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需給のバランスが価格を決める【M&A日記】

M&A仲介の基本的な流れとしては、様々な目的をもってして会社の譲渡を検討する方と仲介契約を締結し、その買収企業を探索して、見つかったら譲渡完了までの手続きを支援する。

まず譲渡意向の方からの依頼を受けないことには仕事が始まらない。
有難いことに、現在当社では多くのご契約を頂いていて、その買収候補企業の探索と、新たな譲渡相談をお受けするというのが私の日常だ。

さて、買収相手探索は、その難易度にいくつかポイントがあるが、圧倒的に影響が大きくなるのは価格だ。

安ければよく売れるし、高ければなかなか売れない。
これはM&Aに限らず、全ての業界がそうだと思う。

じゃあその安い、高いはどう判断されるのかというと、これも他の業界と同じで、需給バランスだ。
売りたい人が多ければ、当然価格は下がっていく。
買収したい会社からすれば、選択肢がたくさんあるなら、相対的に安い会社から検討を進めていくというのは当然の方針になる。

最近は、供給増の状態になっていて、すなわち売りたい方が増えているため、過去と比較すると相対的に価格が下がってきていると感じている。

供給増になった理由は、コロナ+ロシア・ウクライナ戦争だろう。
これにより、多くの経営者が先行きを心配するようになった。
元より日本の経営者は超高齢化が進んでいて、2022年の経営者の平均年齢は63歳だ。
事業承継を進めないといけないけれども、名残惜しかったり、子供に継がせる選択肢を捨てたくなかったり、M&Aがよくわからなかったり、ということで譲渡を躊躇していた多くの経営者。
この経営者たちの背中を、コロナとロシア・ウクライナ戦争が思いっきり押した。

特にこの10年で、M&Aが経営者の間に浸透していったことで、買収を成長戦略に掲げる企業も相当に増えた。
しかし、それ以上に譲渡希望の企業が増えている。

結果として、買収意欲のある企業には、過去と比べて相対的に選択肢が増えていて、結果高く買う必要がないという状況にあると思われる。

譲渡検討をする経営者は、譲渡済みの経営者に相談されることがあると思うが、その経営者が譲渡したときと今とでは環境が異なっている可能性がある。
同じような条件を期待するのは、業種や内容によっては難しい可能性も少なくない。

市場環境をちゃんとお伝えしていきたいと思う。
一方で、安売りをしたいとも思わない。
経営者が人生をかけて成長させてきた会社、何とか適切な条件での譲渡は実現したい。

マッチング力の強化が業界の喫緊の課題になると思う今日この頃でした。

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