中古車販売業についてM&A的に考えてみる②

中古車販売会社のM&Aをもし担当したとして、何も業界知識を持たない私が何をどう見るかについて、前回記載した。

今回はもう少し発展版を考えてみる。

中古車販売業を行っている会社が業績を伸ばそうと思ったときに、車の仕入れ・買取数を増やすことと、販売数を増やすこと以外に何を考えるか。
それは恐らく客単価を引き上げること。

車1台からとれる利益はある程度決まっている。
しかし、車周辺事業に参入することで客単価を引き上げられないか。

車に関連することと言えば、ガソリン、整備、部品あたりか。
ガソリンは利幅が超薄いビジネスなのでメリットが少ない。

部品販売はありかもしれないが、メーカーから仕入れて販売しないといけない。
圧倒的な販売量を誇る大手に仕入れ時点で大きく差をつけられるし、商品はどこで買っても同じものなので、価格以外で差別化しようと思うとまた難しい。

ならば、整備。
自社で車を買ってくれた人には整備や車検を値下げするとか、サービス付加によって満足度を高めるいうことが考えられる。
また、整備は職人が行うものなので、価格やサービスによって他社との違いも作りやすい。

ということで中古車販売をする会社は、客単価を上げるために整備もはじめる、というのが恐らく成長する中古車販売会社の定番パターンだろう。

一人の顧客が、生涯に車にかけるお金のうち、どれだけを自社で獲得できるか。
カーライフタイムバリューみたいなのを想定して、事業展開を考えていくと思われる。
車の買い取り、販売、整備を例えば20歳~70歳まで全部自社でやってもらえれば相当の売上になる。

M&A的な観点で見ると、買取・販売と整備を自社で賄い、相応の売上規模のある会社であれば、その地域において一定の地位を獲得できていると考えられる。
また、整備士は要資格であり、工場も車検を受けられるかどうかなどの指定があるのだと思うので、これは買収企業としては、職人の確保、指定工場の確保という観点からのれん代をつけてでも買いたい、という発想にはなりうる。

整備工場単体にも同様の価値は見いだせるが、中古車販売を兼ねていることで、顧客の獲得が単体と比較して安定しやすいともみられるだろう。

なので、ここまでカバーされている中古車販売会社なら、M&A市場にいて、一定の評価を受けて、引き受けたいという会社が出てくる可能性が高くなると思われる。

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