかりではない。
買収側としては、そのような状態で受けるのは望ましくなく、クロージング日までに適法状態に対応しておいてほしい、ということもある。

このようなクロージング条件が株式譲渡契約書に定められ、それらが履行されたことを前提に、予定していた日にクロージング=譲渡する、ということになる。


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